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〜 JVC KENWOOD “GY-HM650”試用レポート/ ユーザーインターフェイス(1) 〜
(提出日:13/02/18)
近年、大型化・重量化の傾向にある“デジ”クラスにおいて、JVCケンウッドの“GY-HM650”は、高画質化・高感度化・高倍率化を目指しながらも、他社機と比べて小型化するという驚きと感心に値するプロダクトボリュームで登場した。
“デジ”クラスの業務用ビデオカメラは民生機と比べて、オート機能は保持しながらも、よりカメラマンの操作意図を反映させるマニュアルオペレートの強化を。ENGから見た場合はショルダーマウントクラスの機能と操作性をダウンサイジングした様なハンドリングを求められる。
約50万〜100万円の価格帯で展開する各社の“デジ”は、プロの現場には導入コストを低く抑える事ができ、ハイアマチュアからも手が届く価格にあり、幅広いユーザー層を抱えている。
デジは、そうした多様なユーザの声に応えながら、その筐体に多くの機能と品質を詰め込んでいく必要があった。
しかし、カメラがHD化して以降“デジ”は大型化の方向に進み、各社のフラグシップ級のモデルは最早、カメラマンが手持ち撮影することができる上限ギリギリのサイズ・重量となってきたと感じる。
ユーザーが求める高画質化・高感度化・高倍率化……そういった高性能化を実現するためには、カメラ本体を大きくして様々な実装を行う必要があるからだろう。
しかし、撮影の現場からは「長時間の手持ちがつらい」「中途半端なサイズになるなら、ENGで撮影した方がまだ楽だ」というカメラマンの声も聞こえている。
実際、私自身も自分の撮影現場を想起したときに、現在の SONY NX5J/Z5J 以上のサイズ・重量では、挫けてしまうであろう場面を色々と予測できる。
そういう中で、GY-HM650 の小型化ボディーは歓迎されるものであり、しかもスペックを犠牲にするどころか、他社機も獲得していない性能(高倍率・高感度など)を実装している点は、JVCケンウッドの開発意欲と技術力を表している。
HM650の実際のボリューム感は製品写真からは判りづらいのだが HXR-NX5Jと全長はほぼ同じながら、レンズ鏡筒と本体筐体まわりが少しスリムであり、これが全体的な印象をコンパクトに見せている。
オペレーション重量も、ほぼ同じである。
<SONY HXR-NX5J と JVC KENWOOD GY-HM650/右画像は外形寸法図から割り出した2機種の参考比較合成図>
しかし、製品サイズをコンパクト化することで、操作性がスポイルされてはいないか、非常に気になる所だ。
まずは、ユーザーが直接操作することになる、インターフェイスをじっくりと検証して行く。
■十字ボタン:
まず最初に、HM650のデザインで目を引くのは、本体中心部に設えられた特徴的な十字ボタンで、これは最近のJVC業務用カメラに採用されている意匠である。この十字ボタンは、メニュー操作やクリップ再生時のコントロールボタンとなる他に、撮影中はボタンの上下操作でシャッタースピード調整、左右でAEレベルのシフトを行う事が出来る。
他社のデジではこれらの調整を“ボタン+ダイアル”の組み合わせで操作させる作りの物が多いが、HM650の様にダイレクトに値を調整できると、撮影しながらブラインドタッチでオペレートできる可能性が増す。
私の場合は、AEレベルが直ぐに調整できる事が重宝すると実感し、テスト撮影時も積極的にAEレベルのシフト操作を行った。
■レイアウト:
さて、十字ボタン以外の部分に目をやってみると、その他のカメラオペレーションのボタン配列などは、SONY Z5J/NX5J のそれと非常に似通っている。Z5J/NX5Jユーザであれば、何の違和感も無く操作できるほど、見慣れたレイアウト系だ。
デジクラスのカメラは、小さな筐体に多くの操作ボタンやスイッチを配置しなければならないが、その並びはメーカーによってまちまちで、使い慣れたメーカー以外の他社製カメラを使うときは、いつも混乱する。
SONY機は、ボタンの配列が整然としており、それぞれの関係性も判りやすいレイアウトが組まれているので、そのスタイルを踏襲していると言える HM650 のボタンレイアウトは歓迎である。
しかしHM650は、ただレイアウトを真似ているだけではなく、他社機をよく研究した上で更に使いやすい工夫が施されている。
例えば、HM650では「プッシュオートアイリス」の機能が特定のボタンとして固定化されている。
マニュアルアイリス利用時に、一時的にオートアイリス調整をしたい場合には便利な機能だ。
このボタンが、アイリスのオート/マニュアル切替ボタンと関係付けられて用意されているのは嬉しい。
Z5J/NX5J では、別途“ユーザーボタン”に「プッシュオートアイリス」アサインする必要がある。
また、もう少し全体的な視点で見てみると、HM650の操作ボタンやスイッチは、殆どがカメラ本体の左側面に配置されている。
これは常にカメラマンから見える位置にボタン・スイッチがあるという事だ。
例えば、Z5J/NX5J の場合、液晶モニタ展開時は天板部分にボタンが現れるが、この位置のボタンはハイアングル時にはブラインド操作になり、思うように操作できない事がある。
特に、液晶モニタ上に表示されるカメラステータス(記録解像度やアイリス値などの表示)を「全部表示」/「部分表示」/「無表示」と切り替えたい場合に、それを切り替える[DISPLAY]ボタンが指先だけでは判別できず、難儀する事が何度もある。
HM650では、この[DISPLAY]ボタンが内蔵マイク左側面に配置されているため、ハイアングル時でもカメラマンから見やすく、容易に操作できる。
HM650では、上面に配置されているボタンはハンドルグリップ上部のRECトリガーボタンとズームシーソボタンだけで、あとは右手グリップ部分のユーザーボタンとズームシーソぐらいである。
三脚利用時の撮影スタイルでは、カメラ本体下部前方に設けられた、[RECトリガー]ボタンが重宝する。
ENGカメラであれば、カメラ下部前方にRECボタンがあるのが一般的なレイアウトだ。
三脚を構えた状態で画角やフォーカスを合わせて、最小の操作導線でRECボタンが押せるので、このポジションのRECボタン配置は歓迎である。
ただし他社デジの中には、同様の位置に「プッシュホワイトバランス」ボタンを設ける機種もある。
日常的に複数の機種を往き来するユーザーは、その操作スタイルの違いに要注意だ。
ところで、この下部前方の[RECトリガー]ボタンについて、少しフィーリングが軽くチープな作りが気になった。
押し心地は軽いバネが飛ぶような感触で、また三脚にカメラを載せてバランスを取るためにカメラを前後にスライドさせている最中に、指の節がこのRECボタンに当たったらしく、意図せず録画動作していた事があった。
誤操作を防ぐためにも、もう少し押し応えのあるボタンにするなどして、意図的に押下する以外に動作しにくい作りであれば、なお良かったと思う。
■音声関連パネル:
音声関係のスイッチやボタンも全て一カ所に集中してレイアウトされている。音声関係の操作パネルは、内蔵マイクの左側面に配置。
収録チャンネルの選択は勿論、LINE/MIC/MIC+48V の切替や、音声モニタリング関係の操作まで全て一カ所で出来る。
他社デジの音声系のスイッチ群は2カ所以上に分散されている物が多いので、HM650のように一カ所に全て集まり、しかもカメラマンの見える位置にあるのは、運用上も安全面でも非常に重要だ。
音声記録レベルをマニュアル調整するダイアル[録音レベル調整つまみ]は、ダイアルの形状にそって出っ張りが設けられている為、不用意に回してしまうことは無いだろう。
ただ、ダイアル自体の回転を軽く感じたので、誤操作を心配する声も周りからは聞かれた。
もう少し回転に重さ(抵抗)があれば、そういった不安も払拭できるかも知れない。
■トグルスイッチの形状:
SONY機をはじめ、殆どのENGカメラは VTR/GAIN/OUTPUT/WHT BALのスイッチが全て同じ丸頭のトグルスイッチを使っており、ブランドタッチでの誤操作を防ぐためにスイッチの台座形状に変化を持たせるなどして対応している。一方で、JVCのENGカメラは、古くから GAINスイッチとその他のスイッチの形状が異なる設計がされている。
HM650もその例に漏れず、トグルスイッチは2つしかないものの、[GAIN]スイッチは横一文字のマイナス形状のレバーを、[WHT BAL]は丸頭のレバーを採用しており、指先で触れば即座に[GAIN] か [WHT BAL]なのかを判断できる。
小さなこだわりだが、こういった設計ポリシーがカメラオペレートの快適性を担保していると思う。
■液晶モニタ部のボタン:
HM650は、液晶モニタ横にボタンが用意されている。
使い始める前は、液晶モニタ付近にはボタンなどの余計な物が無い方がスッキリして視認性も良いのではないかと考えていたが、実際に使ってみてそれは杞憂どころか、むしろ最適解だと言える配置だと実感した。
液晶モニタ横のボタンは、[MENU/THUMB]ボタンとジョイスティックタイプの十字ボタン、そして[CANCEL]ボタンが用意されている。
液晶モニタを見ながらメニュー操作する事が、最も自然なスタイルとなるので、視線と操作、特に十字キーの操作とメニュー選択の動きが同じ平面上で一致して、操作がスマートだ。
カメラ本体の十字ボタンでも同様の操作ができるが、メニュー操作をする際は好んで液晶モニタ側の十字ボタンを利用している。
■ユーザーボタン:
HM650にはユーザーが機能の割り当てをカスタマイズできる[USER]ボタンが11個用意されている。[USER]はカメラ本体左サイドに6個、右手グリップ上に1個、更に液晶モニタ横にレイアウトされているジョイスティックタイプの十字ボタン(LCDキー)にも、その上下左右にそれぞれ一つずつファンクションのアサインが可能であり、合計で11個のユーザーボタンとなる。
<ユーザーボタンへのアサイン例>
特に、液晶モニタ横の十字ボタンにアサイン可能となっているのは素晴らしい仕様だ。
十字ボタンは本来的にはメニュー操作時にそのコントロールインターフェイスとして機能する。
そこで、このボタンにアサインする機能をメニュー系もしくは選択系機能の呼び出しボタンとして設定すると、操作性が格段に上がる事に気がついた。
例えば、ホワイトバランスのPRESET値の色温度を100Kずつ調整できる「ホワイトバランス」機能をこの十字ボタンの上下左右のいずれかにアサインする。
ここでは、上ボタンに「ホワイトバランス」を割り当てたとしよう。
上ボタンを押すことで「ホワイトバランス」の調整メニューが呼び出されるが、そのままボタンから手を離すこと無く、すぐさま上下左右にジョイスティックを操作して、任意の値に色温度を調整できる。
この操作性は非常に快適で、一度この割り当てを行ってしまうと、もう別の操作手順は考えられないぐらいに便利である。
一方で、満足していない事もある。
11個ものユーザーボタンがあるため、ボタン数としては十分なのだが、割り当てられる機能をもう少しだけ増やして欲しいと思うのだ。
現状のHM650に割り当て可能な機能は以下の通りだ。
なし/ゼブラ/マーカー/カラーバー/フォーカスアシスト/手振れ補正/フラッシュバンド補正/LCDバックライト/Lolux/AEロック/スポットメータ/顔検出/OKマーク/クリップカッタートリガー/バックアップトリガー/クリップレビュー/ピクチャーファイル読み込み/ホワイトバランス/プリセットズーム1/プリセットズーム2/プリセットズーム3
この様にしてみると沢山の割り当て機能があるのだが、実際に HM650を使っていると「プッシュオートフォーカス」と「プッシュオートアイリス」をユーザーボタンに追加したいと感じたのである。
カメラ本体には、既にこれらの機能は固定ボタンとして用意されており、必要が無いと考えがちだ。
しかし、ハンドヘルド――つまり手持ち撮影で、右手グリップ部分に用意されている[USER7]ボタンに、これらのいずれかの機能を割り当てると、左手はレンズのリング操作に集中して、右手で随時オート機能による補助を割り込ませるという事ができる。
左手をズームリングから離す必要が無く、ブラインド操作性もより高まる。
話は少し脱線するが、今後の製品に、もう一つ上の要求をするならば、これは他社機にも言えることだが、右側グリップの小指側には「プッシュオートアイリス」ボタンを固定ボタンでも良いので設置して欲しい。
これは、ENGレンズであれば標準的な仕様であり、是非ともデジクラスのカメラにも真似してもらいたいレイアウトだ。
そうすれば、あとは人差し指側の[USER]ボタンに「プッシュオートフォーカス」を割り当てれば、右手だけでアイリス・フォーカス・ズームをコントロールする事も不可能では無い。
このレイアウトを実現しているデジが私の知る限り1機種だけある。
それは、SONY HVR-Z7Jだ。
この機種は、同社のENGスタイルの HVR-S270J の姉妹機として開発され、ENGライクな交換レンズ採用という仕様から、Z7Jでもレンズの仕様は ENGライクな物になっており、プッシュオートアイリスのボタンが右手グリップの小指側に用意されている。
また、人差し指側にはユーザーボタンもあり、こちらにはプッシュオートフォーカス機能を割り当て可能だ。
実際、左手をリング部分から離さずに、必要に応じて右手でオート介入できるのは便利だと感じている。
各メーカーとも今後の標準仕様にはならないだろうか?
閑話休題。
さて、スイッチやボタン系のユーザーインターフェースを一通り検証してみたが、実は GY-HM650 のユーザーインターフェイスの魅力は、表面上の仕様にとどまらない。
むしろ、「これこそが、HM650操作系の真髄」だと私が思う工夫が施されている。
次のページでは、“HM650操作系の真髄”に迫りたい。