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〜 AMD Athlon 64 X2 によるDTV用PC製作 〜
(提出日:05/8/25)
(最終更新日:05/09/11)
■EDIUS とデュアルコアCPU。
さて、いよいよ EDIUS Pro を使って、HDビデオ編集を行ってみたい。
今回使用したのは EDIUS Pro ver3.50 で、送出機に SONY HVR-Z1J を使っている。
まずは、HDV映像のキャプチャから行った。
EDIUS Pro では、HDV映像キャプチャ時に、HDVデータそのものである“MPEG2-TS”とcanopus が独自に開発したHD映像用コーデック“Canopus HQ Software Codec (以下、HQ Codec)”のいずれかを選択できる。
EDIUS Pro で編集を行う場合は、HQ Codec を利用した方が、HDDの容量は多少要るものの、編集作業に向いており、快適な作業環境を作ることが出来るとされている。
ただし、HDVデータをキャプチャしながらリアルタイムで HQ Codec にトランスコードするには、相当のCPUパワーが必要であり、canopusでは Intel Xeon 2.8GHz デュアルプロセッサ(Hyper-Threading:有効) 以上を推奨している。
今回のキャプチャ作業は、HQ Codec の標準画質を選択肢、バッチキャプチャリストを作ってキャプチャしている。
HQ Codec を使ったキャプチャ作業は、従来のSD素材のキャプチャと変わるところはなく、実に快適に行える。
HDVフォーマットの特性から、早送りなどで目的のシーンを探してIN/OUTを打つのには、そのプロキシ映像の画質と遅延からまごつく事があるが、EDIUS Pro そのもの操作性に問題はない。
キャプチャ時の CPU の負担を見てみると、両プロセッサコアをあわせて60%前後であり、CPU使用率の履歴の山と谷は、キャプチャ作業を行っている時といない時の顕著な差である。
バッチキャプチャが終われば、次にタイムラインにクリップを配置してテストしてみる。
まずは、通常の再生だ。
クリップをカット編集となるよう普通に並べて、タイムラインを走らせてみた。
再生が止まったりすることは全くなく、CPUの使用率も 15〜30% と低い数字だ。
次に、ディゾルブを各クリップ間に入れてみた。
以降、それぞれのテストではバッファを設定上限の“96”とし、負荷部分の再生には十分にバッファが貯まっている状態になってから入るようにしてある。
トランジションタイムは1秒であるが、ディゾルブに入る直前にCPU使用率が 50% に瞬間的になるが。それ以外は通常再生時と同じ30%あたりであった。
さらに、負荷テストを続けてみた。
ディゾルブでつながっているクリップの上に一枚の PinP 画像を充てる編集だ。
こちらの方も実に拍子抜けするほど、何の問題もなくクリア出来た。
CPU使用率は瞬間的には 70% を記録しているが、あとは 30〜50% で推移している。
さらに 3D PinP フィルタを使って、画面内を PinP 画像が捻れたり回転したりしながら動き回るような設定をして、走らせてみた。
こちらも、EDIUS Pro は苦にすることなく、瞬間的に 80% を超えたものの、それ以外は 50%未満の低いCPU使用率で再生できた。
この結果を見るまでもなく、canopus の EDIUS Pro は本来であれば重たい筈の処理を、実に軽快にこなす事が出来るよう設計されており、そこに Canopus HQ Software Codec を使えば鬼に金棒となり、大抵のタイムライン編集は例えHD映像であっても、リアルタイム処理の内に作業をすることが可能である。
それでは、タイムライン系の編集よりもコンポジット系に近い処理を EDIUS Pro で行うとどうなるのか試してみた。
コンポジット系とは合成作業を伴う作業だと思ってもらいたい。
まずは、代表的な合成処理であるクロマキー合成である。
残念ながら、HD解像度でのクロマキー撮影を行った素材がなかったので、青空が映った素材を使って合成作業を行ってみた。
結果は、コマ落ちすることなく再生を続けることが出来た。
しかし、CPU使用率は 99% と大変高く、クロマキー処理に何かフィルターやトランジションをかけるのは無理であった。
ただし、クロマキーを掛けるクリップの長さには影響されず、高いCPU使用率ながらも30秒以上のクリップを問題なく再生できた。
最後に、4枚の画像をPinPさせる実験を行ってみた。
PinPさせるクリップの長さは 6秒である。
こちらの方は、CPU使用率 98%の高負荷ながらも、無事に再生することが出来た。
どこまでリアルタイム処理が可能なのだろうかと思い、5枚の PinP も行ってみたが、流石に 5枚では再生が間に合わず途中で止まってしまった。
また、4枚でもクリップの長さが 6秒でバッファを消費してギリギリの再生であるので、これ以上のの尺は難しそうだ。
結果として、6秒前後のクリップであれば、EDIUS Pro では 5ストリーム(4 PinP + 1 背景動画)の再生が可能であり、それをHDで行っているのだから大変に優秀と言えるだろう。
さて、EDIUS Pro を使えば、本来重たいはずのHD編集でも快適に、またある程度の負荷までなら十分にリアルタイム処理が出来ることが分かった。
しかし、HDV編集のネックは、編集を軽い HQ Codec で行っても、最終的にHDVテープへの書き出しはMPEG2-TS に再トランスコードし直さねばならないことであり、またこの作業が大変に時間が掛かることである。
実際に Athlon 64 X2 4200+ を使えば、どれぐらいの時間でトランスコードが可能なのか測ってみた。
同時に、この作業がもっとも負荷が掛かると思われた作業であるので、CPUの温度も計測している。
トランスコードする素材は無編集の1分のクリップである。
これを、EDIUS Pro から canopus ProCoder Express for EDIUS を立ち上げ、MPEG2-TSへ変換した。
その結果、トランスコートに掛かった時間は、約4分20秒。
元素材の長さに対して、約4.3倍の時間が掛かっている事になる。
やはり、この点だけは避けて通れない長い待ち時間が発生することになる。
ただ、興味深いのはCPU使用率だ。
エンコード作業なのだから、CPUをフル稼働で頑張ってくれているのかと思えば、そうではなく、総CPU使用率は 50〜65%程度。
しかも、熱心なのは片方のプロセッサコアだけで、他方のコアは比較的低い使用率になっている。
このあたりの事情がよく分からない。
使用率の履歴のグラフの山を見てみると、山と谷が双方で反転している様に見える。
左のグラフの谷の部分に、右のグラフの山が当てはめられる。
少なくとも現状では、canopus ProCoder Express for EDIUS はデュアルコアCPU を巧く活用できていないように思う。
このあたりが改善されれば、トランスコード時間は実クリップ時間の3倍程度に納めることが出来るのではないだろうか?
なお、この時の CPUの温度であるが、CPUファンの回転が約3600rpm(手動固定)で、最大 59℃であった。(室温28℃・無風)
アイドリング時は 46℃ であるので、やはり大きく温度が上昇している。
トランスコード時間が延びれば、60℃を超えていく可能性があるが、この4分あまりの時間の温度上昇は緩やかであり、58℃前後まで上昇してからは殆ど変化がなく、トランスコード終了間際に一瞬 59℃を計測した。
また、ファンノイズに関してであるが、CPUファン1個・ケースファン2個・チップセットクーラファン1個・グラフィックチップクーラファン1個・電源ファン1個、HDD3台という環境であったが、ファンノイズはそれほど大きいものではなく、十二分に実用の範囲内であると思う。
※05/09/03更新 【※2005/09/11 現在、下記のオーバーレイノイズの問題が解決された。
さて、現在のこのシステムに於いて、不具合も出ている。
DVStromでは以前からAthlonプラットフォームの場合、AMD純正チップセット以外のM/Bを利用すると、編集用オーバーレイ画面においてノイズが入る現象が確認されていたが、その情報は既に3年余り昔に得たもので、まさか現在も尾を引いているとは思っても見なかった。 【※2005/09/11 現在、以上のオーバーレイノイズの問題が解決された。
また、EDIUSとは関係ないが、G/Bと思われる要因で描画系の不具合を被っている。 |
※05/09/11更新
原因特定が出来なかったが、上述のオーバーレイ画面に対するパーティクルノイズの問題が解決し、無事に EDIUS Pro + DVStrom-RT ボード の環境で、正常にオーバーレイ画面の表示をする事が適った。
・CPU:AMD Athlon 64 X2 4200+ 【プロセッサドライバ Ver. 1.2.2.2】
canopus.ini には以下を追記している。
[CtsHal]
以上の状態で、正常なオーバーレイ環境を保てている。 |