ラボのカメラは全てオークションで個人の方が製作・販売していた3Dプリンタ性能V座を装着している話題は、以前に記した通りだ。
ラボ機材に合わせたカスタマイズをお願いする中で、ミラーレス一眼カメラ用にV部分だけのミニマムV座の製作もお願いし、販売してもらった。現在は、オークションの方でもその商品は扱っておられる。
製作してもらって以降、ラボのミラーレス一眼カメラには全てこのミニマムV座を取り付けて三脚での運用を行っている。
基本的には耐久性や嵌合に問題は無いのだが、使用している中で一点気になる現象が出て来た。
例えば「空からパンダウン」といったワークをした際に、カメラがワークの途中でグラッと下に下がるのだ。どうも、ミニマムV座とカメラ……ラボの場合はカメラケージの間に“タワミ”が生じているらしい。
この現象は、撮影機材の重心が大変に高くて重い場合に発生する。
ラボで現在ミラーレス一眼カメラをメインカメラとしてロケをする場合は、Panasonic DC-GH6 に SmallRig のカメラケージ、Panasonic DMW-XLR1(XLR音声ユニット)、SmallRig カメラハンドル、ATOMOS SHINOBI SDI、マイクロフォン……などが取り付けられている。
ミニマムV座は当然カメラケージの底面に取り付けられており、その部分で上に乗っかっている全ての重量を三脚に固定しているので、大変な負担だろう。
問題発生の原因は、そのミニマムV座とカメラケージとの固定が、1/4インチネジ1本で行われており、またV座の素材が樹脂である点だろう。3Dプリンタで出力された樹脂製の造形物は、特に面状の薄い部分では多少のネジレやタワミが出る。そうした素材に、ネジ一点で重量物を固定しているためにどうしても負荷が掛かると歪みが出てしまうのだ。
上記の例だと、空にカメラを向けている場合にタワミが出て、カメラケージとV座が多少浮いた状態になり、パンダウンをするとその過程で重量が前方に移動してタワミが解消され、その際にグラッとカメラがV座全面に着地する。それが、パンダウン中の画がグラつく原因だ。
原因が分かれば改善方法は、比較的簡単に見いだせる。
タワミの出ない素材で成形するか、1点留めをやめて2点留めにするかだ。
私が選択したのは、2点留めにすること。ミニマムV座はネジ1点留めがV座の後方で行われており、前部は固定されていない。その為、後方の一点を軸にして樹脂に歪みが出ている。
そこで、前部もネジで固定できる様にした。
幸いカメラケージの底面には幾つかのネジ穴が空いているので、それを利用して止めネジを追加する。
ノギスでネジ穴の中心部からの距離を測って……というのは苦手なので(笑)、紙にネジ穴位置を転写して、それをガイドにしてミニマムV座に穴を空けた。
V座の底面は、そのまま三脚アダプタ(フネ)の上面と接地するので、ネジ頭はV座の底面よりも埋まっていないといけない。この穴開けが少し緊張した。
結果的には、上手く行った。
カメラと撮影用アクセサリを組み直して、通常の撮影スタイルにしてチェックしてみたが、見事にタワミは解消された。
3Dプリンタ出力の樹脂成形物にドリルで穴を空けたり、また結構V座部分のロック溝と今回のネジ穴が近接しているため、耐久性には少し不安を覚える。
今後使用していく中で、見極めていきたい。