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〜 創想雑誌 〜
−>>2012/11/01/(Thu) どきゃ。
- 先日。
丁度、スペインから帰ってきてから一週間後の事だが、2連休が出たので久々に雑誌の電子化――所謂「自炊」をやることにした。
我が家には、2008年に購入したドキュメントスキャナ“Canon DR-2050CII”がある。
DR-2050CIIを購入した当時は、まだ iPad や Andoroid をはじめとするメジャーなタブレットソリューションが世の中に存在せず、電子化した書籍はパソコンで読むのが一般的なスタイルだった。
しかし現在は iPad やスマートフォンなど電子書籍を閲覧するのに適したデバイスが数多く存在し、電子化した書籍の利用価値と頻度は飛躍的に向上している。
※参照:『書籍電子化計画( Canon DR-2050CII レポート)』
実は、この晩夏に実家に帰省した際に、実家の元自室に放置してあった雑誌や作っていない模型を「大阪の自宅に引き上げろ」という御触れが両親から出されていたので、段ボール数箱分に分けて自宅に宅配した。
引き上げた雑誌の殆どは「ビデオサロン」。
私が購読を始めたのは 1996年8月号からで、それから就職して実家を離れるまでの期間分のビデオサロンが実家に放置されていた。
さて、斯くして大阪の我が家には堆く積まれた雑誌入り段ボール箱が鎮座することになり、早急に電子化して占領された空間を奪い返す必要があったのだ。
まずは、思い入れが深い、人生初のビデオサロン;1996年8月号を電子化する。
裁断機で背表紙を切り落とし、“本”から“書類”へ。
ドキュメントスキャナ“Canon DR-2050CII”を MacBook Pro “KANATO”に接続。
DR-2050CII にビデオサロン8月号をセットして、いざ電子化開始!!
…………………………。
……………………。
………………。
…………。
……。
…。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっっ!!!!!!
一時間!!
たった一冊電子化するのに一時間掛かっている!!
もともと、DR-2050CII はカラースキャニングに時間が掛かる機種であり、ビデオサロンはビデオαよりもカラーページが多いため、今回のスキャニングの設定はカラーで行ったのだが、兎に角1枚のスキャンに時間がかかる。
加えて、DR-2050CIIに搭載された紙送りローラのゴム類が草臥れ始めているのか、紙詰まりや重送(紙が2枚以上重なって読み込まれてしまう事)トラブルが多発。
そのたびに、人手で重送箇所をスキャナにセットし直し、さらに読み込んだデータはセットし直した部分で別々のデータに分離しているので、Acrobat で編集し直してデータを結合して1冊の本の体裁に纏めなおす必要がある。
これを繰り返すことで、たった1冊を電子化するのに1時間掛かってしまったのだ……。
1年分を電子化するのに12時間……。
24時間掛けても2年分……。
果たして、全ての電子化が終了するのに何日かかるのか………。
「もう無理ですから!!!」
朝9時頃から電子化をはじめ、DR-2050CIIでの「自炊」に限界を感じ始めたのが10時。
直ぐさま、自転車漕いでヨドバシカメラ梅田へ。
そう、新しいドキュメントスキャナを買うしか、解決策はないではないか?
何の下調べもせずに、勢いでドキュメントスキャナの売り場へ。
Canon、EPSON、brother、FUJITSU の最新型のドキュメントスキャナが並ぶ。
実機のサイズやデザインと操作性。パンフレット。そして、スマホでそれぞれの機種のレビューや評価を調べながら、一機種ずつ選定していく。
そして、レビューを数多く調べていく中である一つの重要な事に気がついた。
各社の今年の最新機種のレビューの何れを読んでも、「FUJITSU の ScanSnap S1500 と比較して」とか「ScanSnap S1500 を超えられたか」という行が出てくるのだ。
ScanSnap S1500 …………。
恐らく、この機種が現在のドキュメントスキャナ市場のフラグシップ機でありデファクト・リファレンス機なのだろう。
早速、S1500 の情報を中心に調べ始める。
なるほど、S1500は私の欲しい機能と性能を満たしている。
現在のドキュメントスキャナ製品の基本的な仕様は、
・両面同時読み取り
・15〜25枚/分(カラー 300dpi)
・重送防止機能
以上は、どの機種も共通の主流機能だ。
特に重送防止は有り難い。
超音波センサーを使って、紙が重なってフィードさせるとスキャニングが停止して教えてくれるのである。
また、カラー読み込みも非常に早く、多くの機種でモノクロもカラーも処理速度は変わらないらしい。
さて、その中で S1500 であるが、読み込み速度は 20枚/分(カラー 300dpi)と最速の部類ではないのだが、他の高速読み取り機種と比べても読み取り品質……つまり画質が高く、データ化した書面が読みやすいという性能が評価できた。
また、カラー原稿かモノクロ原稿を判断して、スキャニング設定を自動的に切り替える自動判別機能がある。
これは非常にありがたい。
今までは、カラーページとモノクロページを自分で別々に分けて、それをそれぞれカラー設定とモノクロ設定を切り替えて、スキャニングし、そしてさらに編集でカラーページとモノクロページのデータを元通りに繋ぎ合わせる作業が必要だったのだ。
さらにさらに、原稿の継ぎ足しスキャン機能も重要。
ドキュメントスキャナの多くが、一回あたり50枚までの原稿しかセット出来ない仕様なのだが、その場合、ビデオサロンやビデオαの1冊分の原稿は一度ではセット出来ない。(一冊おおよそ80〜90枚。ページ数では160〜180頁)
そこで、1冊を前半と後半の2度に分けてスキャンするのだが、その場合も当然データが2つに分かれるために、あとの編集で1冊に纏め直す必要があった。
しかし、継ぎ足しスキャンに対応する事で、こちらが「スキャン終了」の指示を出すまでは、1冊分のデータとして読み込みを続けてくれるので、あとで継ぎ足し編集をする必要がなくなるのだ。
もともと、予算3万円強で考えていたのだが、結局 S1500 の性能に惹かれて +1万円の約4万円でお買い上げ。
急いで家へ帰って、DR-2050CIIを押しのけて S1500をセットアップ。
時間は11時半。
ビデオサロン8月号を再びスキャンしてみた。
速い!!速い!!
カラースキャンなのに、見ていて爽快なスキャニングリズム。
紙詰まりや重送も少なく、重送がある場合は製本時の糊がはみ出してページが分離していない場合のみ。
それを100%検知するので、読み取りデータに欠落がないのは非常に安心する。
重送検出後の処理も適切で、重送部分からを再スキャンし直すと、読み取りデータは分割されず、先ほどまで読み込んだデータの続きとして1つのデータに纏めて処理される。
なんか、そんな当たり前のことが、S1500ではしっかりと行われており、自炊暦が4年目に突入している身としては感動を覚える瞬間だった。
過去に購入したビデオサロンのスキャンニングは2日間で全て完了。
勿論48時間の2日間ではなく、普通に生活をしての2日間だ。
ちなみに、ビデオサロン1冊をスキャンニングし終えるのに約4分しか必要としない。
今は、ビデオαの電子化作業を継続している。
さて、10月の大きな買い物は ScanSnap S1500 が最後となったが、それにしてもこのひと月は、我が家のガジェット大更新月間となった。
インクジェットプリンタの “Canon PIXUS iP7230”を購入し、
モノクロレーザープリンタの “brother HL-2270DW”も導入。
途中、半月海外ロケへ出て、帰国後に SSD の “Intel SSDSC2CT240A4K5”を買って、メインマシン SEREN のシステム用SSD入れ替えを敢行。
また、撮影性能に問題が出て来た現行のコンパクトデジカメの買い換えも模索し、“SONY DSC-WX100”を選択するに至る。
そして、ドキュメントスキャナ“FUJITSU ScanSnap S1500”で電子化環境の改善を図った。
流石に、もう息切れ……。
もう懐が真冬……。
最後に、物欲に負けて「魔法少女まどか☆マギカ」の“暁美 ほむら (1/10スケール PVC塗装済み完成品)”を購入して10月は終了。
11月は冬眠しますかね……。
※本日の推奨物欲。
−>>2012/11/04/(Sun) タイは4度目。
- 今日までの4日間、ちょっとタイまでロケに行っておりました。
昨年の11月や今年の5月にも同じ番組で同様のネタのロケをやっており、今回で3度目。
滞在先は、パタヤ。
バンコクから車で1時間半〜2時間ほど南下した所にあるリゾート地です。
※http://next-zero.com/ToppageCNT/sousou-zasshi/nicky.cgi?DT=20111108A#20111108A
※http://next-zero.com/ToppageCNT/sousou-zasshi/nicky.cgi?DT=20120502A#20120502A
このロケは、タレントさんも1人いらっしゃる撮影で、その方ともこれで3度目。
半年に一度しかお会いできないのですが、私のことも覚えてくださっており、今回も和気藹々とロケをすることが出来ました。
ちなみに、テレビでは毎日のように拝見する、皆さんご存知の有名なタレントさんです。
<世界中からプレスが押し寄せてごった返す楽屋>
忙しかったのは、タイに入って初日。
朝、5時頃にタイに入国し、そこから夜の24時ぐらいまで取材でした。
ホテルに帰ったら26時。
流石に、すぐさまベッドで死亡。
翌日は午後から自由行動になったので、私はSongthaewに乗って、以前利用したマッサージ屋さんへ。
※http://www.spa-land1.com/sonteu/index.html
タイ式マッサージのお店は街に沢山有るのですが、私は大通りに面していない、Soi(脇道)を入った所にある小さなマッサージ屋さんを記憶を頼りに探しました。
全身マッサージで、1時間200Baht。
時間があったので、2時間やってもらうことにしました。2時間でも400Bahtですから、凄く安いです。
<パタヤの街の移動は、ソンテウ(乗り合いタクシー)で。>
丹念にたっぷりとマッサージをしてもらい、全身リフレッシュ。
その後、他のスタッフと合流してバンコクへ。
夜遅くにスワンナプーム国際空港を飛び立ち、早朝に日本へ戻ってきました。
タイは、食べ物も美味しく、国民性も日本人と合うので、何度行っても楽しいですね。
このロケは、毎度ディレクターさんからのご指名を頂いて、取材に行かせて頂いていますので、また来年の5月にこの番組でタイへ行くことが決まれば、4度目のパタヤがやって来るかも知れませんね。
Bahtも沢山余っているので、是非ともまた行きたい国です。
−>>2012/11/07/(Wed) HM600がヤバイ。
-
※この記事で指摘している問題は、InterBEE2012以降のファームウェアアップデートにより改善されつつあります。(2012/11/18追記)
以前、JVC の GY-HM650 での妄想雑誌を綴ったことがあったが、あれからも色々と情報収集をしながら、いよいよ本気で購入計画を練り始めていた。
購入したいのは GY-HM650 だが、機能縮小モデルの HM600 がこの11月から販売開始になり、量産機が店頭に展示されるようになったので、本日早速その使用感を確かめに行ってきた。
ファーストインプレッションとしては、あれこれ感想があるのだが、とりあえず、結論を先に述べる。
「使えない」
いや、使えるか使えないかは人それぞれだから、断言するのは反論もあるかもしれないが、少なくとも私は「買えない」。
「買わない」ではなく「買えない」という微妙な修辞にて表現したい。
以下、パート別に第一印象を記したい。
・サイズ:
カメラ本体は、小さく軽量でバランスも良い。
・感度:
2000lux F11 という感度は本当に明るくて、GAIN を“マイナス6dB”で使うのが基本になりそうなぐらい明るい。
ただ、プラス方向の GAIN は、SONY機よりも粗く感じる。
ノイズの多さは、記録時の圧縮行程にも大きく影響するので、最終画質での品質差はより大きくなるかもしれない。
同一環境でSONY機などとは比較していないので、飽くまでも“印象”だと思って頂きたい。
・ズーム:
ズームリングの反応も上々。
現在、テレビ業界では主流の SONY HVR-Z5J からの乗り換えであれば、納得できる仕上がりだ。
ズームリングの反応は、HVR-Z1J よりは少し劣るか?という具合。
ズームイン時のあたまが少し遊びがあり、ズーム開始に少しショックがあるが、許容範囲。ズームレバーを使えば、このショックは分からなくなる。
しかし、その部分以外のズーム操作は手に馴染む感じで、通常のズームワークならCanon機の様な大きな操作ラグは感じられない。
ズームイン/アウトの行って来い………すなわち「ガチョ〜ンズーム」は流石に全く動作が追い付いていないのは、他機種も同様だ。
ズーム系で嬉しいのは、超スローズームがやりやすい事。
SONY の Z5J などでの超スローズームは、10回に1回ぐらいの割合で奇跡的に実現できる隠し技みたいなワークだが、HM600 では毎回確実にスローズームが可能で、ズームスピードの幅がしっかりと設計されている。
さて、JVC肝いりの本当にバランスの良いカメラに仕上がっているのだが、致命傷があった。
スチルカメラなら兎に角、ビデオカメラとしては致命的だ。
「フォーカスが糞」
合焦が速いとか、正確に被写体を判断してフォーカスが合うとか、そういう評価以前の問題があった。
実際に実機で撮影した動画を観て頂ければ分かりやすいのだが、現時点では公表出来ないファイルなので、正常に動作する SONY HXR-NX5J による再現を行っている。
実物の挙動とは、異なる点もあるが、大まかに私が何を言わんとしているかを掴んで頂く材料として頂きたい。
まず、望遠側でマニュアルフォーカスにて被写体にフォーカスを固定する。
さぁ、ズームバックしてみよう。
ズームバックし始めた瞬間、フォーカスがハズれ画面全体がボケ、やがてズームし終わると一瞬迷ってからピントが合う。
オートフォーカスではない、マニュアルフォーカスでの話だ。
テレ端でフォーカスを取って、広角にしたらバックフォーカスがズレているというのは、デジクラスでは良く聞く話だが、これはそうではなく、ズームワークをすると取り敢えずフォーカスが外れるのだ。
所謂、盛大な「中間ボケ」を起こしているのだ。
<※映像は再現です。被写体でフォーカスを固定して、ズームバックすると…。>
反対に、ズームインの時も同様だ。
先ほどテレ端でフォーカスを取った被写体に向かってズームインするとき、広角ではピントはあっているのだが、ズームインし始めた瞬間からフォーカスが外れて、画面全体がボケ、やがて望遠側で被写体に寄ったら、フォーカスが合う。
それほど特殊なズームワークではない。
広い画の中に人物が立っていて、その人のバストショットに寄ろうとしたら、まずは画面全体のフォーカスがボケてそして、バストショット付近でフォーカスが合い直すのだ。
ワイド端からテレ端までのズーム速度は、3秒ぐらい。
“じんわりズーム”では出にくい現象だが、通常の舞台撮影や結婚式撮影では影響を受けると思って良い。
それでは、オートフォーカスならどうだ!? と思ってオートフォーカスで操作してみたが、これも全然ダメだ。
先ほどのマニュアルフォーカスとは、また違った挙動なのだが、例えばロングから人物のバストショットに寄るワークをイメージしてみる。
広角時はフォーカスが合っているのだが、ズームインをしてみると、まずもって被写体にフォーカスが合わない。
SONY機だとズームイン中に随時フォーカスを調整して、ズームインし切る時には対象にフォーカスがあっている具合だが、HM600はズームインし切ってから初めてカメラが「あー、この被写体にフォーカスを合わせるのか〜。よっこらしょっと」と言う具合で、フォーカス動作の挙動が遅い。
<※映像は再現です。オートフォーカスで被写体にズームインしていくと…。>
加えて、合焦判定や動作の精度が低い。
いずれのオートフォーカス搭載カメラも、一般的にはコントラスト合焦方式なのでフォーカスを前後させて、高コントラスト点を求めるワブリングを行うのだが、HM600は近年稀に見る「盛大なワブリング」を行う。
また、合焦点を見つけた(とカメラマンが思った)あとも、ずっとビクビクビクビクとフォーカスが動き続けている。
HM600/650 には顔検出によるオートフォーカス・オート露出機能があるが、こちらの顔判定オートフォーカスでも動作は同様。
ロングからバストショットへのズームイン時、ロングでは流石に顔判定は働かないのだが、ズームインをし始めると早々に顔を発見し、顔判定のオレンジ色の枠が表示される。
枠の表示は早いのだが、結局人物の顔にフォーカスが合うのはズームが終わってからで、「あー、この被写体にフォーカスを合わせるのか〜。よっこらしょっと」とフォーカスの挙動は変わらない。
しかも、人物の背景が高コントラストだと、顔判定での合焦処理をさせているはずなのに、後ろのコントラストが気になるのか、ずっとフォーカスがビクビクビクビクしている。
ちなみに、顔検出モードはカメラ操作モードを「フルオート」にしないと使えないので、フォーカスだけ顔検出オートであとの項目はマニュアル操作ということは出来ない。(※訂正:顔検出モードは設定によって、フォーカスと露出の両方を自動調整するセッティングと、フォーカスだけを自動調整するセッティングの2通りから選択できる。)
何にしても、マニュアルフォーカス/オートフォーカスともにフォーカス処理は全くダメで、動画を撮るビデオカメラとしては使えないのだ。
いや、使えなくはない。
ズーム途中は使わないで、“単焦点カメラ”だと思えば「ズーム中に狂うフォーカス」という現象を視聴者に知られることはないだろう。
ただ、少なくともテレビの ENG撮影ではご遠慮願いたい。
私がレギュラーで行かせていただいている海外ロケ番組にしても国内でのデジ取材にしても、このカメラでは仕事が出来ない。
ズームする度にフォーカスが狂うのだから、視聴者にもプロデューサにもディレクタにも怒られ、私は降板せざるを得なくなるだろう。
また友人の結婚式や舞台の撮影でも、使えない。
まだ、民生機を使っている方が上手く撮れるね、と言われかねない。
あぁ…何故だ……。
久々に、心躍るカメラで、購入意欲も最高潮に達していたのだが、やはり実機を触ってみないことには分からない事だらけだ…。
実は、この情報自体は発売前……既に半月ほど前に仕入れていた。
ただ、自分自身の目で確認した症状ではなかったし、私自身が実機を見るまでは公表するつもりは無かった。
また、各方面から「公表しないでね」と止められてもいた。
しかし、既に実機は市場に出回っており、誰でもその操作性や挙動・動作を確認できる段階にあるのだから、誰に憚ることもなくファーストインプレッションを記した。
一方、まだ私の GY-HM650購入熱は冷めていない。
これから、JVCが症状の確認と今後の対応をするかもしれないと言う情報も入っている。
このフォーカス問題がファームウェアの改修で改善可能なものであり、フォーカス動作が“正常”になれば、HM650は間違いなくヒット製品になるはずだ。
だが、現状の動作が“正常”で、あるいは技術的限界なのだとすれば、今後私がJVCのカメラに触れることは一切なくなるだろう。
ところで、解せないのは、この HM650/600 のレンズは FUJINON が開発しているわだが、カメラ全体の開発の終盤というか遅くとも量産前のチェックの時点で何故 FUJINON がこのような挙動に仕上がっている事に対して NO!と言わなかったのだろうか?
オートフォーカス処理の機構設計は JVCサイドなのかも知れないが、それにしてもこの様な「フォーカスの合わないカメラ」を出されては、FUJINON のレンズメーカとしての沽券にも関わる筈だ。
JVCの開発陣もこの問題をどうも認識出来ていなかった感じだし、本当に「連続切替的な単焦点カメラ」だと思っていたのだろうか??
個体差もあるのかも知れないが、事前情報でのカメラと今回の量産機は全然違う固体で、しかし挙動は同じなので、これは現状の設計仕様なのは間違いない。
HM650/600 の購入を考えられている方は、是非とも一度実機を触ってから判断した方が良いと思う。
ネット通販だけで、実機も見ないで購入すると、思いもよらなかった落とし穴が空いているかもしれない。
なんだか、私が HM650/600 のネガティブキャンペーンをし始めたような本日の創想雑誌だが、本心は全くその反対で、欲しくて欲しくて仕方ないのだ。
しかし、今の仕様では欲しくても「買えない」のである。
今回、HM600 のフォーカス挙動をケチョンケチョンに言ったが、私自身は心の底から「ファームで挙動改善してくれ!!」と神にも祈る思いだ。
私の HM650購入の用意は既に出来ている。
あとはフォーカス問題だけなのだ。
HM650の発売日を延期してでも、この問題に JVCは全力で取り組んで頂きたいと、衷心より願っている。
*追記
フォーカスに関しては、他社機に見られるようなオートフォーカス動作時にマニュアル介入する“AFアシスト機能”は無い。
Canon の XV1 で初めて搭載された機能で、以降、SONYやPanasonic のカメラにも搭載されている標準的な機能だと思うが、HM600には存在しない模様。
また Z5J や NX5J はホワイトバランスの調整を 100K単位で任意に調整可能であり、その操作はメニューに潜らずにカメラ表面のボタンとダイアルによってすぐさま行えるが、HM600ではメニューでしか調整が行えない。
ファームにより、追加可能な機能であると思うので、今後に期待したい。
(※訂正:メニューのホワイトバランス項目を、ユーザーボタンに割り当てることで、100K単位でのホワイトバランス調整が可能。)
※今回の HM600 の評価は、店頭にならぶ量産機で実際に収録を行い(MPEG2 35Mbps 4:2:0 HQモード)、我が家の EDIUS Pro 6.52 + STORM MOBILE により、SONY LMD-2110W(業務用21インチ液晶モニタ/1920x1080pix)で確認した物です。
HM600による撮影ファイルは、販売店の協力により得たものであり、現時点では公開できません。
悪しからず、ご了承ください。
また、個体差により現象が大きく出たり、反対に出にくい場合もあります。
実際、上記のような問題は出ていないとう報告もありますので、購入を検討されている方は、事前、若しくは納品時にしっかりと個体差性能を判定される事をオススメします。
※この記事で指摘している問題は、InterBEE2012以降のファームウェアアップデートにより改善されつつあります。(2012/11/18追記)
−>>2012/11/08/(Thu) HDD、逝く。
- いつもの T階さんからの持ち込み案件を2ヶ月ほど前から手を付け、昨日の夕方に漸く完成した。
今回は、別VTR用に撮影された素材を使って、それを別用途のVに仕上げて欲しいという物だった。
Vそのものは T階さんの友人の結婚式絡みなのだが、Vの用途も性格も違う。
「バラエティー素材でドキュメンタリを作ってくれ」という様なもので、もともと今回のVを想定して撮影されていない素材なので、当初は大分あたまを悩ませた…。
加えて、素材が足りないという事と、T階さん自身が撮影したのだが、とりあえず素人振りなので、編集泣かせであったのだ。
※関連記事:http://next-zero.com/ToppageCNT/sousou-zasshi/nicky.cgi?DT=20120208A#20120208A
いつぞやの披露宴撮影の時のように、T階さんの撮ってきた素材を見ながら、本人を目の前に、ケチョンケチョンに批評し、今後の糧にしていただいた。
編集は無事に納期に間に合い、今週末の結婚式の披露宴オープニングとして上映される予定だ。
既に、新郎新婦にはVチェックをしてもらったそうで、お二人とも大変に感動されていたとメールが届いた。
さて、そんな編集が終わった夜。
HM600の批評日記を書きながら、HM600のフォーカス挙動問題の再現映像を編集していると、急にEDIUSが固まり、強制終了せざるを得なくなった。
一度、マシン自体も再起動させたほうが良さそうだったので、再起動に入ったのだが、BIOS画面で身震いするような表示が。
“Degraded”
RAIDボリュームが、“劣化”しているという警告だ。
RAIDを構成するHDDの一つがエラーを起こし、ディスクアレイを不安定にさせていたのだ。
幸いにして、現在の SEREN は組み立て当初の RAID-5 構成ではなく、 RAID-10 にてディスクアレイを構築している。
この数年、RAID-5 にて運用を続けてきたが、その中で RAID-5 のリスクやエラー発生時の復旧作業に要する時間的コストなどを勘案すると、HDDをもう一枚増やして RAID-10を構築する方が安心であることに納得するに至った。
RAID-10 の場合、HDDの一つが故障しても、不安定ながら継続して運用は可能であり、この日の夜は HDDを一つ欠いた状態で編集作業をした。
翌朝。
つまり、今日。
新しいHDDをリプレイスする必要があったので、終業後にヨドバシカメラに寄って帰ろうと考えたのだが、通勤中の電車の中で Amazon.co.jp にアクセスしているうちに、結局 AmazonでHDDを購入してしまった。
朝の9:30頃の話なのだが、その日の夜 19:25 に配達完了。
流石は Amazon.co.jp と言ったところだ。
帰宅後、早速 RAID-10 の再構築に入る。
故障したHDDと新しく購入したHDDを入れ替えて、あとは Intel Matrix Strage Console を使って、再構築先の HDDを指定するだけで良い。
RAID-5で再構築(リビルド)を行うと、数十時間掛かった記憶があるが、RAID-10だと同一容量で2時間ほどで作業が完了した。
RAID-10の場合は、再構築時間を大幅に短縮できるので、作業の中断を最小限に押さえる事ができ、非常に有用であると体感できた。
現在は、安定して動作中。
一度HDDの中身を整理した上で、次の編集作業に入りたいと思う。
※本日の、推奨物欲。
−>>2012/11/14/(Wed) InterBEE 2012 備忘録-1
- 年に一度のお祭。
2012年国際放送機器展こと InterBEE 2012 がやってまいりました。
今年は11月14日から16日までの3日間、千葉県の幕張メッセで開催。
過去最多の 871社・団体が出展中です。
今年も、会社の InterBEE視察に立候補いたしまして、参戦しております。
では、それぞれのブースの様子を見ていきます。
■ Libec(平和精機工業株式会社)
いよいよ 本命 ENG用三脚を国産メーカの Libecが出してきた。
『RS +PLUS』というシリーズ名で、“RSP-850/850M”と“RSP-750C/750MC”の2機種がメインのラインナップとなる。(数字の後にMが付くモデルはミッドスプレッダ仕様)
RSP-850はヘビーデューティー仕様で、デジタルシネマカメラやプロンプタ/モニタビューファ搭載カメラなどに対応。最大搭載重量25kg。
一方 RSP-750はENGスタンダードモデルで、最大搭載重量は17kgとなる。
今回は ENG仕様の RSP-750 をじっくりと触ることが出来たので、その使用感を記す。
RSP-750 はカウンターバランスは無段階。一方、パン/ティルトのトルクはそれぞれ7段階となっている。
最大ティルト角は +90°/ -70°。カウンターバランスを最大まで回した場合は±40°に制限されるが、使用重量10kg前後のENGカメラであれば、その制限を気にする必要は無いだろう。
カウンターバランスのノブは大きく設計されており、この部分にもLibecのこだわりが有る。
まず、ノブを回してリフレクションの強さを上げていっても、ノブが重くならない。
カウンターの最小値から最大値まで、ほぼ同じ力で回すことが出来る。他社や従来機の場合は、カウンターを強くすればするほどそのノブを回す力も要するのだが、“スムースバランスシステム”と名付けられたこの機構は、あまり力を入れずに回し続けられる。
ただ、ノブの重さで今どれぐらいの範囲のカウンターが効いているのかを感覚的に判断している人も居るかも知れないので、意見が分かれるところかも知れない。
また、最小から最大までのノブの回転数が40回強ぐらいの回転数に押さえられている。
他社製品の場合、最大カウンターを得るために100回以上回る必要があるそうなので、RSP-750は出来るだけ少ない労力で必要カウンターを得る事ができる様になっている。
また、完全なカウンターバランスを得るためのシビアな調整を簡略化できる“バランススタビライザー機構”を新たに搭載。
本来ならば唯一一点しか存在しないはずの完全バランス点を外れていても、このスタビライザー機構に拠りある程度の調整の遊び(アバウトさ)が残っていても、「完全バランス」の状態を得ることが出来るそうだ。
ただ、弊害といえる部分もあり、スタビライザー機構が真のバランス点をぼやかしてしまうために、本来の唯一のバランス点を探り出すのは難しくなっている。
が、実用上はこのバランススタビライザー機構で完全バランスを実現してるので、問題は無いという。
トルクに関しては7段階。
無段階式のトルク機構に比べて、段階式は飛び飛びのトルク値しか得られないが、一方で段階分の数値がツマミに打ってあるために瞬時に目視でパン・ティルト共に同じトルクを得ることが出来るメリットもある。
また、使用感としては段階式トルクでも十分に欲しいトルクを得ることが出来た。
トルク調整ノブは、MILLERの三脚の様に雲台後方に並行配置されているのが特徴的だ。 ただし、使いにくい点も見つかった。
下方に設けられているPANトルク調整ノブが、その下にある水準器に近いために指を入れにくいのである。
特に、カメラを構えた姿勢のままで、回そうとすると指が入ったとしても回すことは困難であり、レイアウトの課題であると思う。
三脚の真後ろに立って調整する場合は問題ないのだが、カメラマンの現場での動きをシミュレートしながら操作してみたところ、そういった問題点も見つかった。
従来、この手の段階式トルクを採用する三脚はトルク値を変更した場合、一度大きくパンかティルト操作をして「カチン」とトルク値が切り替わるのを確認してから使う仕様が多かったが、このモデルではそういった余計なパンやティルト操作を行わなくても、自然にトルクが切り替わる。
操作性としては無段階トルクのそれに近いと思う。
さて、実際の三脚性能だが、望遠端でのパンやティルト、斜めパン、また接写を想定したやや下向きの超スローパニングなど、三脚の精密さが出やすい操作を幾つか行ってみたが、Vinten の Visionシリーズなどとも遜色のない滑らかな動作を確認できた。
バックラッシュもほぼ無く、十分にENGの現場でメインの三脚として投入できると判断した。
ただ、個人的にはトルクの重さを更に重く出来るとよいと思う。
最大の7まで回しても Vintenの重さ中頃よりも少し重い……という具合だった。
しかし、今以上にトルクを上げると、現行セットの三脚では対応出来ないだろう。
標準価格は45万弱という低価格ながらも、十分に100万円級の三脚と並べて勝負させられる性能を持っていると思う。
予算がないから安い三脚を……という選択ではなく、しっかりと性能に満足して選択肢に入れられる機種だと思う。
■ Vinten
VintenはENGクラスのカメラ対応の三脚には変化がなかったが、デジクラスの三脚に対して新しいラインアップを投下してきた。
既にデジクラス三脚として“Vision Blue”が販売されてるが、ここに“Vision Blue 5”と“Vision Blue 3”が加わった。
従来機の Vision Blue は 2.1〜5.0kg のカメラをサポートしていたが、“Vision Blue 5”で 5.5〜12kg “Vision Blue 3 ”で 3.0〜6.6kg をサポートする。
丁度、Libec の RSシリーズに対抗するラインナップである。
今回は特に“Vision Blue 3”を操作してみたが、非常に良い出来である。
いずれも無段階式のカウンターバランスとトルク(ドラッグ)調整機構を持っており、カメラマンが意図するバランスとトルクを完全に実現する。
脚部は、従来のENG用三脚と同じものが使われており、唯一の違いはボール径が75mmであるという事ぐらい。
そのため、捻れなどに対しても非常に強い。欠点としては、脚部が大きいためにこのクラスとしては自重量が8kg近くと重たいことだ。
実際の操作性能だが、デジクラスでは最上級の滑らかさである。
上位の Visionモデルと比べてもそのフィーリングは大きく変わらないので、ENGからデジに即座に乗り換えても操作感に違和感が生まれないほどに、洗練されている。
脚部がしっかりしているためにバックラッシュは皆無と言っても良い。
カメラマンの行いたい通りのワークを実現してくれる。
実は、この Vision Blueシリーズは、性能に対してはかなりリーズナブルな価格付けをしているという。
コスト削減の為に旧機種の金型を流用するなどし、雲台と脚部のシステムパッケージ販売で戦略価格を生んでいるそうだ。
とはいえ、他社のラインアップと比較すると十分に高額な価格設定となっており、“Vision Blue 3”が予価20万円前後、“Vision Blue 5”が30万強で販売されている。
ただ、値段相応の性能は発揮していると判断する。
■ JVC KENWOOD
さて、私個人にとって InterBEE参戦の最大の目的である GY-HM650/HM600 の現状況について記したい。
先日の創想雑誌で、私はこのカムコーダの評価を一言で言い表したのは記憶に新しいことと思う。
曰く、
「フォーカスが糞」
この一言に尽きたのだが、今回のInterBEE出展に於いて、まずは結論から言いたい。
「最高のカメラに仕上がりつつある」
以下、InterBEE段階における仕上がりを検証する。
・マニュアルフォーカス固定による、盛大な中間ボケ問題 ―>改善済
改善されている。
少なくとも、HM600量産機で確認できた、盛大な中間ボケはなくなっている。
以前は、テレ端でフォーカスを固定した後、ズームバックするとすぐさまフォーカスが甘くなる現象が確認できたが、そのような現象は大幅に改善されている。
まだまだズームバック始め少し怪しく、一生懸命にフォーカスを逃さないようにレンズが忙しなく動かして制御している様子が画から見て取れた。
カメラの液晶モニタ上での目視でそれが分かるぐらいであったので、大型のディスプレイで視聴すると少し気になるレベルかも知れないが、現在の修正バージョンは InterBEEへの間に合わせの為の調整であり、まだ社内の合格基準をパスしたわけではないと言うことで、今後の追い込み調整に期待したい。
しかし、現時点のファームでも、前回問題としたような現象は大幅に改善されているので、実用の範疇に確実に入ってきている。
・オートフォーカスで、広角から望遠端によると、まずもってピントが合わない問題 ―>改善済
こちらも、アルゴリズムが変更されて、実用の範囲に近づいた。
特に、ズームインしたい被写体に一度寄ってフォーカスを取れたのを確認したあと、広角にし、そこから再びズームインするという動作をしても、しっかりと一度寄った被写体に対してフォーカスを維持している。
以前は、一度寄ってフォーカスを取った被写体であるにも拘わらず、再び広角から寄ると完全にピントを見失うようなフォーカス挙動だった。
ただ、まだズームイン中にフォーカスすべき被写体距離を見直して、オートフォーカス調整を行うという挙動には、不安定さが残る感じがする。
具体的には、近くの被写体を撮影したあと、遠くの被写体に対してズームインをしていくと、近くで撮影した時のフォーカス値が残ったままなのか、新たな被写体に対して直ぐにフォーカスが合わない。
やはり、ズーム後にフォーカス調整をしているような感じがどうしてもする。
オートフォーカシングの速度が全体的に遅いというのがあるかも知れないが、ズーム途中でもっと早く被写体との距離を再認識しなおして欲しい。
この点の評価は、私の中でも再確認が必要な項目なので、明日もう一度条件を色々と変えて、オートフォーカスの挙動を探りたい。
・オートフォーカス動作時にマニュアル介入する“AFアシスト機能”が無い。 ―>機能追加
これは、私も期待していなかっただけに驚いた。
実は、ファームウェアによるフォーカス挙動の改善が可能だという話は、InterBEE以前から耳に入っていたのだが、その中で“AFアシスト機能”は、「検討課題にするが、次期モデルまで待つ必要があるかも」という段階の情報しか得ていなかった。
AFアシスト機能は、センサー系と入力系の両方の処理が必要になるために、根本的にこの部分を連携させる事(若しくはオート処理に対してのInterrupt)ができない作りに HM650/600がなっている場合は、この仕様の追加は諦めざるを得ないと考えていた。
しかし、今回の InterBEE対応ファームで、しっかりと“AFアシスト機能”が追加されていたのである。
これで、オートフォーカスを標準的なセッティングとして、“AFアシスト機能”を適宜活用し、より精度を求めたり落ち着いて撮影出来る状況ではマニュアルフォーカスで操作するという事が、実現可能になった。
まだ、今の段階ではオートフォーカス中にマニュアル介入して任意の合焦点へ持っていて、3秒間だけそれを保持した後はまた元のフォーカス合焦点へ戻る……という仕様になっている。
JVCには、やはり“AFアシスト機能”の実績が過去に無いために、この機能を搭載したものの、その後の処理をどうしたら良いのか分からなかったので、取り敢えず介入可能にしたという物だ。
勿論、3秒後に元の点に戻ってもらっては困るわけで「マニュアル介入後は新たに合焦させた被写体に対してフォーカスを保持し続けて欲しい」と要望しておいた。
当然、被写体や撮影環境次第では、それは難し条件となるだろうが、オートフォーカスアルゴリズムの可能な範囲で保持を頑張って欲しいと思う。
また、ノイズ感に関しても「SONY機よりも少し目立つようだ」と以前評価したが、この点も改善を行ったとのこと。
CMOSの固定パターンノイズの出方などを、再チューニングし直し、S/Nの改善を図ったという事だ。
私自身はノイズ感に関しては、展示場内でしっかりと検証を出来たわけではないので、評価は避けるが、明るくてノイズが少ないカメラが我々の前に現れようとしている。
<JVC GY-HM650>
本当に「使えるカメラ」に近づいており、いよいよ GY-HM650 に対する期待が膨らむ一方だ。
この様にしてみると、先日に創想雑誌でダメ出しした問題点が、次々とファームウェアで改善されている。
JVCの方が、創想雑誌を読んだんじゃないか??と思うぐらいにピンポイントな修正が図られているのだが、創想雑誌「読んだ」そうだ……(焦
しかも「熟読」の域を超えて「精査」される勢いで。
創想雑誌の記事は、VIDEO NETWORK の岡さんが JVCに紹介してくださったらしく、また当日のJVCのブースでたまたま出会った FUKUDAさんが「この人が、『フォーカスが糞』と書いた本人ですよ」とJVCのエンジニアと営業の方に引き合わせてくださった。
“HM650/600 をケチョンケチョンに批評した男”と“HM650/600に心血を注いで開発した男達”の対決!!?
後に、FUKUDAさんに「歴史的和解を見た」と評される夢の対談(?) in 立ち話30分。
今回のファームアップによるフォーカス挙動の改善に対して、非常に好評価で HM650/600 は、真に期待できるカメラになったとJVCの担当の方にはお伝えした。
一方、JVCの方からは、ユーザとしてどのような要望があるのかを尋ねられ、例えば色温度の100K単位の変更をメニューに潜らず出来るようにして欲しいと改めて要望。
その際のインターフェイスに関しても僭越ながら意見させて頂いた。
※2012/11/18 訂正
ホワイトバランスの変更は、カメラのアサイナブルボタンに「ホワイトバランス」を割り当てることで、直接“色温度”の変更項目を呼び出せる。
ただし、問題点もあったため、別途記述する。
JVCの方々は、今、本当にユーザの声一つ一つに対して、真摯に向き合って居られる。
先に創想雑誌を「精査」されたと書いたが、問題の日記をコピペして、Excelに項目毎に貼り付け、私の評価内容を分析し、それぞれの担当エンジニアに対して「君の担当した部分は、この様に評価されているぞ」と社内で情報共有して、そしてこの短い期間で InterBEEに間に合わせるために、徹夜の勢いで挙動改善を検討し、新しいファームウェアの組み上げに漕ぎ着けたそうだ。
もちろん、私の日記だけでなく、この問題を最初に私に教えてくださった大阪の販売店にもJVC開発陣は実際に足を運び、販売店からの意見も私同様にしっかりと吸い上げられている。
その粒々辛苦は、見事にこのInterBEEに結実したと思う。
ここで結果を見せてくださった JVCには感謝の念すら抱く。
明日、もう一度 JVCのブームには足を運ぶつもりで、もう少し色々と挙動を確認して来たい。
そして、帰阪したらいよいよ HM650 の見積もりを販売店さんに出して頂こうと思う。
−>>2012/11/16/(Fri) オンエア情報。
- InterBEE当日は、ブース視察と取材に注力したかったので、今年は速報レポートを上げられていません〜。
また、今日から仕事なので(InterBEE視察も仕事ですが……)、ちょっととまだ手を付けられていません〜 f>。<
書きたい事は山のようにあるので、かならず更新します。暫くお待ちください。
* * *
さて、明日17日は先日行った海外ロケのオンエアです。
マルタ共和国篇。
お楽しみに〜☆
※いつものチャンネルで、いつもの番組です。
−>>2012/11/17/(Sat) InterBEE 2012 備忘録-2
- ■ Canon
新しい ENGレンズの発表はなく、ほぼ“CINEMA EOS SYSTEM”の C500/C300/C100 がブースのメインを占めており、来場者もその多くが大判カメラの本命と目されるこれらのカメラに注視していた。
その中でも注目は C500 の 4Kソリューションである。
C500本体では 4Kの撮像は出来ても収録する事は出来ない。
サードパーティー製の収録機をコネクトすることにより 4K収録を実現している。
連携する 4Kレコーダとしては、AJA“KiPro quad”、ASTRO“HR-7510”、KG“UDR-N50A”、 codex“Onboard S Recoder”、Convergent Deign“Gemini 4:4:4”が展示されていた。
また、Canonブランドの 4K モニタも展示。
「なぜ Canon がモニターを出すのか?」と尋ねたところ、“CINEMA EOS SYSTEM”のワークフローの中のポストプロダクトのパートで、4Kの映像をより高画質でより正確にユーザに届けるに於いて、Canonが志操する品質を提供するため、という趣旨の回答をもらった。
考え方としては、デジタル一眼レフカメラで撮影した写真を、より忠実に現像する為に Canon が プロフェッショナル向けのプリンターシリーズ“PIXUS PRO LINE”を出しているような物だろうか。
4Kモニターは、まだ参考出展の段階だが、C500で撮影されディスプレイに映し出された映像は、情報量が膨大であるにも拘わらずノイズ感が無く、まるで DSLRで静止画撮影した写真を連続で見せられているような、そんな圧倒的な現実感だった。
放送向けのソリューションとしては、HDTVカメラ対応ズームレンズシリーズで、“DIGISUPER 80”が発表されている程度。
ワイド端が従来機よりも広角化され 8.8mm(2/3吋換算)となり、ズーム比も 80倍へと高倍率化している。
オートフォーカス機能は付いていないが、従来通りのシフト式光学防振機構やバーチャル用コネクタを搭載する。
■ FUJINON
ENGレンズに新しいラインアップはなく、昨年発表され既に発売されている“HA19x7.4BE”が最新モデルとなる。
箱形レンズでは、“XA77×9.5BESM”と“XA99×8.4BE”が発表されていた。
両機とも従来機と基本的な特徴は変わることないが、特に“XA99×8.4BE”は ズーム比100倍クラスのレンズの中では、最もワイドとなる 8.4mmの引き尻を持ち、より様々な場面で幅広い画作りに活用できる。
技術的な新展示品としては「可変NDアダプタ“ND-P01”」が挙げられる。
防振アダプタの様に、レンズとカメラ本体の間に装着する形で、様々な 2/3インチレンズに対応。
光量調整を従来のターレット式NDフィルターによる飛び飛びの値ではなく、シームレスにクリアから1/64まで変更できる。
光学的にはアダプタ内部に濃淡がグラデーション状になったNDフィルターが2枚入っており、それを相互に回転させることでムラのない光量調整を実現している。
シームレスにNDフィルターの濃度が切り替わることで、屋外から屋内にカメラが入った時に、従来であればNDフィルタの切替が映像として写ってしまっていたが、この“ND-P01”を使用することで、NDの切り替わりを感じさせることなく収録を行う事ができる。
また、連続的にNDの濃度が調整出来るために、アイリス値を固定して一定の被写界深度を保ったまま撮影する事なども可能。
実験的にレンズをオートアイリスモードにし、望遠気味の画角を作る。
ND-P01で徐々にND濃度を上げていくと、アイリスが開放方向に開いていき、すると被写界深度が連続的に浅くなっていくので、一切「画角が変化しないのに背景だけがボケていく」という従来にはない映像表現も可能だった。
問題としては、“ND-P01”を装着することでカメラのオペレーション重量が増えたり、担いだときのバランスが悪くなったりすることと、望遠側に 1.3倍のテレシフトを起こしてしまう事だろう。
将来的には、ENGポータブルレンズの従来筐体サイズに収容、もしくはカメラメーカと協力して現行のターレット式NDフィルターに変わるものとしてカメラ本体に内蔵される物になるかも知れない。
■ sachtler
デジ向け三脚のシリーズである、aceシリーズに新モデルが登場し、従来機よりも幅広いカメラへの対応と、カウンターバランスのより細かな調整が可能になった。
今回発表されたモデルは“System Ace L”。
従来の ace機同様に小振りなフルーイドヘッドの中に、上位のsachtler三脚と同じ構造のヘッドシステムを組み入れている。
カウンターバランスステップは、従来の5段階から7段階に増え、搭載するカメラに最適なステップを見つけやすくなっている。
水準器も自照式となり、暗所での使用がしやすくなった。
対応カメラ重量は、0〜6kg。対して三脚システムの自重はカーボンファイバーの脚部を採用した事により 3.9kg(ミッドススプレッダ装着時)と軽量化されいる。
実際の操作感は、sachtlerらしい重厚且つ滑らかな動きを実現している。
ただ、脚部が非常に貧弱で、バックラッシュは盛大に発生する。
システム全体として小型でスマートなのは嬉しいが、接写や望遠での撮影が多くなるような現場には向かないと思った。
私が一番気になったのは“TT Tripod”という75mmボール系対応の1本パイプ型の三脚だ。
スプレッダはなく、脚部は3段階の開脚が可能。脚の伸張も3段階となる。
脚の長さを最短にして最大角まで開くと、おおよそ30〜40cmぐらいのローアングル三脚として使うことが出来る。
開脚角度を一番小さくすると通常の三脚使用も可能であり、アイレベル以上の高さからローアングルまでをこの三脚1本でこなすことが出来る。
また、この手の1本パイプ型の脚は、脚部の伸縮ロックがネジ式の物が多いが、レバーロックタイプであることに非常に好感が持てる。
極力機材を減らしたい海外ロケなどに最適ではないかと考えるが、このシステムに足りないとすれば、対応するスプレッダだろう。
ミッドスプレッダタイプがそうであるように、脚を伸ばせば伸ばすほど脚部の設置占有範囲が広がってしまうので、ENG使いするにはグランドスプレッダを装着できるようにし通常使用し、ローアングルの時だけスプレッダを外して運用するなどの対応が出来れば、よりロケで利用しやすいだろうと、提案した。
ただ“TT Tripod”で惜しむらくは、この脚部だけの販売は現在のところ予定していないということで、同社のFSBシリーズとのシステムパッケージ販売に限定されている。
“TT Tripod”は、間違いなく特殊使用となる三脚なので、是非とも脚部だけの販売を検討して欲しいと強く進言しておいた。
−>>2012/11/19/(Mon) InterBEE 2012 備忘録-3
- ■ Roland
ネットストリーミングや小規模なイベントスイッチングなどに最適なスイッチャ製品を生み出し続けている Rolandからは、新型スイッチャーとして“V-40HD”が発表された。
V-40HDは、上位の V-800HDから機能を集約し、低価格化を果たしている。
映像入力系統を4チャンネル備え、「HDMI」「RGB/コンポーネント」「コンポジット」に全てのチャンネルで対応。
HDMIはHDCP管理された映像信号も扱える。
また、アナログオーディオ入力を備え、音響機器からの音声を HMDIに重畳する事ができる。オーディオ・ディレイ機能も搭載するのため映像と音声のズレも調整可能。
出力は3系統備え、“OUTPUT 1”では「HDMI」「RGB/コンポーネント」「コンポジット」での出力に対応する。
なお、既に発売されている V-800HD のアップデートも発表されており、Ver.1.5となる。
新バージョンでは、
・3G-SDI Level A/B 両対応
・クロマキー設定項目追加
・メモリ読込みパラメータ選択
・ABスイッチング・モード追加
・AUX出力機能の追加
・PGM出力色調整幅の拡大
・ラストメモリー機能
・HDCP非対応マルチビュー・モニター対応
が機能追加となる。
さて、Rolandの新製品の中で最も私が気になったのが、VIDEO CONVERTER VC-1 Series だ。
HDMIと HD-SDI の変換コンバーターは既に他社から数多く発売されているが、 Roland は最後発として高品質のコンバーターを投入してきた。
今回発表されたコンバータは3製品。
・SDI to HDMI 専用の VC-1-SH
・HDMI to SDI 専用の VC-1-HS
・SDI と HDMI の双方向変換に対応した VC-1-DL
いずれのコンバータにもアナログオーディオのエンベデッド機能があり、またアナログオーディオの出力系も装備する。
さらに VC-1-DL は、信号の相互変換の他に、ビデオ・オーディオのディレイ(それぞれ最大 4.5フレーム)の遅延や、外部リファレンス信号の入力により複数のカメラのビデオ信号を同期させるフレームシンクロナイザーも搭載する。
コンバータの機能設定は本体のディップスイッチで行えるほか、USB接続によりPCより専用ソフトでコントロール可能となっている。
さて、肝心の信号変換の品質だが、ブースでは他社メーカのコンバータとのブラインドテストが行われており、Roland の VC-1シリーズは努めて映像特性を忠実に再現する能力を備えていた。
具体的な社名は伏せられていたが、A社のコンバータ製品では信号の 0%未満や100%以上をコンバータが勝手にクリップする仕様になっており、暗部と明部の階調が変化していた。
またB社のコンバータは、利用するのが恐ろしくなるほどの変容で、もはや元の波形を想像することすら不可能なぐらいに波線がのたうち回っていた。
単にモニタリングに使用するだけであれば、目を瞑ることも出来るだろうが、変換した信号を収録して利用する場合などは、元信号からの忠実度は大きな問題になるだろう。
特に最近は、安価なコンバータが出回っているために、今一度手持ちのコンバータの性能をしっかりと再検証すべきだと思わされた。
また、回路設計の段階から熱処理にも注意を払っており、数時間を連続運転させてもコンバーターの筐体が熱を持ちにくいようになっている。
私の会社でも実例として過去に 直射日光を受けたB社のコンバータが熱暴走で機能停止し、その先に繋がれていた全てのモニタ映像がダウンするというトラブルを経験している。
過酷な環境での長時間運用に於いて信頼性と忠実性を求めるならば、VC-1 Series は第一候補となるだろう。
価格は VC-1-SHとVC-1-HSが 5万円程度、VC-1-DLは 10万円程度になる予定で、このクオリティーと価格から一家に一台は置いておきたいコンバータである。
■ 池上通信機
Ikegamiは中継カメラの新製品としてスタンダードタイプの“HDK-970A/AP”を発表した。
既に発売されているとハンディタイプの“HDK-97A/97AP”と同等の機能を備える。
“HDK-970A/AP”は、3G-SDI 1080p(59.94/50Hz)出力に対応し、4:4:4 や 2倍スローが可能となる。
HDプロンプタや HD-SDI TRUNK回線も備えるために、HD信号による柔軟なシステム構築が可能となる。
クラス的には SONYの HDC-2000シリーズに相当するものだ。
また、マルチスタンダードモデルとして、ハンディタイプの“HDK-79GX”も発表。
2/3型230万画素AIT CCDを採用し1080/59.94iと1080/29.97psfに対応。
S/N 60dB、F10/2000lxの高画質・高感度カメラとなる。
特徴としては、2枚の光学フィルタに電気色温度フィルタを加えた3枚フィルタ構成。
電気色温度フィルタでは色温度の切替をショックレスに行える。
デジタルエクステンダ機能も備える、1.5・2・3・4倍の倍率がトグル式に切り替わる。
ただ、実際に実用に耐える画質は 1.5倍までだろう。それ以上は緊急的にどうしても高倍率を必要とするときの使用に限られそうだ。
またフォーカスアシストの機能も面白い。
“HDK-79GX”は2インチのカラー液晶VFを備えるが、フォーカシングの為にレンズのフォーカスリングを回すと、VF画面の中央部部分だけがモノクロに切り替わりピーキングが明瞭になり合焦が取りやすくなる。
勿論、メニューによりこの機能を ON/OFFする事は可能だ。
ドッカブル仕様につき、ファイバアダプタ/トライアックスアダプタなど運用形態に合わせて、様々なシステムに組み込める。
システムエキスパンダにより大型箱形レンズとの組み合わせも可能。
−>>2012/11/23/(Fri) InterBEE 2012 備忘録-4
- ■ SONY
SONYの展示ラインアップは、大別して2つ。
一つは XDCAMシリーズの拡充と安定。
もう一つは、4Kソリューションの展開である。
XDCAMシリーズは、ローエンドからハイエンドまでのシリーズラインナップを余すことなく満たしている状態になりつつある。
特にローエンドでは、今年の夏から秋にかけて PMW-100/200/160 と3つのハンドヘルド型ビデオカメラが登場した。
PMW-200は、従来機の PMW-EX1R の後継機となり、レンズ周りはその流用となっているようだが、カメラ全体の仕上がりとしては EX1R の様な不格好なデカさの印象が消え、少し大ぶりながらも持ちやすく安定したカメラに仕上がっている。
感度はクラストップレベルを誇る 2000lux F11 でありメカニカルズームリングのレスポンスの良さとも併せて、操作性の面でも使いやすいカメラである。
PMW-160 は、HVR-Z5J や HXR-NX5J の後継機とも言える立場にあるカメラで、 1/3インチ CMOS に光学20倍ズームレンズを備える。
CMOSの画素数も 1920x1080pix となり、SONYの 1/3インチ業務用カムコーダでも漸くフルHD画素での撮影が行えるようになった。
レンズ部分は、一見すると Z5Jなどからの流用のように見えるが、PMW-160用に新設計をしているとのこと。
大きな差異は認められなかったが、スペックシートを見ると多少 PMW-160の方が広角化しているように読める。
ただ、InterBEEにて展示されていた PMW-160 には、不思議な“フレア”のような光学現象が見られた。
写真は、PMW-160の液晶画面を再撮したものだが、画面の下方部に緑色のオーラのような光学的乱れが見られる。
周辺の照明などに対して特定の角度にした場合に確認できた現象だが、何らかの条件が整うと、この様な“フレア”のような物が盛大に出る可能性があると言うことだ。
実際に、SONYの説明員に現場でこの様子を再現して見せてみたのだが、「あ、本当ですね」という程度の反応で、問題を認識出来ていない様子だった。
「レンズコーティングに何か問題があるのではないですか?」と投げ掛けてみたのだが、芳しい反応は返ってこなかった。
なんというか、このあたりの反応を見てみても、SONYのこの機種に対する本気度があまり感じられず、NAB2012で発表された JVC GY-HM650/600 に対抗して、間に合わせで出してきた印象が拭いきれない機種である。
・
XDCAMシリーズの中で、魅力を感じたのがスタジオレコーダーである “XDS-PD200”だ。
“XDS-PD200”は既に発売済みの製品であり、実際に私も現場で見ることがある。
PD2000 は SONYの開発者が「十徳デッキ」と呼ぶほどの多機能型デッキで、メディアステーションと呼ぶに相応しい。
XDCAM用の Professional Disc と SxSカードの読み書きに対応し、SSDによる内蔵ストレージを備える。
SSDと Professional Disc・SxSカードの間での素材コピーは勿論のこと、SSD内やDisc/カード間でトランスコードコピーが可能になっており、例えば HQ35Mbps の素材を HD422 50Mbps に変換してコピーを行う事ができる。
ネットワーク接続によるファイル転送や、ノンリニア編集/リニア編集への組み込み、スタジオレコーダとしての VTRライクなオペレーションなど、現在主流の HDW-M2000 のリプレイスを図るフラグシップデッキである。
今回の InterBEEでは PD2000専用のオプションとして、XCDAM Station AVCコーデック“XDBK-106”が発表された。
“XDBK-106”は H.264/AVCのイントラフレーム圧縮を採用したコーデックオプション。 XDCAMシリーズは LongGOP型の MPEG2コーデックを採用するフォーマットであるが、XDBK-106 を PD2000に組み込むことで H.264/AVCでの記録が可能になる。
内蔵SSD内へベースバンド記録による AVC記録の他、トランスコピーでの AVC変換にも対応。
Professional Disc と SxSカード にも UserDataフォルダにデータとしてコピーすることが出来る。
XDBK-106による AVCコーデック記録はXDCAMの高画質化の要望に応えるもの。
選択できるビットレートは、50Mbps と 100Mbpsとなる。
従来、XDCAM HD 422 が 報道現場などの画質よりも素材の軽量さとコストを優先させるフィールドで活用され、映画やCMなどの高品質を求めるジャンルでは SRMASTER という 220M〜880Mbpsという高ビットレートフォーマットが担ってきた。
しかし、番組制作など高画質を求められる分野でコストコントロールも重要となってくる現場に置いて『HD422以上 SRMASTER未満』というミドルレンジのフォーマットを求める声が大きくなってきており、それに応える形で 100Mbpsを採用する AVCコーデックオプションを発表した形である。
収録時のファイルラッパーは MXF となり、一般的なノンリニア編集ソフトでの取り扱いが可能になっている。
H.264/AVC のイントラ圧縮で、MXF形式となると、Panasonic の AVC−Intra を思い浮かべるが、XDBK-106による AVCコーデックとの互換性は無い。
これは、XDCAM に於ける MXFのオペレーショナルパターン は “MXF OP1a”形式を採用しているのに対して、AVC−Intraを含む P2は“MXF OPAtom”によるラッピングとなっているからである。
ラッピング形式の違いでしかないので、アプリケーションでその差異は吸収できる範疇なのだが、SONYとしては Panasonic の AVC−Intra をサポートするメリットは現状ないため、マーケティング戦略的にも対応する事はないだろう。
現状では、AVCコーデック記録されたファイルは、XDBK-106を組み込んだ PD2000での再生か、H.264を再生出来るパソコン上から動画データとして読み込む事になり、限定された環境での利用に留まるだろうが、将来的には XDCAM に於いてオルタナティブなコーデックとなる可能性もある。
4Kを含めてSONYの放送業務用のコーデックとして確固たる地位を築くには、AVCコーデックの担う役割は、この先の XDCAMシリーズ内に於いて非常に重要になってくるように思う。
・
また、レコーダで言えばマルチチャンネルレコーダの“SR-R1000”が興味深かった。
“SR-R1000”は、SONY SRMASTERシリーズのメインレコーダの地位にあり、4系統マルチチャンネル同時録再やネットワーク運用、リニア/ノンリニア対応、RGB/3D/2K/4K収録可能。
コーデックは、HDCAM-SRと同様の MPEG-4 SStP で、SR-Lite(220Mbps)・SE-SQ(440Mbps)・SR-HQ(880Mbps)※いずれも2D収録時、となっている。
HDC-2000シリーズと組み合わせることで、1080i/120fps での収録が可能。
その収録素材を2倍スローとして再生可能であり、従来の 60fps収録の素材に拠るスロー出しと比較すると、ブレの少ない綺麗なスロー再生が可能であった。
HDC-2000/2500はスポーツ中継の現場で既に活用され始めている為、HDC-3300の様な専用のスーパースローカメラを投入しなくても、通常機材の範囲で高品位のスロー再生が可能になるのは大きい。
また、HDC-2000/2500 の CCU“HDCU-2000/2500”からは、59.94i と 119.88iの同時出力が可能なためラインプレビューでは 59.94i を利用し、スロー再生では 119.88i素材を利用して滑らかなスローを再生するなどといった使い方も可能になる。
これだけのスペックを誇りながらも、希望小売価格で 4,830,000円とは破格である。
・
また、ENGカメラをシステムカメラとして利用できる、カメラアダプターシステムも新しく発表されていた。
光ファイバーケーブルを利用する “CA-FB70”とデジタルトライアックス接続の“CA-TX70”である。
“CA-FB70”と“CA-TX70”は同時開発が行われており、スペック的には接続ケーブルの差以外は、ほぼ同じである。
<光ファイバーケーブルタイプの“CA-FB70”>
両機のスペックは、一般的なSONYの中継カメラのそれを踏襲しており、HDCシリーズやBVPシリーズを使い慣れている者なら、違和感なく操作できる。
リターンは、RET 1〜4のセレクタブル。
インカムラインは PRODとENGの切り替えが可能であり、INTERCOMとPGMの音量調整も個別に行える。
RET用コネクタもあるためカムコーダ本体ボタンでのリターン確認だけではなく、ワイヤードリモコンによるリターン確認も可能だ。
また、アナログSDだがプロンプターアウトも備える。TRUN機能は備えない。
勿論、タリーも点く。
対応するカメラは、26pin利用のシステムカメラ“HXC-D70”、XDCAMシリーズの“PMW-500”“PMW-350”“PMW-320”。
ただし、PMW-500”には50ピンインターフェイスオプションの“CBK-HD02”、“PMW-350/320”には“CBK-CE01”の装着が別途必要となる。
専用CCUとの接続は、光ファイバータイプの“CA-FB70”では専用の光電気複合ケーブルかLCコネクタを採用するシングルモード光ファイバーケーブルを利用可能。
光電気複合ケーブルを利用する場合は、カメラ本体への電源供給もCCU側から可能になり、シンプルなシステム構築が出来る。
シングルモード光ファイバーケーブルの場合は、別途カメラ電源を用意する必要がある。
シングルモード光ファイバーを利用した接続は最長10kmの伝送が可能。
光電気複合ケーブルでは250mの伝送距離を確保できる。
<専用の光電気複合ケーブル>
また、テレビ業界で従来から利用されている光電気複合ケーブル(光複合ケーブル)も利用可能で、現時点では LEMO型のコネクターに対応するオプションキットが販売される。
ただし、LEMOオプションはカメラ側のコネクタキットで約5万円、CCU側でも5万円、取り付け工事に10万円ほど掛かるため、ケーブルを含めて新規にシステムを組み上げる場合は、専用の光電複合ケーブルで纏めた方がコストとしては有利だろう。
なお、多治見型のコネクタキットの発売は未定だが、今後ユーザからの要望があれば考慮するとのこと。
一方、デジタルトライアックスケーブルを採用する“CA-TX70”は基本的な機能は“CA-FB70”と変わらない。
SD中継カメラシステムで利用していたトライアックスケーブルをそのまま利用できるため、施設などに既設の伝送系を利用してカメラとCCUを入れ替えるだけで撮影設備を SDからHDへグレードアップ出来る。
デジタルトライアックスは、OFDMによるデジタル変調を行い、その伝送距離は最長1,200mとなる。
現在は、対応するカメラが少ないために活用できるユーザは限られているが、今後対応するカメラが多く登場すれば、1台でENGと中継・スタジオシステムを賄う事が出来るポテンシャルを持つカメラをより多くのユーザが手にする事になる。
特にテレビ業界向けには、PDW-700クラスのハイエンドカムコーダに対応するようになってほしい。
テレビ制作の現場も、製作費削減の中で技術費に避けるコストが圧迫されてきており、従来であれば中継システムを入れてマルチカム運用したほうが合理的な現場であっても、ENGを数台投入して大量のケーブルを結線して、無理繰り運用という実状もある。
これでは、技術の負担が増える一方で、また収録トラブルなど電気・機械的な不具合の発生度合いも高まり、結果的には高コストとなる場合もある。
日頃はスタンドアローンでのENG取材で、案件によっては“CA-FB70”を併用したマルチカム収録というシステムスイッチャブルな運用が可能になり、非常に有用だ。
これからのSONYのENGカメラには、“CA-FB70”“CA-TX70”対応を標準とした仕様で展開してもらえると、魅力的だ。
−>>2012/11/26/(Mon) GY-HM650/600 備忘録
- ここ最近は、JVC GY-HM600 の話題ばかりで恐縮である。
InterBEE 2012 での JVCさんの話では、11月21日に改善ファームウェアのβ版を内部的に出すという事で、JVCさんが対応を約束されていた量販店さんにβ版適用機があるかなぁ〜と思い、店頭を訪れてみた。
無事にβは仕上がったようで、店頭デモ機1台にファームが当てられていた。
βファームなので、ここでは詳細は記さないが、基本的な部分では InterBEE のままという感じ。
この後、JVC社内の品質保証審査……つまりデバッグその他があるので、それを通過して一般リリースがされるだろう。
こちらの時期の目処は、現時点では情報無し。
<撮影協力:ビデオ近畿日本橋店(http://videkin.com/)>
さて、ここからの話はβファームウェアの使用感ではなく、InterBEEでの緊急改善ファームウェアに基づく話だ。
これまた、私の備忘録のような物なので、今日見てきたβ版とも最終的なリリース版とも違う物として読んで頂きたい。
●ホワイトバランス(妄想談義)
先日の InterBEE JVCブースの記事にも記したが、GY-HM600/650ではホワイトバランスの調整を 100K単位で行う事が出来る。
この機能は、InterBEEのファームウェアとは関係なく、HM600のリリース時から仕様として組み込まれていたものである。
それ自体は非常に有り難いのであるが、個人的にはユーザインターフェイスの点で改良の余地ありと見ている。
つまり、100K単位変更へのアプローチの仕方は別の方法があるのではないか、という事だ。
現在の GY-HM600でのホワイトバランスの100K変更のアプローチは、カメラ本体のユーザボタンに『ホワイトバランス』という項目を割り当てることで出来る。
ホワイトバランスのトグルスイッチを“PRESET”にしている場合に『ホワイトバランス』を割り当てたユーザボタンを押すと 100Kずつの色温度調整メニューが呼び出され、“メモリA /B”のポジションにある場合は『AWBペイント』の項目が呼び出される仕様だ。
AWBペイント機能は、R値とB値を X/Y軸で調整する機能である。所謂、プッシュホワイトバランスによって得られた適正ホワイトバランス値に対して赤味や青味を足し引きする事が出来る。
<『AWBペイント』のGUI>
このアプローチ方法の考え方としては、ユーザボタンが直接にメニュー内の「ホワイトバランスに関する項目」を呼び出すショートカットボタンとして働く、という事だ。
これで十分に満足すべきなのかも知れないが、もう少しスマートな方法がないかと妄想してみる。
私が感じている問題点は2つ。
1つは、ホワイトバランス設定のために、貴重なユーザボタンを1つ占有させてしまう点。
2つめは、ホワイトバランスに関するものは、ホワイトバランスをオペレートする為のボタンやスイッチ部に集中させるべきではないか?というものだ。
特に2つ目の観点から気になっていて、ホワイトバランスの為にすでにカメラ本体には、PRESET/A/B のトグルスイッチと、“”のプッシュボタンが設けられているのだから、その中で完結出来ないか?という思いがある。
<オレンジの枠内がホワイトバランスに関するスイッチやボタン/撮影協力:ビデオ近畿日本橋店>
そんな話を Symphonics の佐藤代表と話していたら彼から Good ideaが出て来て、それに私も補足を付け加えて、スマートな形でのアプローチを妄想するに至った。
方法は、ホワイトバランス“”スイッチの長押しによる、色温度値の変更だ。
GY-HM650/600 のホワイトバランスの“PRESET”は、興味深い仕様が施されており、PRESET自体に「PRESET色温度1」「PRESET色温度2」として、色温度を2つ設定できる。
初期設定では、“”を押す度に、“3200K”と“5600K"がトグルする。。
この仕様を活かして、「PRESET色温度1」が有効なときに“”を長押しすると、「PRESET色温度1」の色温度を100Kずつ調整できるというアプローチが考えられる。
同様に「PRESET色温度2」が有効なときも“”の長押しで色温度が変更出来るようにする。
長押しの時間は1秒間。
また、メモリーA・B にスイッチがある場合は、“”の1秒押しで、『AWBペイント』に入れれば良い。
もともと、メモリーA・Bスイッチでは“”を押すことで色温度を自動調整するわけで、このボタンに色温度数値の変更機能が割り当てられているのは、ユーザから見ても自然に思えるし分かりやすいと思う。
以下に、挙動を纏めてみると、
PRESET +“”=色温度1/2の切替
メモリーA+“”=ホワイトバランス自動調整
メモリーB+“”=ホワイトバランス自動調整
PRESET +“”長押し=色温度1/2の設定値変更
メモリーA+“”長押し=AWBペイント
メモリーB+“”長押し=AWBペイント
以上の様に、ホワイトバランスに関する項目を、トグルスイッチとボタンだけに集約できる考え方だ。
技術的な制限としては HM650/600の設計仕様で“”ボタンが長押し判定を行えるのかどうかである。
また、個人的には色温度設定項目は、現状のようにGUIでカラフルにメニュー表示する必要は無く、もともと液晶画面の右下に表示されている“P<5600K>”といった表示項目の数値が直接変化するだけで十分だとも思う。
これは、SONY HVR-Z5J などを日頃使うユーザとしての感覚だ。
考え方としては、アイリスを調整している時に液晶画面上のF数値が変化するのと同じ事で、ホワイトバランスの調整はあくまでもアイリスやフォーカスと同じで、カメラマンにとっては撮像意図の調整であるため、上述のような素っ気なくも実用的なアプローチで良いのではないかと思う。
さらに、少しテーマとは外れるが、誤認を避けるために、液晶モニタ上の“P<5600K>”といった表示を“P1<5600K>”“P2<3800K>”などと表示するようにする事で、ユーザがどっちのプリセット値を調整しているのかが分かりやすくするなどの工夫も欲しい。
そんな妄想仕様になると、ホワイトバランス調整に於けるインターフェイスはスマートになって、ユーザーボタンを解放することも出来るし、一石二鳥ではないかと思う。
まぁ、こんな仕様が実現されないとしても 100K調整の機能はついているので、実用ラインはクリアしている。
ただ、現状の“ユーザボタンに『ホワイトバランス』を割り当てて、ホワイトバランスメニュー項目を呼び出す”というアプローチのまま行くとしても、ここだけは改善して欲しいという譲れない点がある。
それは、ユーザーボタンを押してホワイトバランス項目を呼び出した場合、決定ボタンを押さないとホワイトバランス項目から抜けられないという点だ。
HM650/600 には、カメラ側面に6つのユーザボタンが設けられているが、ボタンをカスタマイズしていく中で、機能の割り当てを覚えていなかったり、あるいはブラインドで操作した場合に、誤って「ホワイトバランス項目」の呼び出しをしてしまう場合があるだろう。
例えば、ゼブラ機能の場合、ボタンを押す度にゼブラONとOFFが切り替わる。
しかし、「ホワイトバランス」のメニューを呼び出すと、もう一度ボタンを押してもメニューは消えず、「決定」ボタンを押す必要があるのである。
この仕様は非常に不便であり、他のボタン割り当ての機能の挙動からしても異質だ。
少なくとも、ボタンを押す度に「ホワイトバランス項目」の呼び出し/キャンセルが出来るようになって欲しい。
●1080 25p
PAL圏で運用される“1080 25p”の設定で撮影した場合に、インターレース映像が記録されてしまうという問題があったようだが、既にこの問題に対応した改善ファームがリリースされている。
25pでの影響を大きく受ける PAL圏での公開となっており、
http://www.jvcpro.co.uk/jpe/en/video/article.1908.html
からダウンロードが出来るようになっている。
●長時間バッテリー
こちらは、InterBEE 2012 の時分で、要望があれば作るかもという段階から一歩進んで、JVC も IDX も準備中という回答になっている様だ。
登場時期は不明だが、HM650が市場に出回り始めた直後の来年初頭にはリリースして欲しいと思う。
●無限遠フォーカススイッチ
SONY機などと同様、オート/マニュアルフォーカスの切替は、縦スライド型の切替スイッチで行う。
無限遠フォーカスを取るときも同様で、スライドスイッチを“∞”マークまでスライドさせれば無限遠になるのだが、初期機では“∞”に一瞬スイッチが入っただけで、一気に無限遠になる挙動だったのだが、ファームウェアの改善では誤操作防止のために“∞”に1秒ほどスライド状態を保たないと、無限遠にならないよう改善されている。
●JVC機の伝統
SONY機をはじめ、殆どのENGカメラは VTR/GAIN/OUTPUT/WHT BALのスイッチが全て同じ丸頭のトグルスイッチを使っており、ブランド操作での誤操作を防ぐためにスイッチの台座の形状を変えることで対応している。
一方で、JVCのENGカメラは、古くから GAINスイッチとその他のスイッチの形状が異なる設計がされている。
GY-HM650/600もその例に漏れず、トグルスイッチは2つしかないものの、GAINスイッチは横一文字のマイナス形状のレバーを、ホワイトバランスは丸頭のレバーを採用しており、指先で触れば即座に GAIN か WHTBAL なのかを判断できる。
小さなこだわりだが、理に適っており、非常に評価できる。
<トグルスイッチの形状が違うことが分かる/撮影協力:ビデオ近畿日本橋店>
●やっぱり遅いオートフォーカス
オートフォーカス利用時に、フォーカスがなかなか合焦しない上に、望遠側で一度フォーカスがあった被写体から一度広角に画を変えて、再び先ほどの被写体にズームすると、またフォーカスが合っておらず、そして合焦するのにまた時間が掛かるという問題があった。
この「一度合わせたはずのオートフォーカスが、再び合わない」という問題は、InterBEEでの緊急改善ファームウェアで対策されており、一度あった合焦距離を保持しておくというアルゴリズムで改善された。
しかし新たな問題として、今度は先ほどとは焦点距離が違う被写体にズームして寄りに行くと、先ほどの焦点距離を保持した状態で画を決めてしまい、新たな被写体に対する合焦が遅いという問題が出て来た。
もともと、オートフォーカスの合焦が遅いため、ファームアップの弊害というよりも問題が一層あぶり出されたという方が正しいと思うが、オートフォーカスが基本となるハンドヘルドクラスのこのクラスのカメラではオートフォーカスが遅いというのは致命的とも言える問題だ。
ズームなどで画角を変えている最中にフォーカスの合焦点をリアルタイムに更新していない為に、このような3テンポぐらい遅れたオートフォーカス挙動になっているのだろう。
そのくせ、合焦する瞬間は急激な合焦を見せる。
さらに、オートフォーカスで合焦するときもワブリングが凄く、ぐぐぐぐぐっとフォーカスを前後に探る挙動をする。
まるで、デジカメのオートフォーカスのような挙動だ。
言うまでも無いことだが、ビデオカメラはフォーカスが合うまでの、フォーカシング中の映像も記録され、場合によっては使うこともある。
いや、フォーカシング途中の映像が使われるなど基本だ。
この盛大すぎるワブリングも、オートフォーカスがいよいよ合うときの急激な合焦も映像としてお茶の間に流れてしまうのだ。
SONY HVR-Z5Jなどをオートフォーカスで使っている時は、このようなオートフォーカスの挙動を極端に感じさせるシチュエーションは極めて稀だったが、HM650/600は合焦時には常にこの極端な挙動を取るために、「オートフォーカスしている!!」と見せつけてしまう。
フォーカス挙動に多くの問題を抱えている GY-HM650/600 だが、ズーム中の中間ボケは改善されつつあるし、また機種的にはバックフォーカス狂いが無いことを目指した設計も為されていると言うことで、ちゃんとしたフォーカス処理が搭載されれば、安心して使えるビデオカメラになるはずだ。
繰り返しになるが、デジクラスのビデオカメラではオートフォーカスの挙動と性能・精度は非常に重要なファクターとなるので、この点に関しては最後の最後までしっかりとファームウェアを追い込んで頂きたいと思う。
以上が、InterBEE対応緊急改善ファームウェアが当たった GY-HM650/600 の動作状況から見た評価である。
大ハズレの部分は、かなり改善され、使い方を工夫すれば使えるカメラになりつつあるかなぁ〜、という具合だ。
やはり、フォーカス挙動に関する部分が実戦導入する上で不安を感じさせるので、この部分だけは、どれだけやってもやり足りないぐらいに改善と調整を行って欲しい。
しかし、何故にこの GY-HM650/600 は「JVC、初めてビデオカメラ作りました」みたいな事になっているのだろうか??
例えばオートフォーカスの挙動など、民生機でのノウハウの蓄積があると思うのだが、こうも基本的な事が出来ていないのが不思議でならない。
いずれにしても、最終版のファームウェア公開までには、まだ時間があると思う。
改善版のリリースを見届け、GY-HM650 でどれほどの改良が見られるかによって、最終判断を行いたいと思う。
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