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〜 SONY HVR-MRC1/外観と概要 〜


(提出日:08/04/10)



■SONY HVR-MRC1

 “HVR-MRC1”は HVR-S270J と HVR-Z7J に標準付属するメモリレコーディングユニットであり、コンパクトフラッシュ(CF)カードによる動画データの記録を可能にする。
 “HVR-MRC1”と HVR-S270J/Z7J は、ケーブルレスでカムコーダ本体に装着可能であり、スマートなメモリレコーディングを実現する。

 以下に、HVR-MRC1 の特徴を列挙する。
・小型、軽量、省電力。
・HVR-S270J/Z7J とのケーブルレス運用
・汎用のCFカードが利用可能
・i.LINKクレードル“HVRA-CR1”を使って、様々な HDV/DVカメラや PCとの運用が可能。
・キャッシュ録画・インターバル録画・ループ録画の特殊レコーディング。


■小型・軽量・省電力

 HVR-MRC1 のサイズはタバコの箱を少し縦長にした程度のサイズで、胸ポケットにもすっぽり収まるサイズである。
 重量は、130g で、昨今のワンセグ携帯電話とそれほど変わらない重さだ。


 消費電力は、ユニット内に駆動部分がない事も手伝って 2.2W。
 HDDレコーディングユニットの SONY HVR-DR60 が 2.7W であるが、さらに低消費電力を実現している。
 S270J/Z7J に取り付けて運用する場合は、カメラ側から電源供給を受ける事になるが、その場合も HVR-MRC1 の消費電力は殆どバッテリーの持続時間に影響しない感覚で利用できる。
 また、i.LINKクレードル“HVRA-CR1”を使った場合は、SONY の infoLITHIUM Lシリーズバッテリーが利用でき、薄型バッテリーの NP-F570 でも約420分(満充電時)、大容量の NP-F970 なら約1320分もの長時間駆動が可能である。


<“HVRA-CR1”に NP-F530 を付けて運用>



*HVR-MRC1 の連続記録時の動作時間
バッテリー 満充電時 実用充電時
NP-F570 約420分 約380分
NP-F770 約870分 約780分
NP-F970 約1320分 約1180分
 


■HVR-S270J/Z7J とのケーブルレス運用

 HDDレコーダユニットの HVR-DR60 は HDVカムコーダ HVR-V1J と高度な連携機能を持っており、ソリッドレコーディングを身近で実用的な物としたが、その V1J へ取り付けやケーブルの取り回しなどには工夫が必要であった。


<HVR-V1J と HVR-DR60 の組み合わせ>



 CFメモリレコーディングユニット“HVR-MRC1”は、HVR-DR60 の機能はそのままに、さらに HVR-S270J/Z7J との連携性を高めた仕様になっており、カムコーダ本体にケーブルレスで直接アタッチメント可能なように設計されている。

 HVR-S270J の場合は、カムコーダの側面に取り付けることが出来る。


 通常、ENGカムコーダにおいては、この位置に操作可能なコンソールなどが配置されることはないので、HVR-MRC1 を取り付けた HVR-S270J の様は、初めはちょっと見慣れない意匠であるが、慣れてしまえば特段の違和感もない。
 カメラ筐体からの出っ張りも当初は、周辺物体との接触・衝突などを心配したが、レンズグリップやビューファーマイクよりも十分に内側に入っており、壁にもたれかかる程度では、HVR-MRC1 が物にぶつかったりすることはないだろう。


 ただ、カメラマンとは反対の位置になってしまい、ボタン操作や液晶画面のステータスチェックなどはしづらいという問題は残る。
 他に取り付け可能な位置は無いだろうかと、探ってみたが、成熟している旧来からのENGカムコーダのレイアウトに新しい要素を追加しようとすると、カメラマンとは反対側の面しかそのフロンティアは残されていないように思う。
 HVR-Z7J との共通仕様のユニット形状であるので、この取り付け位置が最良であるとは思うが、HVR-S270J だけで考えて良かったならば、HDW-790などが持つワイヤレススロットインの位置に CFメモリレコーディングユニットをスロットイン可能な仕様で設計して運用する道もあっただろうと思う。

 HVR-Z7J の場合は、カムコーダ後部にユニットを取り付ける。
 カムコーダ本体と完全に一体化したデザインになっており、CFレコーディングビデオカメラとして違和感のない運用が可能だ。
 カメラマン側にボタンや液晶画面が向いているため、ステータスのチェックや機器操作も行いやすいだろう。


 infoLITHIUM Lシリーズバッテリー の NP-F970 を装着した状態でも HVR-MRC1 はアタッチメントでき、見た目も実用性も両立させた見事なプロダクトデザインだ。
 ただし、HVR-MRC1 を付けた状態ではバッテリー交換が行えない…という制限がある。
 家庭用ビデオカメラの中には、バッテリーをひっくり返して(接点端子を上向けにして)取り付けるタイプの物もあるので、HVR-Z7J もそのような仕様を取り入れても良かったのかもしれないが、、infoLITHIUM Lシリーズ という重量物バッテリーを逆さまに吊した状態で支えなければならないという負荷の問題と、誤ってバッテリーリリースボタンを押したときに、自然とバッテリーが外れやすいというのは、業務仕様としては忌避されたのかもしれない。


 また、両機に共通した制限だが、HVR-MRC1 を装着した状態では、カムコーダの i.Link の利用は出来ない。
 ユニットを取り付けた状態では、物理的に i.Linkケーブルが差せない作りになっている。
 HVR-MRC1 の接続系統は カムコーダの i.Link からのストリームを貰っているので、排他仕様は致し方ないところだ。

 余談だが、HVR-S270J の i.Link端子は、カムコーダの側面部に設けられており、HVR-DR60 などと i.Link接続運用を考えた場合、この端子位置は如何なものかと思う。
 ケーブルの取り回しも面倒であるし、なによりも見た目に美しくない。


 HVR-S270J を直接ノンリニア編集PCに接続してテープキャプチャする需要は少ないだろうし、i.Link端子は積極運用されないだろう…という見立てなのかもしれないが…、もう少し工夫の欲しい所である。

 

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