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〜 フルCG・仮想プロモーションビデオ制作記 〜


(提出日:04/10/28)



 このレポートはACC*visualizationの3DCG担当;MooMinによる、“KALプロモーションビデオ”のCG制作に於ける制作記です。
 “KALプロモーションビデオ”は大阪の某芸術大学の某クラスから受けたフルCG作品であり、依頼してきた学生達が12月の実習発表で利用する動画素材です。
 今年の7月中旬に知り合いの学生さんから依頼を受け、その結果このCG制作をMooMinに託すこととなりました。
 私の担当は動画……すなわちこのCGムービー全体のプロデュースと2Dパートの制作。
 MooMinには3Dパート全体を任せることにしました。
 今回は、MooMin自身がデザインも自分でやってみたい…と申し出てきたので、CGで制作する航空機や機内設備、カメラワークなどの殆どを任せることにしました。  
 以下は、MooMinによる制作記です。




<プチ修羅場の光と陰>

〈経緯〉

 珍しく私の携帯電話が鳴ったのは、七月も半ば、時給800円の試用アルバイトを終え、電車で一時間半かけての帰宅途中だった。電話の相手は宏哉氏。何事かと思ったが、緊急の用でもないらしく、私が帰宅してから用件を聞く。  CGの制作依頼だ。今回の依頼は、某芸術大学の発表で用いる映像の制作。私はその内の3DCG映像を担当する。内容は旅客機のプロモーションのようなものということだったが、詳細が決定していないようなので、絵コンテを提出してもらって判断することにした。もとより、せっかくの依頼であるから、断るつもりはなかったのだが。
 頭の中で締め切りまでの休日の数を数える――今週末から始めれば15日間はあるから、何とかできるだろう。
 この試算が大変甘いことに気付くのに、一週間もかからなかった。
 絵コンテとアナウンス原稿をもらって、正式に依頼を受諾し、いざ作業に取りかかろうとするが、遅々として進まない。プログラマなどというコンピュータに向かいっぱなしの仕事をしていると、帰宅後や休日はコンピュータに触れたくなくなるのだった。


〈目的〉

 今回の依頼を引き受けた背景には、二つほど目的があった。

 一つ目は、映像技術の向上。
 私は日頃からCGを作っているわけではない。CGは私の趣味ではない。コンピュータプログラムも趣味じゃない。作りたいものを実現できる手段として技術を習得しただけだ。今は作りたいものが見つからず、その技術も持て余している状態だ。だから技術はいっこうに向上しない。このような依頼は、私にとって貴重な経験と機会なのだ。今回の依頼では、実写映像との合成も予定されており、これができれば我々の映像技術の向上は間違いない。
 二つ目は、インターネットを用いた作業環境の構築である。
 ACCでは、一定期間メンバーが缶詰になって作業をする「修羅場」が慣習的な活動方法であった。しかしながら、各人社会人になり散り散りになってしまって、滅多に集まることなどできなくなった。そこで、連絡を取り合う程度のネット使用の現状を見直し、ネット上で複数人で「修羅場れる」ほど活用できる方法を模索することにした。


〈諸事情により……〉

 さて、いろんなことに飽き飽きしたので会社は辞めた。これで作業に専念できるとか思えば、そうでもない。
 旅客機の設計に手間取って、(マッハ5の旅客機より高高度旅客機だろ)とか(飛行機の中にラジオブースはいらんだろ。地上から放送しろや)とか(飛行機の中にグランドピアノもいらんだろ。第一音響が悪くて聞けないだろ)などと依頼にぐだぐだ文句を付けているうちに、締め切りはいよいよあと10日にまで迫ってしまった。
 この段階で、本レンダリングのできていない旅客機のアニメーション数本と、乗客のシートのモデリングぐらいしかできていない。
 レンダリングには非常に時間がかかる。8秒間のアニメーションをNTSCの半分サイズでレンダリングするのに、100分もかかってしまったりする。本レンダリングで400分という計算だ。なんとかレンダリング時間を短縮しようと、シーンの品質を下げる工夫をするが、全く間に合う気がしない。
 こうなると、「修羅場」に頼らざるを得ない。宏哉氏の休日が続く日を利用して、宏哉氏宅にて三日間の予定でプチ修羅場を決行することになった。修羅場最終日が締め切り日である。


〈ネットワークレンダリング〉

 修羅場に入ってまずやったことは、ネットワークレンダリングの設定である。
 修羅場になったからといってコンピュータの計算速度が速くなるわけではないので、コンピュータ数台をネットワークでつないで、レンダリング作業を分散させようということだ。
 ネットワークレンダリングは私自身やってみるのは初めてで、マニュアルを見ながらの設定となった。しかし、やってみるとさほど難しくはない。
 引っかかった点と言えば、動画としての保存ができないという点ぐらいだ。ネットワークレンダリングでは動画ファイルとしての保存ができない。コーデックによってはフレーム間圧縮を行うだろうから、考えてみれば当たり前のことだ。レンダリング結果は静止画ファイルの連番として保存する。
 これで私のノートPC、宏哉氏の使うメインPCとモバイルPC、計三台にてレンダリングができる環境が整った。試しにやってみると、私のノートPCの3.5台分のパワーを発揮する。400分かかるレンダリングが115分程に短縮される計算だ。
 昼間にいくつかのシーンを作っておいて、寝ている間にそれらのシーンをまとめてレンダリングすれば、作業効率は一段とアップする。
 最近では、一般家庭のパソコンの余剰CPU資源を用いて、インターネット経由で分散コンピューティングをすることによって、CGアニメーション映画を作っているらしい。

ネットワークレンダリングの様子

ネットワークレンダリングの様子。仮想フレームバッファはOFFにしてある。



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〈修羅場の様子〉

 さて、修羅場一日目に依頼主の一人と面会をして、出来ている範囲のものを提示して要望を聞いたりした。いろいろ聞いているうちに、締め切りを延ばしても良いらしい。というわけで、身軽な私は延期された締め切りまで、宏哉氏宅にお邪魔することにした。せっかくのレンダリング環境を使わない手はない。
 宏哉氏の休日が終わると、昼間は私一人で作業をする。主のいない家にお邪魔しているのは、何とも居心地の悪いものだ。そこで、漫画を片手に作業をすると、気は紛れるが作業ははかどらなかった。
 そんな感じで気楽な修羅場だったのだが、どういう訳か体調を崩してしまった。この時期は毎年のように風邪をひきやすいのだが、微熱があるなと思いつつ何の処置もしなかったので、脱水症状を起こしてぶっ倒れてしまった。水分を摂ろうとして夜中に緑茶を飲んだのだが、これが全く吸収されず、翌朝に嘔吐。宏哉氏に買ってきてもらった清涼飲料水を飲んでしばらく寝ていたら、体調も次第に良くなった。結局この一日は丸つぶれになった。消費期限二日過ぎのチーズケーキがあかんかったかな。
 下痢は続くものの作業再開。


〈グローバルイルミネーション〉

 光は光源だけからやってくるものではない。もしこの世が太陽の光だけで照らされているとしたら、この世は暗いだろう。満月の夜の、青く白く冷たく降り積もる、光と陰もないだろう。
 光が物体に当たり、物体から反射した光が目に届いて、私たちは物体の形を知る。物体の反射光は、そればかりでなく、近くの他の物体をも照らすのである。つまり物体の反射光が光源となっているのだ。月の光はそのとても大きな例である。照明の反射板など身近な例かもしれない。物体は照らし照らされているのだ。
 このような物体からの反射光や屈折光で満ちあふれている空間の光のエネルギーを「グローバルイルミネーション(GI)」という。コンピュータにこのGIを計算させることで、CGをよりリアルに見せることができる。
 以下に一例を挙げてみよう。
 まずはGIなしのシーン。陰の部分は真っ暗で何も見えない。

GI無し

 次に「周囲光」を当てたシーン。周囲光というのは、空間中の光のエネルギーがどこでも一定、という考えの光である。陰の部分が照らされて形が見えるが、エネルギーが一定なので“ベタ塗り”のようになってしまっている。従来、私はこの高速な方法を使ってきた。

周辺光あり

 さて、GIを用いたシーン。陰の部分でも濃淡が出ている。また、右の赤い壁からの反射光が、床や物体を赤く照らしていることが分かる。

GI適用

 嬉しいことにGIは一度計算すると、光源が動かない限り、その計算結果を繰り返し使える。つまりアニメーションであっても、最初に計算しておけばレンダリング時間が極端に長くなることはないのだ。
 今回の依頼では、飛行機の中にグランドピアノやラジオブースが設置してあるというシーンに用いた。作品として用いるのは、これが初めてだった。CGを作る側としては物体をシーンに置いていくだけで、あとはGIの表現力に助けられたように思う。


〈修羅場を終えて〉

 三日の予定だった修羅場は、まる一週間にまで延びた。依頼主に作品を渡す数十分前まで作業が続いたが、何となく余裕は感じていた。居心地の悪いと感じていた宏哉宅は、すっかり勝手知ったる何とやらであった。
 さて、目的を振り返ってみよう。

 一つ目の目的、映像技術の向上。
 今回、絵コンテの段階で実写とCGとの合成を予定していたが、実写映像が合成できるようなモノではなかったため断念して、全く別のクリップに置き換えた。合成に関しては残念ながら良い機会とはならなかったものの、ネットワークレンダリングとグローバルイルミネーションについては、その技術を体得することができた。今後の作品に十分活用していけるはずだ。

 二つ目の目的、ネット上の作業環境。
 修羅場前には、メッセンジャーソフトやファイルアップBBSを使ってデータをやりとりしていたが、結局修羅場になってしまったので、複数人数で作業できる環境や大容量のファイルサーバなどを構築するまでには至らなかった。今後引き続き課題となるだろう。

 毎回のように「修羅場」になるのは、ネット上の作業環境云々以前に、私のモチベーションの低さに起因するのではないか。締め切り間際にならないとやる気が起こらない。現にこの文章も締め切りを一週間も過ぎている。まずはそこが課題かも知れぬ。

文責:MooMin

KAL-CG 制作風景

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 今回のCG制作ではGIを活かしたシーン作りを見せてもらい、全体的なクオリティーを上げることが出来たと共に、MooMinの技術の成長も見られたと思っています。
 このCG制作での我々のスタンスは完全に“下請け”に徹しており、“制作”的な部分に関しては基本的に手出しせず、送られてきた絵コンテとアナウンス原稿だけを元にしてCGの制作を行い、一本の作品に纏め上げました。

KAL-CG 絵コンテ

 制作の観点から見ると、脚本や台詞に色々と注文をつけたい部分も多く、また根本的な部分で、この台本が映像化された場合のビジョンが彼らの中に全くないと思われる部分も多く見られ、そこを映像化するのに随分と苦労したと思います。
 また、MooMinの文中にもあるように、本来出来るはずだった実写との合成が、学生さんによる撮影素材の不備から合成、キーイングが不可能であったために、フルCGに置き換えて遣り繰りする必要が出てくるなど、想定以上の量アニメーション作りに大きくスケジュールを乱された部分もあります。
 勿論、我々のCGや動画に対する技術も未熟な部分が多くあります。
 作中のパート(カット)によっては、クオリティーの高低を付けて作業の効率化を図ろうとしましたが、クオリティーを下げてしまったところは“下がっている”と分かる様な仕上がりになっていますので、今後は「力は抜くが、見た目の質感は維持出来る」ような手法を身につけていく必要があります。

 後はMooMinのデザイン力の向上でしょうか。
 任せておいても巧い具合にリファレンスを見つけてきてくれて、相当のクオリティーの物を仕上げてくれますが、一旦詰まるとなかなか新しいインスピレーションが湧いてこないようで、飛行機と座席以外の多くの被写体を私が提案した気がします。
 勿論それを、最終的な形に持っていき、私が描いていない部分や必要な部分を完成させてくるMooMinの反応の良さは今回も健在で、原案者にしてみれば、彼は気持ちの良い仕事をしてくれていると思います。 ※私が「これを立体化して描いて欲しい〜」という要求も大きかったので、MooMinにごり押しした感も否めませんが…。

KAL-CG ラフ画像と完成CG

 そうやってMooMinがモデリングやマテリアルの設定などに頭を悩ませている間に、私はせっせと2DCGの方をやって、比較的気楽に作業をさせてもらいました。
 こちらもMooMinの意見や評価を聞きつつ完成させます。
 最終的に、モデリングしたCGの中に填め込んでもらったり、動画化してPremiereやAfter Effects上で編集・加工して完成です。

2Dワークス

 ネットワークレンダリングは、私も実践で使うのは初めてで大変に面白かったです。
 当時(9月末)は、MooMinのマシンを入れて3台での分散レンダリングでしたが、今は、我が家でレンダリングでパワーを発揮してくれるマシンが4台あるため、今後また“修羅場る”機会があれば計5台のマシンでネットワークレンダリングが行え、さらにレンダリングに要する時間は短縮出来ると思います。

 実は、まだこの作品は完成ではなく、一応動画のラッシュ版という扱い。
 現在、さらにアナウンス原稿が変更されているためにそれに合わせて修正していく必要があります。
 こちらのシナリオに合わせて若干の動画の尺を調整し直せば、完了です。
 それまでに再び修羅場れる機会は無いと思われますので、インターネット環境を利用したCG制作の環境を立ち上げることが出来れば、有意義であると考えています。


 とにもかくにも、修羅場…お疲れ様でした、MooMin。



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