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−>>2004/02/01/(Sun) 

は、あるか? 


〜第一章〜 DV規格とは?

 昨年3月。 アマチュアのみならず映像制作に関わる我々にとって衝撃的な…そして期待していたニュースが飛び込んできた。
 Victor GR-HD1……すなわち民生用ビデオカメラ初のハイビジョンカメラの発表である。
 BSデジタル放送も既に始まっており、また当年に末には地上デジタル放送開始の予定など俄にデジタルハイビジョンが身近になってきた矢先の出来事。いよいよ我々アマチュアにも自主ハイビジョン作品の日が訪れようとしているのか!! とDV規格が制定され商品化された時のようにあるいはそれ以上に心ときめかせた。



 しかし、詳細を追ってみると、少々予想と違う点がある。
 「MPEG2データをDVテープに記録」?
 「Victorの独自フォーマット」?
 どういうことだろう。
 DVテープによるハイビジョン規格というのは、既に1990年代に“HDデジタルVCR協議会”によって制定済みであり、決してVictor独自の規格ではなかったはずであるし、またMPEG2による記録ではなく、歴とした“DV codec”であったはずである。

 そうなのである。実は、元々DV規格で制定されていたHD規格とGR-HD1の採用しているHD規格は全く違うものだったのだ。
 さて、こうなると迂闊には手が出せない。
 HDデジタルVCR協議会によって制定されたハイビジョン規格であれば他のメーカも追随し、また編集ソフトウェアのベンダーもHD編集システムの開発リソースを大いに割いてくれるだろう。
 しかし、一社の…しかも突然のオリジナル規格ではその点は危うい。(MPEG2のトランスポートストリームをDVテープに記録する方法に関してはDVフォーマットの規格書である通称“ブルーブック”に記述がある)
 ………などと思って足踏みをしていると、その年の初秋には“HDV”という業界規格として「DVテープにMPEG2記録でハイビジョン記録する」という規格が生まれてしまった。
 この時点で既に元々あったDV codecによるハイビジョン規格は過去のものとなり、時代は確実にMPEG2によるハイビジョン規格への歩みを始めることと相成った訳である。

 業界統一規格が出来上がれば、あとは続々と商品化される事が予想される。
 特にVX2000ユーザにとってみれば、来るべき“VX3000”がハイビジョンDVである事は
約束されたようなものであり、まだ見ぬ次世代フラグシップ機に思いを馳せずには居られない。

 しかしながら未来に関して、もう一つ引っかかったものがあった。
 DV規格を元に派生したSONYの業務用規格 “DVCAM” の進化である。
 今やDVCAMは業務用といわれるVTR納品の現場を越えてCATVやCS、一部の地上波放送局でも使用されるにいたり、ハイアマチュアから放送局までと幅広い層から支持を受けている。
 そのDVCAMは勿論SD(標準)テレビの規格(720x480)であるわけだが、この度のハイビジョンDVの規格制定を受けて、ハイビジョン化し、“DVCAMーHD”といったような規格に進化するかという点は、大きな関心事である。
 
 そこで、改めてDV規格とは何なのか? 幻のDV codec ハイビジョン規格は? そして新ハイビジョンDV規格はどう纏まったのか? といった点を復習しつつ、DVCAMーHD の可能性を検証していきたい。

 なお、本文中での用語の定義であるが、現在の標準テレビ(720x480)用DVフォーマットを『DV-SD』、幻となってしまった DV codec によるハイビジョン規格を『DV-HD』、そして新ハイビジョンDV規格を正式規格名通り『HDV』と呼称することとする。



 まずはDV-SD規格の復習である。
 DV-SDフォーマットの規格は、映像信号を4:1:1としたフレーム内圧縮で、記録映像信号のレートは25Mbps(正確には24.9Mbps)に収めている。
 DV規格の元のとなる規格はITU-R601で、D-1フォーマットと同じくコンポーネント信号を13.5MHzでサンプリングしている。
 ITU-R601に基づき、RGBで処理された映像信号は720x480の有効画像領域の中で約250Mbpsとなり、膨大な情報量になる。(これは、一分間の映像だけで約1.9GBのHDDを消費する計算になる)
 DVフォーマットの映像ビットレートは約25Mbpsであるが、上述の250Mbpsに対して1/10圧縮を行わなければならない計算になる。
 しかし、DVフォーマットの採用するフレーム内圧縮の映像では1/5圧縮程度が原画質維持の限界であるとされ、1/10圧縮では当然映像が破綻してしまうことになる。
 そのために、様々な処理により圧縮率を低くし、画質を維持する工夫がなされている。
 まずは、そもそものデジタル映像信号の復習をしてみる。
 本来アナログな映像信号をデジタイズする場合に「量子化ビット」と「サンプリング周波数」という2つのパラメータの設定によってサンプリングを行う。
 「量子化ビット」とは、アナログ信号の縦軸(信号強度)を何段階に分割してデジタイズするか、というもので、DVフォーマットでは8ビットとなっている。
 8bitの場合、表現出来る階調は256(2の8乗)段階である。
 「サンプリング周波数」は、アナログ信号の横軸方向(時間軸)において、どれくらいの時間頻度でサンプリングするか、というもの。
  周波数とは、1秒間に繰り返されるこの波の数のことであるため、例えば、DVフォーマットに於ける輝度信号のサンプリング周波数「13.5 MHz」では、1秒間に「1350万回」のサンプリングを行っていることになる。



<アナログ信号とデジタル信号のサンプリング模式グラフ>


 さて、このサンプリングが圧縮を掛ける前のデジタル映像情報を作り出すわけであるが、すでにこのサンプリングにおいて、情報の「間引き」が始まっている。

 一般的にデジタル映像信号を扱うときは“RGB”から“YCbCr(YUV)”へと色空間変換が行われる。
 YCbCrでは、「人間の視覚は輝度にし対しては敏感だが、色に対しては比較的鈍感である」という人間の目の特性を利用して、色差成分のCb、Crから、視覚上で劣化が分からない程度に情報を間引くことが行われている。
 RGBからYCbCrへの変換は、
 
Y= 0.2989xRed+0.5866xGreen+0.1145xBlue
Cb=-0.1687xRed-0.3312xGreen+0.5000xBlue
Cr= 0.5000xRed-0.4183xGreen-0.0816xBlue

 で行われるが、この段階でのY:Cb:Crの情報量の関係は等しい。
 この状態では、情報量が多すぎるために、放送用フォーマットではCbCrの帯域を輝度(Y)の半分にした4:2:2方式が、DVフォーマットでは、1/4の4:1:1方式が採用されている。
 
 4:2:2や4:1:1の考え方は以下のような図式で表現できる。
 水平方向4ピクセルを基準として考え、輝度は各ピクセルごとに8ビット、色差は2ピクセルごと、あるいは4ピクセルごとに平均して8ビットでサンプリングする方式と考える。 

 4:2:2の場合………

 輝度は各ピクセルごとに8ビット、色差は2ピクセルごとにサブサンプリング(平均化)して8ビットでサンプリングする方式。その場合1ピクセル16ビットの情報量となる。

 4:1:1の場合………

 水平方向4ピクセルで色差情報を平均化する。1ピクセルの情報量は12ビット。

 これを先のアナログ信号に対するサンプリング図に置き換えると、以下のような表現になる。


 一番右がDVフォーマットの色差信号のサンプリング模式図となるが、他と比べると如何に情報量が少ないかが分かる。

 DVフォーマット4:1:1では、1ピクセルの情報量は12ビットとなるため、初めに掲げた約250Mbps(4:4:4の場合は1ピクセル24ビット)から、その半分の約127Mbpsにまで映像のデータレートを下げることが出来る。
 実際には、

   Y=108Mbps(= 13.5MHz × 8bit)
  Cb= 27Mbps(= 3.375MHz × 8bit) = 合計 162Mbps
  Cr= 27Mbps(= 3.375MHz × 8bit)

 であり、162Mbpsに含まれるブランキング部分(Vシンク・Hシンクなど)を差し引いて127Mbpsとなっている。

 なお、4:2:2で変換した場合の映像ビットレートは約170Mbpsで、この情報量の差が色解像度の差であり、DVフォーマットが色解像度の点で不利であることが分かる。

 127Mbpsにまで落とされた映像データはさらに、可逆圧縮のVLC圧縮や量子化数の丸め込みを行う離散コサイン変換(DCT)などの圧縮処理を経て25Mbpsにまで圧縮される。
 テープへの記録は、この映像信号に音声信号やサブコード情報(撮影日時など)、エラー訂正信号などが付加されて、41.85Mbpsで記録されている。
 
 
 さて、次にDV-HDの規格を見ていこう。
 まずは、現在のデジタルハイビジョンの規格を確認していく。
デジタルハイビジョンは少々規格が乱立しややこしいことになっているが、ここでは、「ハイビジョン」という単語を特定の規格を指す言葉として扱わず、「高品質テレビ規格」の意として用いることにする。
 デジタルハイビジョンの規格は解像度やインターレスかプログレッシブかなど複数の規格が規定されているが、以後ここで扱う規格は

  1920×1080/60i
  1280×720/60p 

 の2種類をメインに取り扱いたい。
 
 放送用のデジタルハイビジョンの標準サンプリング周波数は、輝度信号が74.25MHz、色差信号が37.125MHzである。
 これに対しDV-HDの仕様は、輝度信号:40.5MHzで、デジタルハイビジョンの輝度信号と比べて 5.5:3 の関係となる。
 DVフォーマットの規格書「ブルーブック(Specifications of Consumer-Use Digital VCRs using 6.3mm magnetic tape)」が手元にないため、正確なDV-HDの解像度が分からないのだが、MUSEハイビジョンの時代に作られた規格のため、有効走査線は1035本だそうだ。
 この1035本と輝度信号の40.5Mhzから計算してDV-HDは“1200x1035”辺りであったと考える。(もちろんブルーブックには正確なデータが載っているはずである)
 いずれにしても、有効走査線が1035本と……現在のデジタルハイビジョン規格からするとハイビジョン未満ということになる。
 とにかくも、幻の規格となってしまったDV-HDの情報は世間にあまり出回っておらず、ブルーブックが是非とも欲しいところである。
 DV-HD仕様は、記録信号ビットレートがDV-SDの倍の50Mbpsで、これをDV-SDの倍の20トラック/フレームに記録するために、回転4ヘッド方式(DV-SDは回転2ヘッド)を採用、さらにテープ送り速度も倍の37.594mm/sとなる。
 そのために、記録時間はDV-SDの半分となる。規格成立当時は、Mini DV テープがSDのSP録画で60分であったため、Mini DV テープによるDV-HDの記録時間は30分とブルーブックには記載されているはずだが、現在もしもDV-HDが製品化されていれば後の80分テープのお陰で最大記録時間は40分となり、多くの取材の現場で十分な収録時間が確保されたと言える。

 画質に関しては全く不明であるが、基本的にはDV-SDと同じDV codecによる圧縮処理が行われるため、高画質で、且つフレーム内圧縮による編集環境の簡便さもはかれた筈である。

 ここまでが、DV codec を使ったDVフォーマット(DV-SD/DV-HD)の規格内容の確認である。
 下載の表は、この2つのDVフォーマットを纏めたものである。
 ご参照頂きたい。

 今回はDV-SDとDV-HDについて見てきたが、次回は「HDV規格」について検証する。



  DV-SD DV-HD


テープ幅 6.35mm 6.35mm
カセット DVスタンダード/Mini DV DVスタンダード/Mini DV
記録時間 DVスタンダード:270分 DVスタンダード:135分
Mini DV:80分 Mini DV:40分
記録方式 テープ送り速度 18.831mm/s 37.594mm/s
信号記録方式 回転2ヘッド 回転4ヘッド
ドラム回転数 9000rpm 9000rpm
ドラム径 21.7mm 21.7mm
トラックピッチ 10μm 10μm
トラックフレーム フレーム:10 フレーム:20
記録速度 9.9m/s 9.9m/s
最短記録波長 0.49μm 0.49μm
映像 サンプリング周波数 輝度信号:13.5MHz 輝度信号:40.5MHz
色差信号:3.375MHz 色差信号:13.5MHz
(線順次)
量子化 8bit 8bit
音声 サンプリング周波数 48kHz 32kHz 48kHz 32kHz
量子化 16bit 12bitz 16bit 12bit
チャンネル数 2ch 4ch 4ch 8ch
圧縮 映像圧縮 フレーム内DCT フレーム内DCT
映像転送レート 25Mbps 50Mbps


by Signature Line

>宏哉:ACC*visualization

今年の秋には各社続々とHDV規格のビデオカメラを出してきそうな予感。
そういう流れを考えたとき、私の関心が高いフォーマット SONY DVCAM の行方が気になって仕方ありません。
そこで、改めてHDVという規格を復習し、業務用へ転化される可能性があるかどうかを探ってみようと思いました。




−>>2004/02/10/(Tue) 

は、あるか?


〜第二章〜 HDV規格を読む


 それでは、HDV規格について見てみる。

 まず、HDV規格は世界初の民生用デジタルハイビジョンカメラ“GR-DH1”が登場したときからあった規格ではない。
 正確には、GR-HD1の採用しているデジタルハイビジョンのMPEG2圧縮は、少なくともHD1の発表時にはVictorの独自規格であった。
 そこに、SONY、Canon、SHARPの三社が2002年秋のCEATECでのHD1の展示で関心を示し、計4社でDVテープへMPEG2でデジタルハイビジョン記録をする統一規格を作り上げた訳である。
 そして、その規格こそが“HDV”である。
 HDVの規格には大きく分けて2つある。
 一つはHD1が採用した720pによるプログレッシブハイビジョン記録。そしてもう一つがSONYがHDV規格に組み込んだ1080iのインターレスハイビジョン記録である。
 この流れから察するにSONY自身も内部的に独自でDVテープにMPEG2でのハイビジョン記録をする規格を模索していたようである。ただ、1080という高解像度と加えて圧縮の難しいインターレスを相手としていたためにVictorに“世界初”の座を譲ってしまったようだ。
 結果としてHDVは現在の家庭内で視聴可能であるハイビジョン規格を両方ともに記録可能な規格となったわけである。

 さて、次にHDVの技術的な部分を検証していく。
 まずは比較的情報が豊富な720pデジタルハイビジョンに関してである。
 Victor GR-HD1で採用されている720pは、解像度1280x720で、フレームレートは60fps/30fps/50fps/25fpsである。
 50fspや25fpsというのはあまり聞き慣れないフレームレートであるが、これは海外のテレビ規格であるPAL向けの規格である。
 圧縮方式は MPEG2 Video で Profile & Level:MP@H-14 と言う方式を採用している。
 Profile & Level:MP@H-14とはMPEG2規格が定める符号化クラスの定義。
 ここで、MPEG2の符号化定義を確認してみる。
 MPEG2圧縮では「Profile」と「Level」という要素の組み合わせによってクラス分けがされている。
 以下にMPEG2で規定しているProfileとLevelの一覧テーブルを掲載する。

  Simple Profile Main
Profile
SNR
Scalable
Profile
Spatially
Scalable
Profile
High
Profile
422
Profile
Multiview
Profile
High Leve
〜1920x1152
  MP@HL
〜80Mbps
    HP@HL
〜100Mbps
422@HL
〜300Mbps
MVP@HL
〜130Mbps
H-1440 Level
〜1440x1152
  MP@H-14
〜60Mbps
  SPt@H-14
〜60Mbps
HP@H-14
〜80Mbps
  MVP@H-14
〜100Mbps
Main Level
〜720x576
SP@ML
〜15Mbps
MP@ML
〜15Mbps
SNR@ML
〜15Mbps
  HP@ML
〜20Mbps
422@ML
〜50Mbps
MVP@ML
〜25Mbps
Low Level
〜352x28
8
  MP@LL
〜4Mbps
SNR@LL
〜4Mbps
      MVP@LL
〜8Mbps


 上テーブルから分かるように、MPEG2では7つのProfileと4つのLevelによって分類される。
 MPEG2にこの様な複雑なクラスの分類がなされているのは、様々なアプリケーション(Ex;標準テレビ品質〜スタジオ品質)を想定し、機能や品質を選択できるアルゴリズム構成になっているためである。
 そしてそのため、複数の機能と性能・品質のサブセットを定義する「Profile」と「Level」と言う考え方を用いる。
 Profileとはビットストリームを構成するパラメータやフラグのサブセットを表すもので、これにより符号化・復号化のアルゴリズムの基本構成が定義される。各プロファイルは異なるパラメータのサブセットをもち、付加的なパラメータはビットストリーム内に存在する拡張と呼ばれるパラメータのサブセットで表示されるようになっている。
 Levelとはビットストリーム内のパラメータに加えられる制約条件を表し、これによりProfileで定まる一定のアルゴリズム構成において達成される品質が定義される。パラメータの制約条件とは、例えば画像のサイズやビットレートなどに加えられる制限である。
 要約すれば、Profileは使用できる符号化ツールとシンタックス(構文)の範囲を示し、Levelは扱える画像の解像度やフレームレートなどパラメトリック(可変数値)の範囲を示している。

 Profileの種類を見ていく。
 最も単純な「Simple Profile」。標準的な「Main Profile」。2層のSNR階層符号化を扱う「SNR Profile」。3層の空間階層符号化を扱う「Spatial Profile」。SNRと空間を組み合わせた3層の階層符号化を扱う「High Profile」。スタジオ品質の高画質映像のための「422 Profile」。立体映像の撮影条件パラメータを扱う「Multiview」の7種類である。
 SimpleとMainの相違は双方向予測の有無であり、Mainと4:2:2の相違は後者が色差信号の密度が高い4:2:2フォーマットなど高品質化に適したProfileになっていることである。
 双方向予測とはMPEG映像を構成する“ I・P・B”といわれる3つのピクチャのうち、「現在、過去および未来の画像情報を使って符号化する」Bピクチャのことであり、Simple Profile ではこの Bピクチャを持たない事になる。

 デジタル放送では、この Main・Simple・4:2:2 のProfileが重要となってくる。
 デジタル放送の配信は Main が中心になるが、低遅延や品質の均一さが重視される場合には Simple が、スタジオ編集など再利用性も考慮した高品質符号化には 4:2:2 が主に用いられる。
 SNR、Spatially、High、Multiviewの各プロファイルでは階層性が定義されている。
 階層符号化は、符号化されたデータの一部を使って、デバイスや伝送系の能力や特性に応じた処理が行なえるものである。
 SNR(Signal-to-Noise Ratio)階層符号化は、量子化のレベル、すなわち映像の品質を階層化するタイプで、低品質から高品質へと階層化して行く。
 空間階層符号化は、空間方向、すなわち映像の解像度を階層化するタイプで、低解像度から高解像度へと階層化して行く。
 Multi-viewは立体符号化であり、2つのviewすなわち左眼画像と右眼画像を基本階層(ベースメントレイヤ)と拡張階層(エンハンスメントレイヤ)に分けて符号化する。
 いずれの階層符号化においても、基本階層は通常のMainプロファイルデコーダで復号可能であり、互換性を保っている。

 次にLevelの種類である。
 Levelでは、Low LevelがMPEG1相当の解像度、Main Level が標準テレビ画質、High Level と H-14 Levelがハイビジョン画質に相当する。
 High Level と H-14 Leve の違いは扱える解像度の差であり、High Level が 1920×1152 、 H-14 Leve が 1,440×1,152 までを扱える。


 さて、MPEG2の復習はこれぐらいにしておいて、HDVの規格の検証に戻る。
 HDVに採用されている“MP@H-14”であるが、上述から分かるように、「Main Profile@H-1440 Level」のことであり、すなわち「双方向予測を行い、階層符号を持たず、上限解像度 1440pix x 1152pix x 60fps」の圧縮を行う規格であると言える。
 
 対して 1080iデジタルハイビジョンの規格は、解像度 1440×1080 で、フレームレートは60fps/50fpsである。
 圧縮方式も720p規格と同様にMPEG2 MP@H-14である。
 1080i規格の解像度が1440x1080とフルフレームハイビジョン1920x1080と比べると少々少ないように感じるかも知れないが、現状のハイビジョン放送で主に使われている SONY HDCAM も1440x1080であり、解像度的には十分であるといえる。
 また画素数が少ない分、圧縮ノイズに対しても有利であり、回路設計を初めとするエンコーダチップなどのコストを慮ると妥当な選択であると言える。
 
 上記2つの規格の差はフレームサイズ以外にもある。
 まずは、サンプリング周波数である。
 720p・1080i のそれぞれの輝度サンプリング周波数は、前者が 74.25MHz、後者が 55.7MHzである。
 前章でも触れているが、74.25MHというのは標準的なフルフレームデジタルハイビジョンのサンプリング周波数である。
 一方、55.7MHzというサンプリング周波数はちょっと調べてみたが、このHDVの1080i規格以外に使用されているのを確認できなかった。
 ただ周波数としては十分に1080iを実現できる。(1440x1080x30=46.656MHz)
 DV-HDの規格では輝度信号が40.5MHzであったことを考えると、HDVのサンプリング後のデータ量はそれなりに大きなものである事が分かる。
 
 量子化ビット数は、両者、輝度・色差信号共に8bit、サンプリング構造は4:2:0である。
 この4:2:0については、後で詳述する。

 圧縮後のビットレートは両者で違いがある。
 720p規格が19Mbps、1080i規格が25Mbpsである。
 実は720p規格は、Victorが出してきた独自規格とはいうものの、ブルーブックに記載されている「MPEG2のトランスポートストリームをDVテープに記録する方法」に準じている。
 それに拠れば、MPEGのストリーム(映像・音声)記録は19Mbps以内で行うことになっており、そのためにHDVが統一規格化された後もHD1のフォーマット形式を倣って19Mbpsになっているものと考える。
 一方で、1080i規格はブルーブックの定義を越えて25Mbpsである。上述のブルーブックでの決まりでは、DVフォーマットでいう“ビデオトラック”にのみデータを書き込む仕様になっており、従来の音声トラックは利用しないのである。
 であるから、HD1も720p規格のビデオカメラも音声トラックは空っぽの状態なのである。
 それでは無駄があるということで、SONYが持ち出した1080i規格ではオーディオ部分も使って記録を行い25Mbpsのビットレートを確保しているのである。
 1080i規格は720p規格と比べてデータ量が多い。
 単純に解像度の差もあるが、インターレス走査の方がMPEGでの圧縮は厄介であるからだ。
 なお、「720pが、ビデオトラックだけを使っているとしても、25Mbpsまで利用できるのではないか?」と思うかも方もいるかも知れない。
 確かにDVフォーマットの映像ビットレートは25Mbpsであるから、ビデオトラックだけでも25Mbps確保できそうなようなものだ。
 しかし、実際には映像・音声のデータ以外に、“トリックデータ”と言われる特殊再生時に使用する専用データがある。
 これはMPEG2(フレーム間圧縮)であるがために表示困難な特殊再生時(サーチやスロー等)における映像表示を可能にするためものもので、サーチ時にドラムヘッドがトレースする位置に埋め込まれており、データ量は3.8Mbps。画面更新率は2〜4fpsである。
 D-VHSなどにも既に採用されているが、流石にD-VHSのライセンサであるVictorが提示してきた規格であると言えるだろう。
 さて、このトリックデータ3.8Mbpsと映像・音声の最高データレート18.7Mbpsを足し合わせると22.5Mbpsとなり、映像トラック25Mbpsを十分に使って記録することとなるのである。
 勿論、1080i規格も同様のトリックデータが記録される。恐らくは同じサイズのトリックデータ量だろうが、そうすると、25Mbps+3.8Mbps=28.8Mbpsとなる。
 DVフォーマットに於ける映像+音声データの総ビットレートは丁度28.8Mbpsであるので、1080i規格はフルにDVテープの記録領域を使用していることになる。(無論、この他にもサブコード情報なども付加されるため、最終的には40Mbps以上のデータとしてテープに記録される筈である。)
 
 ところで、実際このHDVだが、どれぐらいの圧縮率になっているのだろうか?
 DVフォーマットは映像データに関して言えば1/5圧縮になっている。
 今一度、DVフォーマットの情報量の計算を行ってみると、
  {(720x480x8)+(180x480x8)x2}x30≒125Mbps
 であり、これを25Mbpsに収めているので、25Mbps/125Mbps=1/5 と計算できる。

 同様に1080iと720p規格のデータ量を計算する。
 その前に、確認しておかねばならない事項がある。
 それはサンプリング構造の“4:2:0”というものだ。
 上述のDVフォーマットデータ量計算式にある、“180x480”というのはDVフォーマットが“4:1:1”に起因するもので、色解像度(Cb・Cr)はそれぞれ180x480となるためである。
 同様に4:2:0でもそのような勘定を行ってからの計算となるために、まずは4:2:0というサンプリング構造の確認である。
 4:2:0では、4:2:2サンプリングを行った後に、さらに垂直2ピクセルの色差情報をサブサンプリング(平均化)する方法で、1ピクセルの情報量は12bitになる。
 4:2:2サンプリングでは16bit/pixelであるため4:2:0の方が当然画質は落ちる。

 同じ12bit/pixelであれば、DVフォーマットと同じ4:1:1でも良いように思えるが実は、そうはいかないのである。
 ハイビジョン信号は走査の仕方が少々複雑で、次のようになっている。
 ハイビジョンの色信号は走査線1ライン毎に飛ばして表示され、Cb信号が表示されたラインにはCr信号が表示されず、その上下のラインに表示される。
 さらに、CbとCrのラインは1フレーム毎にラインを入れ替わり、結果的に1ラインだけを見ると、1フレーム後に、「Cbのみ」か「Crのみ」の走査ラインが生まれているわけである。
 この方法であると垂直色解像度は低下するが、垂直・水平で見た場合の総合的なバランスでは優れているとされる。
 この様な色信号のラインごとの交互入れ替えというのはPAL方式のDVフォーマットで採用されている。

 さて、このことからフルフレームデジタルハイビジョンのデータ量を割り出してみる。
 量子化ビットはDVと同じく8bitであるので、輝度は
  1920x1080x8
 である。
 色差は4:2:0より、それぞれ
  960x540x8
 であり、すなわち
  {(1920x1080x8)+(960x540x8)x2}x30≒746Mbps
 と求められる。

 これはDVデータの125Mbpsに対して実に6倍近いデータ量である。
 仮にこのデータをDVと同じ1/5圧縮すると150Mbpsになり、DVテープに収められたとしても 60分テープに10分しか収録できない計算になる。
 746Mbpsのデータを25Mbpsに収めるためには、約1/30に圧縮する必要があり、如何にMPEG2といえどもこれでは画像が破綻することは目に見えている。
 
 では、HDV規格の1440x1080ではどうなるだろうか?
 同様に計算してみる。
  {(1440x1080x8)+(720x540x8)x2}x30≒482Mbps
 である。
 つまり、サンプリング直後の1080i規格のビットレートは約482Mbpsということである。 これを25Mbpsに収めるとするとおおよそ1/19になり、フルフレーム1920x1080時の圧縮率より大分軽減される。

 では、この1/19圧縮のMPEG2画質であるが、一体どれほどのクオリティーになるのだろうか?
 現在の標準テレビ放送をデジタル録画する場合の圧縮率から敷衍して、ちょっとした思考遊びで考えてみる。
 簡単な計算ではじき出してみると、方式にも拠るが4:2:0サンプリングでエンコードされているDVDの圧縮前のビットレートはDVの時と同じ125Mbps前後。
 これを1/19すると、そのビットレートはおおよそ6.6Mbpsになる。
 DVDやハードディスクレコーダをお持ちの方は思い出して貰いたいのだが、6.6Mbpsと言えばどれぐらいの画質であるだろうか?
 一般的なMPEG2レコーダで言われる“SPモード”が約5.5〜6.0Mbpsであるようなので、
この6.6Mbpsは“SP+”と言える画質である。
 単純に標準テレビでのSP+とハイビジョンテレビでのSP+を比較するわけにはいかないが、現状の標準テレビでのSP+の画質で満足出来るのであれば、1080i規格でのSP+にもそこそこ満足できるのではないだろうか?

 考え方を変えれば、HDVの画質というのは良くても“SP+程度”にしか成らないのである。
 表現を民生用レコーダの録画モードである“SP”と言って、ビットレートで画質を云々していないのは、実は訳がある。
 というのは地上デジタルハイビジョン放送は24Mbpsでオンエアされているからである。
 つまり、HDV規格の持っている25Mbpsというビットレートは決して悪い訳ではないのだ。
 しかし、問題はハイビジョンのリアルタイムMPEG2コーディング技術である。
 特に民生機ではコストとの戦いが著しいため、コーディングチップを高価なものとすることは出来ないだろう。
 それは何もHDVに限らず、現状のHDDレコーダなどでも同様である。
 民生機と業務用チップを載せたエンコードボードとで、同じSPモードでDVDを制作したとしても画質に差が出来てしまう。
 デジタルハイビジョン放送と同じ25Mbps前後でデータを作成できても、現状では決してそのデジタルハイビジョン放送と同じクオリティーの画像は得られないのである。
 仮に、DVテープをもっと贅沢に使い、例えばDV-HDのように20トラック/フレームで、50Mbpsのビットレートを持ち、80分テープに40分HD記録…という方法などが採られていれば、それなりのエンコーダチップでも、かなり綺麗で満足のいくデジタルハイビジョン画質が得られてただろう。

 なお、1280x720x60pの場合は、
  {(1280x720x8)+(640x360x8)x2}x60≒664Mbps
 となり、1080iよりもデータ量が多くなる。
 これを19Mbpsに収めるには1/35圧縮が必要になってくる。
 ちなみにHDV一号機となるHD1は720pを採用しているもののCCDからの出力は30pであり、それを60pに変換して記録している。現状HD1では、この変換が巧く行われていないために動作のある映像部分で動きがおかしく見えているようだ。
 なお30pであれば、情報量は約330Mbpsであり、圧縮率は1/17程度に抑えられる。

 さて、720pと1080i規格の差の話に戻るが、もう一つ記録の方法に違いがある。
 それはMPEG2データのストリームタイプである。
 MPEG2規格には大きく分けて2つのストリームタイプがある。
 一つは、DVDなどに用いられるProgram Stream(PS)と、デジタル放送などで利用されているTransport Stream(TS)である。
 それぞれの特徴の説明を行う前に、MPEG2のパケット構造を簡単に説明しておく。
 両ストリームは基本要素として相互の変換を可能とするための中間的な状態である PES(Packetized Elementary Stream)パケットから構成される。
 PESパケットは、エンコードされた映像や音声のそれぞれのデータ;Elementary Stream にストリーム間の同期を取るために、復号化時刻や表示時刻などをヘッダーとして付加したもので、ヘッダからヘッダが一つの可変長なパケットとなり、再生同期などを取る。
 Program StreamとTransport StreamではこのPESの扱い方が違ってくる。
 PSでは、“パック”と言われるデータの並びで構成される。パックは、基準時刻情報をパックヘッダとして持ち、0個以上のPESパケットを含む。PSは1チャンネル分に相当する映像・音声のPESを多重化することが出来る。
 PSは、可変長のPESパケットサイズをセクターサイズに整合させるなどしてシンプルな構造にすることができるため、再生専用のDVDで採用されている。DVDでは、1セクターのサイズが2,048バイトの固定長という記録メディアの性質に合わせて、1セクターに1パックを格納している。PESパケット1個を1パックに格納することで、シンプルな構成になっている。
 対してTSでは、映像・音声・データの多重化伝送方式で、PESパケットを細かく分割してヘッダーを付加し、最終的に188バイトのTSパケットと呼ばれる単位にして伝送する。TSは、通信路の伝送方式と親和性の高い188バイト固定長の短いパケットで、複数のチャンネルを多重化できるなどの特長を持ち、より放送に適した方式である。
 PSはデータ誤りのない環境で使用されることが主で、蓄積メディアなどで利用され、TSは反対にデータ誤りが発生する環境で使用され放送や通信の分野で用いられる。

  HDV規格の720pでは、MPEG2のストリームタイプに Transport Stream が用いられている。
 将来的には、デジタル放送のダイレクト録画や、Blu-ray Disc との連携が可能になる筈である。
 現状でも、同じく MPEG2-TSを採用しているD-VHSとは連携可能であり、IEEE1394を用いてデータの交換が可能である。
 一方、1080i規格はTSでもPSでもなく、その基本要素のPacketized Elementary Stream の状態で記録されている。
 なぜ、この様な特殊な状態のままで記録されるのかは分からないが、1080iでは編集処理も考慮されたフォーマットとして規格化されているという話なのでそのあたりが関係しているのではないだろうか?

 以上が主な720p・1080i規格の違いである。
 なお、音声規格は共通であり、MPEG1 Audio Layer II ……つまりMP2を採用している。 DVのようにリニアPCMはサポートしておらず、音質の点ではDVに劣る。同じ圧縮規格でもより効率よく圧縮できるAAC(MPEG-2 Advanced Audio Coding)という選択肢もあったと思うが、HDVで記録した素材をIEEE1394経由でセットトップボックス(STB)に繋いだ場合、STBによってはAACをデコード出来ない…という理由からデファクトスタンダードなMP2が選ばれたという。
 可能な限り音質を保つために384Kbpsの高音質モードで記録される。ただし、オーディオチャンネルは2chのみであり、マルチオーディオ収録が出来ないなど、音声フォーマットは大幅にDVフォーマットに引けを取る。

 次回は、いよいよ“DVCAM-HD”を検証する。

 ビデオ規格HDVDV-SD
映像

ビデオ信号 720/60p、720/30p
720/50p、720/25p
1080/60i、1080/50i 480/60i
解像度 1280x720 1440x1080 720x480
アスペクト比 16:9 4:3


テープ幅 6.35mm 6.35mm
カセット DVスタンダード/Mini DV DVスタンダード/Mini DV
記録時間 DVスタンダード:270分 DVスタンダード:270分
Mini DV:80分 Mini DV:80分



テープ送り速度 18.831mm/s 18.831mm/s
記録方式 回転2ヘッド 回転2ヘッド
ドラム回転数 9000rpm 9000rpm
ドラム径 21.7mm 21.7mm
トラックピッチ 10μm 10μm
トラックフレーム フレーム:10 フレーム:10
記録速度 9.9m/s 9.9m/s
最短記録波長 0.49μm 0.49μm

圧縮方式 MPEG-2 Video(MP@H-14) フレーム内DCT
サンプリング周波数 輝度:74.25MHz 輝度55.7MHz 輝度:13.5MHz
サンプリング構造 4:2:0 4:1:1
量子化ビット数 8bit 8bit
ビットレート 約19Mbps 約25Mbps 25Mbps

音声形式 MPEG-1 Audio LayerII リニアPCM
サンプリング周波数 48kHz 48kHz 32kHz
量子化ビット数 16bit 16bit 12bit
チャンネル数 2ch 2ch 4ch
ビットレート 384kbps 1536kbps 1536kbps




システム規格 MPEG-2 Systems DV codec
ストリームタイプ Transport Stream Packetized Elementary Stream
インターフェース IEEE-1394 (MPEG2-TS) IEEE1394(DV)


by Signature Line

>宏哉:ACC*visualization

MPEG2……知っているようで知らないことばかり。今回も良い勉強をさせてもらいました。
現在も沖縄出張中。そのため、なかなか欲しい資料が手に入りません。
もう少し詳しくMPEG2に関しての記事を書きたかったのですが、力及ばずです。
さて、いよいよ次回はDVCAM-HD。どういう体裁にするか思案中。