#!/usr/local/bin/php 【Next-Zero】『「八日市は妖怪地」記録ビデオ制作記(/編集編)』
 
 


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〜 「八日市は妖怪地」記録ビデオ制作記 〜


(提出日:02/11/04)


***  準備〜前夜祭 ***  本祭当日 ***  編集 ***


編集編:
 さて、いよいよ編集である。
 取材中は、クルーや取材対象に囲まれて楽しい日々であったが、私がディレクターを兼任している以上編集は一人っきりの寂しい作業である。
 しかも、収録したものを見ながら笑ったりしてしまうからなお寂しい…。
 さて、それはさておき、今回の編集…というか完成ビデオグラムの内容を確認しておこう。


ビデオグラム構成内容略載:
  • イベント概略説明
  • イベントへ向けての準備の模様
  • 学生ボランティアへのインタ
  • ほない会(実行委員会)会員へのインタ
  • マスコミ取材の様子
  • 前夜祭
  • 当日の様子・紹介
  • 肝試しコースへの赤外線カメラの潜入やコース巡回。
  • 来訪者へのインタ ・統括者;加藤さんへのインタ
  • 肝試し責任者;石橋さんへのインタ
  • 後日談?
 ※来年度イベント開催用の映像資料としての意義があるようにする。


 これが取材前の予定であった。
 結果的に多少前後するプロットがあるが、ほぼこの流れである。
 内容としては、ほない会メンバーが当日とそれまでの準備を振り返って感慨に浸れるという要素と、来年度以降の企画への資料、加えて外部の団体に対する宣伝VTRという要素の以上を織り込んでいく必要がある。
 純然たるドキュメンタリーではあるが、PRを兼ねる…という役割を持たす必要があり、関係者以外が見ても理解できる構成を立てた。


 今回の取材テープはMini DV 60分テープが10本。ほぼ10時間の素材がそろったわけであり、テレビ番組なら30分のドキュメンタリ番組を作れる素材量である。
 7月末に ほない会に取材申し込み時に提出した書類中に「本編は20〜30分を予定。」としており、予定通りの取材量を確保できた。



 編集構成を練るためにもまずは収録内容のチェックである。
 StormNaviを利用し全カットをサムネイル化して内容をComment欄に記入していく。
 キャプチャー時の効率を考えて確実なIN点を取れる様に「精度優先」の検出を行い、加えてコメントを記す必要があったために、素材確認だけに10〜15時間以上掛かった。



 すべての内容が確認できたところで、ビデオグラム構成内容略載を元にさらに詳しい各パートの構成を行い、必要なカットの目星を付けていく。
 その際に、シーンに対するナレーションの有無やその大まかな文章を考え後日のナレーション収録に備えた。結果として、後半…編集作業そのものに手一杯になり、ナレーションの有無と長さまでは決定したが、内容を考えるまでに至らず浅野嬢には多大な迷惑をかける事になる…。


 構成が決定し、必要素材が決まったところで一気に素材をキャプチャする。
 結果的に340ファイル36GB分の素材を取り込んだ。
 編集作業はPremiere6.0を基本に、合成やモーション処理をAfter Effects 5.0、音響編集をSound Forge 5.0、テロップ・イラスト作成をPhotoshop 6.0、3DCG製作を3ds MAX 4.2で行った。
 テロップは65ファイル必要であったため、制作の効率を上げるためにその作成は細君に任せ、一部の字幕とイラストだけを私が制作することにした。


 納品は9月末日まで…としておいたが、8月29日に慰労会兼上映会がある…ということで、それまでに見られるものを完成させておく必要があった。
 さらに、私的にはACCの第2回オフ会が25日に予定していたので、それにも仮初めのものを用意しておきたかったのである。

 全カットを配置し、全体の尺がほぼ決定したのは8月10日前後。そこから徐々に修正を繰り返し、最終的に29分30秒の作品になることが確定した。

 現地素材の配置が終わったところで、次にCGアニメーションの制作に入る。この段階では、まだCG予定部分には<コース紹介CG>といったメモテロップが入っているだけであり、After Effects による2Dアニメーションや3ds MAX による3DCGアニメーションの制作に入ったのは16日以降である。


 まずAfter Effects によるアニメーション制作であるが、こちらはテロップアニメーションを行うために用いた。冒頭の「八日市は妖怪地」という語呂合わせ部分の表現や、アルテミスDVによる肝試しコース紹介での“仕掛け”紹介、あとエンディングロールの制作を行った。

肝試しコース紹介。

 特に、文字の細かなエンディングロールでは出力設定を何度か変更検討し、最もチラツキの少ない出力画が得られるように数パターンを出力した。
 エンディングロールは上映会寸前まで未完成であり、オフ会の段階では ほない会メンバーの名前部分は、<名前  名前  名前………>という失笑を買うようなロール状態であった。
 結局エンディングロールの完成は上映会当日の14時過ぎ。上映会開始が16時であったので、最終的な確認時間を含めるとギリギリの時間であった。
 なお、納品したパッケージではさらに調整をしている。




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 3ds MAX では、肝試しコースとなった“延命山”を3DCGで描き起こし、順路を鳥瞰するアニメーションを作る事にした。
 3DCGを入れることは実際の取材に取りかかってから考えたのだが、実は3ds MAX購入から一年もたつのに結局まったく利用しておらず、ほとんどその操作方法すら理解できていない状態での制作となるため、念のために2DCGによる表現も思案していた。
 結果的に完成作品は習作以上のものではないわけで(苦笑)3ds MAXなどを使わずとも作れるような貧弱なものであるが、大変に良い勉強になった。
 制作は八日市市の地図を購入し、等高線を割り出し、また現地で山周辺の撮影を行い地図上に記載されていない山の北西部の山裾を判断した。



 肝試しコースは一般用と、小学生以下用の2コースがあるため2コースの形をそれぞれ描画させ、各仕掛けポイントに文字を出す…という極簡単なアニメーションを作ることにした。
 実際は、山の木々を描画したかったのだが、Tree作成用のフリープラグインでは立体部への木の配置ができなかったりと断念せざるを得なかった。TREE STORMなどのプラグインが欲しいところである。


 音響系の編集はインタビュー部分の音声などの処理を必要に応じてSound Forgeで整音したが、インタビューシーンの音声のほとんどはPremiere上でオーディオフィルタを利用して処理した。特に、インタビューの背後で鳴いているセミの声をグライコで切ったりする作業が多かった。
 またBGMは尺あわせにSound Forgeを利用している。


 ナレーション収録は18日に行った。
 17時頃に浅野嬢と合流したのだが、私の方は編集で手一杯であったためナレーション原稿が殆どできておらず、我が家に到着後は原稿作成に時間を費やした。
 各シーンのナレーションの概要と尺は決まっていたので原稿の前半は比較的楽に作れたのだが、最後エンディングに掛かるナレーションなどは内容的に大変に神経を使い、また二人とも疲れ果てていたため…1時間ほど壊れた精神状態で怪しげな原稿案を乱発していた。

最終的なナレーション原稿。

 結局、原稿が完成したのが24時。早速、親父のオーディオルームへ場所を移しナレーション収録に入った。オーディオルームについては<エコテク・プロモーションビデオ製作記>に詳しいが、ここで一つ大きな問題に気がついた。
 ……というかむしろ笑った。マイクがない(爆)
 ナレーション収録に適したマイクがないのである。いつもは、SHUREのSM58をRBCから拝借しているのだが、今回は完全に忘れていた。またSM58がない場合はY氏からSONY ECM-S959 を借りているのだが、それも忘れていた。しかも今は夜中の12時……。
 結局手元にある63Lでの収録という無様な情景を展開することとなる。
 録音機は編集の簡便を考えてVX2000を利用しようとした…。が……、MDR-CD900STでモニタすると外部入力時のノイズが盛大に出ている。
 DVの音声フォーマットはDATと同じであるのでDVでの収録というのは民生では最も高音質が得られる選択肢の一つであるが、入力アンプの段階でノイズが乗っているのではどうしようもない。
 仕方なくTRV900での収録に切り替えたが、VX2000よりは多少マシ…という程度であまり芳しいとは言えなかった…。

 MDデッキの調子も最近悪く(録音終了後のTOCの書き込みができない…致命的) 、やむを得ずTRV900での録音を敢行。DHR-1000を持ち出すという手もあったのだが、かなりマシとは言えノイズが乗っており、加えてDHR-1000は五月蠅いのである。DHR-1000には冷却ファンがついており、それが凶悪に五月蠅いのである。メーカー製PCと比べるならば、それよりも五月蠅い…というレベルである。
 結局、ナレ録りは朝の3時に終了。コース紹介シーンの2分半の疑似リアルタイムナレーション以外はほぼやり直しもなく完了した。
 なお、浅野嬢が帰宅したのは4時半であり、送っていた私が帰宅できたのは6時前であった。


 さて、いよいよナレーション乗せである。ここまで来ると作品の大まかな造形が終わる感じがする。
 TRV900によるノイズをSound Forgeで処理し音量を調整する。特にマ行などは音圧が弱いのでノイズゲートを潜らせる際に消えてしまいそうなことがあったので部分的に入念に音量調整を行った。…やはりノイズがあるのは困る。
 調整が終わればPremiereへナレーションファイルを移しタイムラインに配置していく。



 これで、作品として鑑賞できる状態となった。
 あとは微調整の繰り返しである。テロップのタイミングやBGMの調整、暗い映像や赤外線撮影シーンをコレクトし見やすくするなどDVStormでなければくじけてしまいそうな作業の繰り返しである。
 そうして、一部の再調整部分を残して、上映会へ持っていく事となった。
 なお、オフ会へ持って行った段階ではホワイトマザー状態であり、まだテロップなどは殆ど乗せていなかった。



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 慰労会兼上映会では最後の最後に私の作品が上映されることとなった。プロジェクタで100インチに投影ということで、ちょっとドキドキである。
 上映されている作品を見ながら皆さんの反応を観察し、また作中に不具合はないかなどを確認した。
 すると……驚いたことにナレーションの一部が間違っている…とおっしゃるのである。エンディングロールなどの人名などは何度も目を通し誤表記のないことを確認しているが、まさかナレーションに誤りがある…というのは予想外である。
 誤っていた部分は、本番当日にステージ会場の司会を務めた方の名前が間違っているということであった。
   誤:桂伯枝 → 正:笑福亭伯枝
 元々、司会者の名前すら知らなかったので、会長たる加藤さんに編集に入る前に一度確認させていただいているのだが、その際は「桂伯枝さん」とおっしゃったのだ。
 しかし、その上映会で周囲の方々が「笑福亭伯枝さんの間違えだ」と指摘なさり、その後確認し直すと、やはり「笑福亭伯枝さん」ということであり、やむを得ずナレーションの再収録となった…。
 最もやりたくなかったのがナレーションの再収録であっただけに、これは正直参った。

 なお、作品そのものに対する反応であるが、大変に芳しく、何故か上映終了後に関係者の皆さんの前で挨拶することになった(笑)


 後日、ナレーションの修正再収録のために浅野嬢に連絡を取ると、その日の夜に早速時間を作っていただけるとのこと。22時という約束であったが結局合流できたのは24時半。

 その日の日中はKHOSHI氏と一緒に<ワイコン比較追加テスト>のフィールドテストを行っていたために、彼も一緒に収録に立ち会ってくれた。8月31日〜9月1日にかけての話である。
 修正箇所を確認した後、早速収録に入る。25時からスタートし、声調子の調整などを行って途中に休憩を挟み26時過ぎに収録を終えた。


 再収録分のナレーションを含めて、今一度全体を調整し直し、9月8日にVHSテープにて五本を無事に納品した。
 納品したテープは販売目的以外ならメンバー間で自由にコピーや上映をしていただける契約であるので今はどこでどうなっているかは分からないが、最近(10月末)にも八日市市役所で上映会があったらしく、市役所に勤める母親づてに聞いた程度である。


 編集が終わってみると、やりくりした素材ファイルなどを含めて約1000ファイル、65GBの規模であった。
 個人的な課題としては、Premiereでの編集に於いて各パートごと(イベント概略・マスコミ取材の様子・前夜祭など)にプロジェクトファイルを分けて、ハンドリングを良くし、各パートの完成後に結合して整音していく…という手段を執れるようにする事である。

 実は今回の編集では当初はそうしていく予定であったのだが、パート間の繋ぎ目を十分に検討せず始めたため、後日の結合による編集が面倒になる…と考え一プロジェクト内で全パートを編集することにしたのである。
 そのため、タイムライン上の移動が大変に面倒になり、また起動時のクリップ読み込みや、Premiereのパフォーマンスが低下してきた時などは保存作業に時間が掛かったりし、もどかしい思いもした。
 計画的編集の今後の課題といえる。

最終的なタイムライン。(クリックで実物大のタイムラインを表示:422KB)

 また、余談であるが、やはりPremiereはよく落ちる。
 そのために、調子が悪くなってきたら直ぐに再起動をかけて最もベストな状態で編集できるようにつとめた。
 また、Premiere6.0のオーディオレベルメータであるが、DVStorm-RTと共に利用するとメータの反応が遅れ、音量調整が大変に困難であった。
 しかしDVStorm 2 を入れてから確認してみたところ、この現象は改善されており、レベルメータの反応がよくなり音量調整がしやすくなった。
 他にもDVStorm 2 の新機能がこの制作時期に使えていれば楽だっただろうな…と思うことは幾らかある。



 今回の制作は恐らく私の学生時代最後の作品になると思う(自分で企画から完成までという制作)。そういった制作機会だけに、今回のような多くの人々と交わり作品を作っていくという楽しみと喜びを再び得る事が出来大変に満足している。
 また、私の準備が不十分であったにもかかわらず、多くの方がこの度の制作に協力してくださったことは大変に嬉しく、本当に感謝にたえない。
 特に、祭両日にわたって山中を駆けずり回ってくださったY氏、忙しい最中時間の都合をつけて駆けつけてくださったKOHOSHI氏、そしてパーフェクトなまでのインタビューとナレーションを提供してくださった浅野嬢に万斛の謝意を申し上げたい。


企画:ACC*visualization
撮影:宏哉、Y氏(ESTY)、KOHSHI(ZIXIR)
編集・CGwork:宏哉
ナレーション:浅野嬢
機材協力:ESTY、ZIXIR、RBC、たまPAPAさん
制作・著作:八日市商工会議所、ACC*visualization




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