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−>>2019/12/09/(Mon) RODE Wireless GO でインタビュー!


 11月。前回の海外ロケから帰国後、直ちに購入したのが RODE“Wireless GO”だ。
 送受信周波数 2.4GHz/伝送距離 約70m というこのワイヤレスマイクロフォンシステムは、それぞれ約45mm角の送受信ユニットで構成されており、送信機はそれ自体がマイクを内蔵する。
 背面にはクリップが付いており、送信機をそのまま衣服に取り付ければマイクとして機能するのだ。
 またそのクリップは、幅がカメラのアクセサリシューに挿入できるサイズに設計されており、ミラーレス一眼などのシューに取り付けることが可能。
 大変にコンパクトなワイヤレスマイクロフォンシステムを構築できるのが特徴だ。


 さて今回、RODE“Wireless GO”を導入したのは、最近行く海外ロケで街頭インタビューが増えてきたことに関係する。

 ディレクターとカメラマンとコーディネーター(兼通訳)という最小構成のクルーで、インタビューマイクの扱いというのは少々面倒だ。

 まず、有線で行うか無線で行うか。
 収録の安全を第一に考えれば有線だ。断線しない限りは確実に音は取れるし、ノイズにも強い。ただ、ケーブルが行動を制限したり邪魔になったりすることはある。ディレクターにケーブルの扱いを任せておくとスパゲティー状になっていて、いざ使いたいときに引き延ばせない…ということも多い。あと、何故か凄く小さく巻く人が多いので、ケーブルにクセが付く。やめてほしい…。
 その点、無線はケーブルに縛られないので動きが楽だ。インタビューを始めたい時にいちいちケーブルを繋がなくても良いし、何よりもインタビューが終わったら直ぐに次の行動に入れる。

 ただし、無線には大きな問題がある。国内ロケで基本的に使用する事の多い 800MHz帯…いわゆるB帯のワイヤレスマイクロフォンシステムは海外では使う事ができない。
 法律的にその国の無線規格の認定や許諾を受けていないと使用してはいけないからだ。
 その為、海外でワイヤレスマイクを使いたい場合は、現地でレンタルするか、日本国内での発放をしないこと前提に、その国毎のワイヤレスシステムを所有するしかない。ただ、所有はかなり非効率で現実的ではない。
 可能であれば、世界の多くの国で使用可能なシステムである事が望ましい。

 その1つの解答が2.4GHzワイヤレスシステムだろう。
 2.4GHz帯は ISMバンドとして全世界で使用可能な帯域の1つで、データ通信用の帯域として多くの国で利用可能だ。勿論、国や地域毎に出力などの規制があるので、どんな機器でも自由に使える訳ではないのだが、多くの2.4GHzワイヤレスシステムが各国各地域での認証を取り、同じ個体を全世界で使える物が多い。ドローンなんかも、そのひとつだろう。

 この Wireless GO も
 Australia & New Zealand
 Brazil
 Canada
 China
 European Union
 India
 Indonesia (申請中)
 Japan
 Mexico
 South Korea
 Taiwan
 United States
 の国と地域で利用可能となっており、今後はさらに東南アジアでの認可増加が期待される(2019年11月現在)。
 
 Wireless GOであれば、北米アメリカ・EU・オセアニアでのロケには法律上の問題なく活用出来るので、海外ロケの多くに投入可能になりそうだ。

 ただ、Wireless GOをそのまま海外ロケの街頭インタビューに使うのは難しい。
 街頭インタビューは番組の演出方法にもよるが、やはりインタビューマイクを使ってのスタイルが基本だろう。
 そして、基本と言えば SHURE SM63L というハンドマイクを使ったスタイルが王道だ。

 そこで今回は、Wireless GO を SM63Lと組み合わせてワイヤレスインタビューマイクに仕上げることにした。

 Wireless GO には送信機側に外部マイク入力端子(3.5mm TRS端子)が備わっている。これは、オプションの“Lavalier GO”という専用のピンマイクを使う為の端子だ。
 このTRS端子を使って、SM63Lをワイヤレス化することにした。

 まずは、SM63L と Wireless GO の一体化だ。マイク本体に Wireless GO を取り付けて、一体型ワイヤレスマイクのように使いたい。
 SM63L と Wireless GO の間を1〜1.5mケーブルで繋いで、送信機をディレクターのポケットなどに入れておく…という手もあるのだが、それだと Wireless GOの小ささを活かし切れないし、何よりもケーブルレスという課題解決には中途半端だ。

 そこで Wireless GO の購入と同時にポチッたのが、3Dプリンタだ。
 この5〜6年間……ずっと3Dプリンタが欲しかったのだが、欲しかっただけで利用目標が特になかった…。持っていれば何かには使ったかも知れないが、そう思うには5〜6年前は、まだまだそこそこ高価な機材だった。
 しかし、今回は明確な目的があったので、漸く購入に踏み切ることができた。


 とはいえ、3Dプリンタ初心者なので、まずは入門的な機種で十分だ。それほど解像度の高い物は必要ないだろう。
 ただ、ある程度の造形サイズは欲しかったので、最大造形サイズ 150×150×150mmでWi-Fi接続可能な XYZプリンティング社の“ダヴィンチ mini w+”を購入することにした。


<ラボ入居時からこの時のために空けておいた 3Dプリンタ用の空間>


 Wireless GO と 3Dプリンタが揃えば、次に一体化させるアタッチメントの設計だ。
 マイクの筒部分を挿入するようにして、Wireless GO を格納するスロットを用意する。
 電源ボタンとUSB充電端子にはアクセスできる様にし、またマイクとWireless GO を繋ぐケーブルの取り回しをユーザーが気にしなくても良い様にする。
 簡単にイメージのスケッチを起こしたあとは、実物でサイズを計測。設計図に落とし込んでいく。


 あとは、3DモデリングをすればOK。
 幸い、3Dモデリング や 3Dアニメーションは高校〜大学時代に趣味でやっていた。もう20年ほど前の話だが、基本は変わらない。
 ただ、ダヴィンチ mini w+ に附属しているモデリングソフト“XYZmaker”が本当にオマケのオマケで、ロクにモデリングができない…。
 学生の頃に使っていた 3Dソフトが Autodesk の 3ds Max だったので、比べるのが間違いなのだが、六角大王でももうちょっと使えたぞ!というぐらい、何もできない…。
 取り敢えず今回は、モデリング形状が単純だったので“XYZmaker”でやりきることにしたが、それが後々まで苦労を強いられることになった…。


 なお今は、話題の 3Dソフト Blender をインストールし勉強中だ。

 さて、基本的なモデリングが終われば、あとはトライ&エラー。モデリング&プリントの繰り返しで調整を行っていく。
 “XYZmaker”で細かく寸法を指定したつもりでも、実際に出力してみると0.1mm単位で誤差が出たりするので、上手くマイクが通らなかったり Wireless GO がハマらなかったり…。


<ダヴィンチ mini w+ で出力中>


 また、マイクに取り付けてみると課題に気が付く。
 インタビューマイクの持ち方や、また番組によってはマイクにマイクフラッグ(番組名などが描かれた三角形のアレだ)を取り付けることを考えると、アタッチメントはマイク本体には殆ど被らない位置に取り付けないとイケないことが見えてきた。


<試作アタッチメント>


 そこで、マイクを通す筒を延伸して、アタッチメントをXLRコネクタの位置まで下げることに。
 これで、マイクフラッグがついたマイクを下方で握っても、アタッチメントが邪魔にならないようにできた。


<サポート材の付いた状態>


<完成形のアタッチメント>

 
 あとは、マイクと Wireless GO を繋ぐケーブルを作れば OK。
 ケーブルは XLR−TRS変換なのだが、Wireless GO の送信機の TRS端子にはプラグインパワーの電圧が掛かっている。これは機器側でオフにする事ができない。
 SM63Lはダイナミックマイクなので、プラグインパワーの電圧が掛かり続ける事は好ましくないだろう。
 そこで、XLRコネクタ内にカットオフコンデンサーを仕込みプラグインパワーを切ることにした。


 これで、Wireless GO 一体型インタビューマイクが完成した!
 送信機一体型だが、Wireless GO の送信機は31g。3Dプリンタで出力したアタッチメントも20g程だ。実際にはこれにXLR端子の重量なども入ってくるのだが、持った感じの重量バランスはなかなか良い。
 ワイヤレスマイクとしては十分に機能しそうだ。


<マイク本体とアタッチメントを一緒に握り込むスタイル>


 ただ、課題というか問題点もない訳ではない。
 Wireless GO に入力した SM63L の音声レベルが低めなのだ。
 JVC HM660での利用を想定してるが、HM660のAUX入力の基準レベルを +12dBにして、さらにマニュアルレベル調整で最大入力ぐらいにしないと、実用的な入力レベルにならない。
 これは、イヤフォンを直接 Wireless GO の受信機に挿してモニタリングしても同様で、かなりレベルは小さめだ。
 送信機の「内蔵マイク」で収音した場合は問題ないレベルで聞こえるので、ダイナミックマイクとの組み合わせでの結果だろう。

 上述の、+12dBでマニュアル調整した場合は、多少S/Nは悪くなるものの、ボイスオーバー前提の海外ロケインタビューなら問題にはならない品質だと思う。
 ただ、この使い方でメインマイクにするには、一度ちゃんと音質を検証した方が良いだろう。


<電池状態やリンク状態を表すLEDランプは見えるように>



<送信機底面の電源ボタンも押せる>



<XLR端子のロックノブが肉抜き部分に収まるようにしてある>


 音レベルの問題は残ったものの、ワールドワイドで使えるコンパクトなワイヤレスインタビューマイクとしては、十分に実用的だ。
 また、Wireless GO の使用シーンや 3Dプリンタの可能性など、今後の展開が楽しみなガジェットも手に入れた。
 2020年はますます遊べる年になりそうだ!!


※本日の、推奨物欲。


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 日本の首都を入力する認証です→ 


−>>2019/12/10/(Tue) AZDEN PRO-XR 緊急参戦!!

 ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!!
 今注目の 2.4GHzワイヤレスシステムは RODE Wireless GO だけじゃ無いぜ!!
 
 ――と本日着弾したのが AZDEN “PRO-XR”
 日本メーカー AZDENが自信を持って送り出す、デジタルワイヤレスマイクロフォンシステムだ。

https://www.azden.co.jp/features/PRO-XR.html


 AZDEN の 2.4GHzワイヤレスシステムといえば 2016年4月に発売された PRO-XDがあり、こちらも当時は小型軽量の簡易ワイヤレスマイクシステムとして注目されたが、如何せん電波の到達距離が短く、本線として使うには不安要素が大きかった。


<海外ロケに持ち出していた旧版“PRO-XD”>


 しかし、2019年12月に発売となった新型の“PRO-XR”は電波の到達性能を改善!
 2.4GHz帯は、Wi-FiやBluetoothなど使用電波の多い帯域ゆえ、安定した電波の送受信を行う事が難しい状況も生まれる。

 そこで、PRO-XR では「周波数帯全体への自動スキャン機能」「自動的に電波の干渉を回避」「重複音声技術:Signal Redundancy Technology」を搭載。
 特にSignal Redundancy Technologyは、送信機から受信機へ複数の信号をそれぞれ異なる周波数で送信。聞くところでは3波の異なる周波数の電波を同時送信し、1つの電波の干渉を感知した場合は、即座に別の信号に切り替えを行うことで、安定して音声を送信することを可能にしている。



 送信機のアンテナもフレキシブルタイプと高出力タイプを同梱。
 電波の到達性能の改善に本気で取り組んでいる姿勢がよく窺える。

 
 細かな仕様は今後触れていきたいと思うのだが、汎用性という点では Wireless GO よりも PRO-XRの方に分があるように思え、様々なシーンでの応用を想定できる。
 一方で Wireless GO の、とにかくシンプルにワイヤレスマイク環境を構築できるストレートさも魅力的だ。


<PRO-XDと同様に入出力端子の豊富なPRO-XR>


 また暫くは、現場仕事が続くので、Wireless GO と PRO-XR のガチンコ対決は少し先になるのだが、いろいろとテストしたり比較したいことがあるので、2019年末から2020年の年始にかけて、あれこれ試してみたいと思っている。

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 日本の首都を入力する認証です→ 


−>>2019/12/16/(Mon) 2.4GHzシステム取付ブラケット。

 AZDEN PRO-XR と RODE Wireless GO を JVC GY-HM660 に取り付けるためのブラケットを作成してみる。

 AZDEN PRO-XR の受信機(RX)には、シューマウントが備わっており、カメラのシューに簡単に取り付けられる。
 一方 RODE Wireless GO は、カメラベルトや衣服などに挟むことができるクリップが備わっているのだが、このクリップ幅がシューに嵌められる寸法で設計されているので、そのままカメラのシューにも取り付け可能だ。

 HM660にこれらのRXを取り付ける場合も、通常ならこのシューへの取り付けで済むのだが、私の場合は別の方法を用意することにした。
 理由は大きく2つある。
 1つは、HM660には内蔵マイクと排他利用の AUX入力が備わっている。3.5mm TRSタイプのものだ。カメラのマイク設定を内蔵マイクにした状態で、このAUXにTRSを挿すと自動的にAUX入力に切り替わる。これが結構便利なのだ。
 その HM660 の AUX入力端子はカメラの後方にイヤフォン端子と並んで備わっており、PRO-XR や Wireless GO の音声を入力するならこのAUX端子を利用したい。


 しかし、HM660のカメラの後方にはシューが備わっていないので、RXユニットの取り付け方法を考える必要がある。

 2つ目の理由は、既存のセットアップを崩したくないからだ。
 私が感じている PRO-XR と Wireless GO の魅力は『ちょっと使い』だ。
 日頃使っているシステムにちょっと加えると、凄く便利になる――という使い方だ。これは何も PRO-XR や Wireless GO がメイン使いできないと言っている訳ではない。
 『ちょっと使い』の機材として導入するのにも丁度よいポジションのガジェットだと感じているのだ。
 なので、既に照明や場合によってはB帯ワイヤレスレシーバーなどで使っているカメラのシューを PRO-XR や Wireless GO で占有したくないのだ。
 飽くまで、現行のシステムにプラスアルファで投入できることが強みだと思っているわけだ。

 上記の2つの理由から、AUX端子付近に PRO-XR と Wireless GO 専用のブラケットを制作する事にした。

 今回は、前回のマイクアタッチメント製作の反省から、3Dモデリングソフトは “Blender”に変更。まだまだ私が不慣れ、未理解のため上手く使いこなせていないのだが、最低限自分の作りたい物は作れそうだ。


 モデリングができれば、3Dプリンタ出力して実物で適合性を確認。トライアンドエラーで完成形を目指す。


<左上のはサポート材の出力設定ミスで、プリンティングが滅茶苦茶に…>


 実は JVC GY-HM660 には後部にワイヤレス受信機用ブラケットのためのネジ穴が用意されている。


 そこに専用の自作ブラケットを取り付けられるようにデザインした。
 それがこれ↓。



 このような感じで、ネジ止めできるので本体への加工無しで取り付けられる。
 基本的な設計思想は、PRO-XR や Wireless GO の“クリップ”を差し込むスリットを作って固定するというものだ。
 だだし、PRO-XR の受信機(RX)はシューマウントであってクリップではない。一方で送信機(TX)はベルトクリップが備わっており、文字通りベルトにクリップできる。
 そこで、従来機の PRO-XD の TX からベルトクリップだけを拝借して PRO-XR の RX に取り付けることにした(←皆、話についてきてる?)


 これで、PRO-XR も Wireless GO もクリップタイプになった。
 取り付け専用ブラケットは、この両者のクリップ幅が収まるように設計。
 工夫としては Wireless GO のクリップ幅の方が狭いので、スリット内部にガイドを設けて、Wireless GO が滑り動かないようにしてある。


<この断面写真では、上辺にクリップを取り付ける。中央部に Wireless GO用のガイドが付いている>


 では取り付けてみよう。

 AZDEN PRO-XR を取り付けると……




 RODE Wireless GO を取り付けると……



 以上の様な収まりになり、従来のオペレートも阻害しない。

 AZDEN の旧PRO-XD を使っていたときは、今回と同じ取付位置にマジックテープで受信機を貼り付けて、脱着できるようにしていた。
 しかし、段々とマジックテープの結合力に両面テープが負けてしまい、マジックテープ自体が剥がれてしまうようになった。また、マジックテープのファスナー面にカメラベルトの繊維が絡みつくなど、弊害も多かったのだ…。

 ただ、この位置への取付のメリットは感じていたので、今回はちゃんとブラケットを作成して取り付けることに挑戦した。

 それにしても、3Dプリンタは本当に便利だ。
 思い付いたことを直ぐに形にできる!
 なんで、今まで買わなかったのが不思議なぐらいだ。

 さて、いよいよ AZDEN PRO-XR と RODE Wireless GO 両者の実戦現場への投入を予定だ。
 追々、レビューを重ねていきたい。

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