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〜 アルテミスDV 試用レポート 〜


(提出日:02/10/08)



 ビデオ撮影を行う上で、時として「特機」と言われる特殊な撮影(補助)機材が必要になることがある。
 それは例えば、クレーンであったり、レールであったりするわけだが、もう一つ忘れてならない機材がある。
 それは、「撮影防振装置」である。
 耳慣れた言葉で言い換えれば「ステディカム」であるが、この「ステディカム」 というのは米国Tiffenの商標であって、防振装置一般のことを指すのではない。
 しかし、SONYのウォークマンがそうであるように日常的にはこの撮影防振装置=ステディカム とすることも多いようである。


 ということで、今回のレポートは撮影防振装置であるが、何を隠そう私自身はそんな装置は持っていない(笑
 実はこの夏…7月の下旬より、当サイトを利用くださっている“たまPAPA”さんのご厚情により“アルテミスDV(Sachtler)”をお借りすることが出来た。
 7月上旬あたりに当掲示板にて防振装置の自作についての話題が上がったのが、そのスレッドの終わりに、たまPAPAさんが「宏哉さんへ アルテミスの実験してみますか?」と唐突に仰ってくださり、それが冗談でなく、本当に宅急便でアルテミスDVを送ってきてくださったのである。


 ということで、たっぷり利用させていただき、無事にご返却申し上げたところでレポートを公開することに相成った。



 まずは、撮影防振装置について勉強しておこう。
 「撮影防振装置」とは言うまでもないが、移動撮影時に発生する“画面のブレ”を機械的に低減するための装置であり、この装置の上にカメラを乗せ、カメラマンがその装置を持って…あるいは身につけて移動することにより、まるで空中を滑るような滑らかな移動映像を得ることが出来る。今年はサッカーのワールドカップもありピッチ(グラウンド)上を移動するステディカムをテレビで見かけた方も多いと思う。


 防振装置の大まかな仕組みとしては、ヤジロベエの原理であり、カメラの下方に錘(おもり)を配し、慣性を利用してバランスを保っている。バランスの重心部に自由に動く視点があり、そこにグリップなどが付き、それを介してカメラマンと装置がつながる…というのが基本として撮影防振装置に共通している。
 ただし放送・映画など大型カメラで使用する本格的な防振装置にはアクティブ型といわれる、内部ジャイロを高速回転させて強制的にバランスを保つ仕組みを持ったものがあり、それに対して上記のような「カメラ」「錘」「慣性」という正にヤジロベエの原理だけでバランスを取っているものをパッシブ型と呼ぶ。

 今回お借りしたアルテミスDVも当然パッシブ型であるがパッシブ型の防振装置にも支点の構造で大きく二つの機構があり、ベアリングを組み込んだジンバル型と、球状の金属を摩擦の小さい臼型の受け皿で受ける関節型とに大別できる。
 アルテミスDVは後者の関節型であり、関節型の特徴は、機構が単純なため故障などに強く長期間の安定動作が期待でき、価格も安く抑えられるというメリットがあり、その反面、ベアリング型と比べると若干防振性能に劣る…という点である。
 今回のレポートは実際の運用と性能について著していきたいと思う。



●パッケージ


 アルテミスDVのパッケージには次のような構成になっている。

 ドッキングステーションというのは、大がかりな名前が付いているが、単にバランス調整時にアルテミスDVを「机」などに固定するための皿のことであり、何か嬉しくなるような大がかりな装置ではない。



●アルテミスDVのセッティング


 さて、いよいよアルテミスDVを使った撮影の準備に入ってく。
 まずアルテミスDVのバランス設定だが、その構造上、机のような本体支点の下方に空間がある場所でしか設置が出来ない。通常は、机の端に置いて調整にはいるが、撮影現場に必ずしも机があるとは限らない。
 そこで、現場でのセッティングに三脚を使用することが考えられる。
 三脚の雲台部分を取り外し、脚部だけにしてボールレベラーのお椀の上に小さな板などを置く。そして、その上にアルテミスDVを設置する…というものだ。これなら、撮影現場で簡単に準備が出来るしアルテミスDVの調整のために特別に荷物を持ち歩く必要はない。



<バランスの設定>


  1. ドッキングステーションの突起部分にアルテミスDVのハンドグリップを差し込み、本体をセットする。
  2. アルテミスDVは持ち運び時にはアーム部分を折り畳んでいるので、アームをしっかりと展開し、関節部分をロックする。
  3. アームの下方にカウンターウエイトを取り付ける。
  4. カメラプレートにビデオカメラを固定しアルテミスDV本体に取り付ける。
  5. 液晶モニタが必要なら別途液晶モニタを、モニタプラットフォームへ固定する。
  6. バランスを取っていく。

 大まかには以上のような流れで、セットしていく。
 さて、防振装置をセットしていく上で一番難しいのが「バランスの取り方」だが、慣れてくると比較的短時間で調整することが出来る。
 カウンターウエイトは初めは軽めにセットしておいて、少しずつ重さを増やしてカメラが大体バランスする重さを探す。そうすることにより、余計な重量での設定を回避できる。

 次に、カメラの固定位置を微調整していく。カメラはアルテミス本体に設置した段階で全て撮影時と同じ条件にしておく必要がある。バッテリー、テープのセットはもちろん、ワイコンを使うならワイコンは付けておかないとバランスが狂ってしまうし、レンズキャップもはずしておかないと若干バランスが崩れる。カメラの液晶モニタは開いて、角度も固定する。また、出来れば重心が確立できないのでカメラのショルダーベルトははずしておいた方がいいだろう。


 とにかく、バランスさせた後ははカメラは一切触らないで済む様にしておく必要がある。(電源やスタンバイスイッチはこの際はオフなどの状態でも構わないと思う)
 次に、支点部分を前後に動かして、カメラの前後バランスを調整していく。ほんの僅かに動かすだけで大きくバランスが崩れるので、水準器を用いてシビアに確認しながら指先に力を入れていく。
 前後バランスが整えば、次に左右のバランスである。カメラプレート固定部分には、サイド・トゥ・サイドネジというものがあるので、それでカメラプレートを左右に少しずつ動かしながらバランスを取っていく。ほんの少し捻るだけでバランスが変わってくるので細心の注意で調整していく。


 調整が無事に取れれば、カメラをいったん横に20度ぐらい傾けて、手を離してみる。2〜3回左右に揺れて、元の位置で垂直に静止し水平が狂っていなければ調整は成功である。しかし、揺れが2〜3回で収まらず、しばらく揺れ続けている場合はカウンタウエイト重量がシステムに合っていないことになるので、ウエイトの重量を変え、バランスを再調整してやる必要がある。


 以上でバランス調整は終了である。



●撮影運用


 調整が終われば、いよいよ撮影である。
 調整の終わったアルテミスDVを持ち上げるが、これが予想以上に重い。初めて持とうとしたときは、机に吸い付いてしまっているのではないか?? というくらいに重く感じた。
 持ち上げてみると、カメラがさっそく不思議なほどにゆっくりと左右に揺れて…バランスする。
 回れ右!
 …………カメラが回れ右しない(笑
 支点部分で滑らかにモーメントがうち消され、南を向いていたカメラは体がどちらを向こうと、そのまま南を向き続ける。
 「うむ、これは期待できる!」
 早速、録画を開始。
 自室から階段を下りて、家の外に出る。
 カメラがゆっくりと…しかし不安げに揺れる。


 アルテミスDVを運用するときのポイントは次の通りである。


 基本はこれだけ。
 あとは、体得していくしかない。当然このような防振装置がない場合は、手持ちでも出来るだけ手振れが出ないような姿勢で撮影しているはずだ。その時の足運びをアルテミスDVを運用する際も適応してやれば、鬼に金棒的な状態になるはず……と、がんばってみた。
 なるほど確かに、初日だけでもこんなに安定した映像が撮れるんだから、しっかりと体で覚えて…慣れていけば、さらに安定した画になるなぁ〜――と納得する物があった。
 それだけアルテミスDVの基本能力は高いことになる。
 あとは、使用者たる人間の方が鍛錬してその能力の不足分を補ってやるだけのことである。



 さて、その不足分であるが、ここで関節タイプのパッシブ型防振装置の原理的限界を抑えておく必要がある。
 「ブレ」といっても様々な運動方向があり、それをまずは整理してみよう。
 下の図が各「揺れ」の概念図である。

揺れの種類概念図

 これらの動きが組み合わされて大きな「ブレ」となるのだが、防振装置でうち消せる 運動は回転運動である「ローリング」「ピッチング」「ヨーイング」であり、スライド系の運動はうまく取り除けない。
 特に厄介なのが「ヒービング」で、移動…つまり「歩く」という行動上、どうしても上下運動が発生してしまい、この動きはうまく防振装置では解消できない。特に接地時の衝撃はモロにカメラに伝わるので、歩くたびに画面がビクつき、不愉快な映像になる。
 サポートアーム(撮影者のウエストにアームを固定し防振装置とつなぎ、防振システムの重量を軽減する装置)を利用できるタイプでは、そのサポートアームにヒービングを吸収してくれる機構が備わっていたりするため、是非とも利用したいのだが、残念ながらこのアルテミスDVはサポートアームには対応していない。
 そのため、現状では撮影者の努力と根性をもって、ヒービングを抑制してやる必要がある。
 また、このヒービング発生の要因は歩く際の接地衝撃だけではない。……例えばVX2000+ワイコンでのオペレーティング時、その全重量は3kgを越す。それを基本的には片腕で支えるので3分ほど持ち続けてくると、腕が震えてくる。
 これを我々は「プルってくる!」と叫ぶ!
 プルってくるとその動きはモロに装置に伝わる。もはや足運びが、腰の位置が…の相場ではなく、どうも回避しようが無くなってくる。
 こちらは、もう単純に腕を鍛錬してやる以外に無いので、抑制には時間が掛かる。
 勿論、左手を添えて重量を両腕にうまく分散させても良いが、何れは限界がくる。サポートアームのないアルテミスDVは基本的には長時間撮影には不向きであることは覚えておく必要がありそうだ。


 また、振動の他にも「風」にも弱い。
 であるので、風の強い日は回転系の運動が発生しやすく、カメラが前後左右に揺れやすくなる。
 付け加えるなら「走る」なんていうのは言語道断であり、接地の振動は伝えるわ、風は起こすわ…でなかなか映画のような映像を撮るのは難しいのである。
 さらに、方向転換する際だが、慎重に足・体・腕…を運ばないと、錘が遠心力で回転方向とは反対側に放り出され、ローリングが発生してしまう。このローリング抑えるのも結構難しかった…。



 さて、実際に撮影した映像である。
 左がアルテミスDV使用時。右が手持ちである。
 急な下り坂で、且つアスファルトから砂利道に足場が変化する…という悪条件である。


<< アルテミスDVによる防振効果映像のDL >>
artemis.avi (2.18MB/Microsoft MPEG4 Video Codec V2 / カラー/音声無)
 正常に再生されない場合はMicrosoft社のサイトより最新のコーデックをDLしてください。


 見て頂いたとおり、全く違う。なおこの映像はTRV900での撮影である。ちょっと思った以上に手持ちが「下手」なのにショックを受けている。
 いくら足場が悪いとはいえ、これは酷い(涙) ……精進します。
 アルテミスDVでの撮影は、足下が砂利でバランスを奪われ安いにもかかわらず、アスファルトの時と変わらず安定している。この日は多少風があったので、カメラのピッチングが気になるがこれでも精一杯本体のノブを抑えて抑制している。
 対して、手持ちの方は足下が不安定なことがよく分かる…。
 画の印象としては、アルテミスDV使用時は多少静観しているような感じである。
 意識を伴った客観性のある映像…とでも言えばいいのか…。
 常に水平を保ち奧を見ているのがアルテミスDVだが、手持ちの画はどうしても主観的な…撮影者の目線を感じさせる。
 もちろん、アルテミスDVの水平をわざと崩し、前傾姿勢になるようにカメラをセッティングしてやれば、もう少し足下を見た感じの映像が撮れる。
 このあたりはセッティングの前段階で撮影意図をはっきりとさせておけば、違うことはないであろう。


 また、手振れ補正(入/切)による変化を見てみた。
 結果としては手振れ補正が入っていた方が画面が安定している。特にヒービングが解消される事がありがたい。
 ただし、たまPAPAさんから頂いたメールには「手ぶれ補正解除で撮影した方が面白いです。」とあったので、手振れ補正を切った際に大仰にブレが生じるのは我々(今回は私を含めて三人ほどが試用した)の足運びがまだまだ下手な証拠だろう。
 手振れ補正を入れておくと、実際には手振れ補正を入れたまま三脚を扱うときのように、なにか動きに違和感が出ているのかも知れない。


 ところで、今回の借用中に実践投入もさせていただく機会があった。
 この夏にあった、あるイベントでの使用であり、山道のコースをカメラを回しっぱなしで歩いて撮影して欲しいとイベント主催者から依頼があったため、その際にアルテミスDV+TRV900という組み合わせで撮影した。
 セッティングはイベントが始まる前にイベント会場の机を利用して行い、イベント関係者の案内でコースに入るまで、その状態でホールドした。
 詳細は後日の「妖怪地イベントビデオ制作レポート」で記載するが、全長888メートル(世界最長…らしい)の肝試しコース……しかも山道を歩く…ということだったので、出来るだけ軽量化を図るためにVX2000ではなくTRV900を投入した。
 実際の編集での使い方は確定していたので、途中で持ち手を左右入れ替えても大勢に問題はないと判断し、腕が疲れてきたら持ち替え…を繰り返し、約20分間、TRV900を乗せたアルテミスDVを持って、山道を歩いた。
 さすがに、最後……下り階段にさしかかったときには、足腰が草臥れており、階段の段を降りる際に発生する衝撃をもはや体が吸収できない程になっていたが……。



 使用していく中で、気になった点は大きく二つある。
 一つは、関節型ゆえの欠点なのだが、いくら磨いた金属球と樹脂での関節とはいえ、「摩擦」が無くなるわけではない。そのため、ほんの僅かな「傾き」では錘による十分な復元力が働かず、若干傾いたままになってしまう。
 このあたりは、カメラと錘のバランスが大変に重要になってくるので、カメラを軽量化したり、あるいは錘の重量を調整したりして、また撮影中にもカメラが傾いていないか注意しながら運用する必要があるだろう。
 もう一つはサイド・トゥ・サイドネジによる調整であるが、前後の調整ネジを固定してしまうと、左右の調整台座が固定されてしまうために左右バランスの調整できなくなってしまう。そのため、前後調整ネジを若干解放して左右調整を行うのだが、左右調整が整った後、プレート固定のために前後ネジを締めると…若干バランスが狂ってしまう…。これは構造上の問題と、先の関節部分の摩擦の問題であるので、なかなか難しい。
 結果的には、ある程度マージンとアタリをつけて、調整を完了させていく事が多かった。
 このあたりのバランス調整機構ももう少しだけ改良の余地があるのではないかと思う。


 以上の点と例のサポートアームの事を除けば、大変に運用しやすく性能も安定していると思う。
 特に、システムの準備や撤収は大変に素早く行え、またバランス調整の際のセッティング場所も比較的選択自由度が高いので、臨機応変に現場にいきなり投入することが可能であるのは嬉しい。



 今回、借用し実践投入までさせて頂いたアルテミスDVだが、これは恐らく後期型のモデルであると考えられる。
 改良点はハンドグリップ・とカメラプレートである。
 発売当初に私が見たアルテミスDVはハンドグリップ部分がアルミの削り出しそのままで、金属ヤスリのような印象があったが、お借りした物はグリップ部分がゴムで覆われており大変にフィット感が良かった。
   また、カメラプレートが同社の三脚 Sachtler DV2/DV4 と共通になったためにスムーズに撮影状態を移行できるようになった。
 あと、細かなことを言えば、錘固定用のネジが旧モデルはタダの逆凸型のネジだったのが、今回は手で回す部分にギザギザがついて、指の引っかかりが良くなった。
 
 なお、今回お借りしたアルテミスDVは、たまPAPAさんが別当購入されたHAKUBAの水準器付きクイッシューも用いて運用した。実際、このような物を用意した方が調整と運用共に簡便であった。

改良されたグリップ部分とHAKUBAの水準器付きシュー(別途購入)

初期バージョンのアルテミスDV

 今後の希望としては、ABC PRODUCTS の Handy Man のようにアルテミスDV にも、是非サポートアームを商品化して欲しい。
 アルテミスDVは軽量化の工夫もしっかりされており、またバランス調整なども大変にしやすい部類に入ると思われる。それに加えて、ヒービングを解消し、長時間運用が可能になればその価格帯から言っても間違いなく飛びついてしまう製品となるはずである。
 今後もさらなる改良がアルテミスDVに加えられていくことを切に望みたい。
※たまPAPAさんの情報によると「保証はさないがHandy Man のサポートアームが使用できるらしい(Sachtler Japan 談)」とのことです。



 最後に、この夏、長期にわたって貴重で高価な機材であるアルテミスDVを貸与してくださった たまPAPA さんに万斛の感謝を申し上げたい。



 追伸:なお、たまPAPAさんは現在、自作サポートアームを設計製作中途のこと。完成が楽しみです。


※10月08日22:00まで、当レポートにて「水準器付きクイックシュー」をアルテミスDVの正規付属品として扱っておりました。写真などでお見せしております水準器クイックシューはたまPAPAさんが別当購入されたHAKUBA社製の製品です。
 訂正してお詫び申し上げます。



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