#!/usr/local/bin/php 【Next-Zero】『AMD Athlon 64 X2 によるDTV用PC製作(/デュアルコアプロセッサによるシステム構築。)』
 
 


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〜 AMD Athlon 64 X2 によるDTV用PC製作 〜


(提出日:05/08/24)



 我が家のPCにはそれぞれ名前が付いている……などという話を以前別の記事にて書いたが、編集マシンには“SEREN”という名前が付けられている。
 マシンの名前は襲名制であり、そのマシンの役どころで名前が決まる。
 “SEREN”は編集用マシンに代々つけられてきた名前であり、3年前の夏に組んだAthlon XP での編集用マシンは第三世代型SERENである。

 3年余りの時間、ノンリニア編集の現場で活動を共にしてきたSERENだが、いよいよ世代交代の時期が来てしまった。
 今回は、新たに導入することになった第四世代型SERENについてのレポートである。

 ※余談※
 マシンの名前はACC*Softwareで制作するゲームのキャラクター名を拝借している……という話を書いたと思うが、SERENは「独立旗艦タマカヅラ」という作品に登場する セイレーン=ガートルード=ジーン=アンジェリク=オールドロッド;通称セレン という軍医からである。
 このセレンの作中での設定は、優秀だが何もない所でいきなりコケたり、外科手術は得意なのに注射するのが下手だったり……というそんなキャラクターだ。
 編集マシンの“SEREN”も、代々それを彷彿させる所があり、自分的にはマッチングした命名だったと思う。



■デュアルコアプロセッサによるシステム構築。


 2002年7月。
 当時、最速の部類に入った Athlon XP 2000+ を使い、DVStorm用の自作PCを作ったのだが、それから3年あまりが経過した。

>>参考:Reports “AthlonでDVStorm-RT用マシン”


 その間にPCの世界でも映像の世界でも、様々な進展と改革が繰り広げられ、気がつけば最早、我が家の Athlon XP マシンは時代の要求を満たさない仕様になっていた。
 
 特に、映像業界から押し寄せたHD化の波を乗り越えることが難しく、筆者が今年の初めに購入した HDVカメラとの連携を考えると運用が難しい段階に陥っていた。
 中でも、撮影した映像を HD のままで編集することは極めて困難になっており、強力な演算装置を積んだ編集マシンの導入を今春から模索し続けていた。

HVR-Z1Jを回すACCの佐藤氏。

<HVR-Z1Jを回すACCの佐藤氏。(東京中央線にて)>


 そこで、各メディアの情報や友人からの助言を参考にして、この夏新しい編集用マシンを組むことにした。
 やはり新しいマシンを組む上で最初に決定する必要があるのは“CPU”である。
 時代はすでにデュアルコアと64bit対応CPUになっており、今回の購入に際してもそのあたりを押さえながら検討する必要があった。

 デュアルコアCPUについては、最早ここで説明する必要なないだろうが、一応その概要に触れておく。
 デュアルコアCPU(デュアルコアプロセッサ)は1つのパッケージに2つのプロセッサコア(演算部)を載せたマイクロプロセッサの形態である。
 デュアルプロセッサはマイクロプロセッサを2つPCに組み込むが、デュアルコアプロセッサは1つのパッケージに2つのプロセッサコアを組み入れており、パッケージの外観上は1つのCPUに見える。
 しかし、2つのプロセッサコアは基本的に独立しており、各々が他方のプロセッサコアに影響されることなく動作できる。
 実際、Windows上からは2つのプロセッサとして認識されており、デュアルプロセッサ搭載とほぼ同じ働きを行える。
 また、Intel の Hyper-Threading(HT) とも全く違うものである。
 HTは1つのプロセッサコアにおいて発生する『プロセッサコアが作業していない無駄な時間をなくす』というプロセッサ内のレジスタやパイプライン回路の空き時間を有効利用して、1つのプロセッサをあたかも2つのプロセッサであるかのように見せかける技術であり、効率性はHT非使用時に対して 20% ほど向上するに過ぎない。
 しかし、デュアルコアは純粋に2つの演算部を持ち、アプリケーションの対応次第では、シングルコアのプロセッサにし対して2倍近い処理能力を発揮する。
 また、Intelでは、デュアルコアと Hyper-Threading を併用して、見かけ上合計4のCPUが動くことになる“Pentium EE”というラインナップがある。


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 さて、デュアルコアの説明はこれぐらいにして、早速CPUを何にするか迷ってみよう。
 現在において、映像編集PCに搭載することが考えられるデュアルコアCPUは、
  Intel:Pentium EE・Pentium D
  AMD:Opteron・Athlon 64 X2
 といったあたりだろう。

デュアルコアラインナップ

 デュアルコアXeonというラインナップも発表されているものの、リリースが2006年に延期されるなど、まだまだデュアルコア市場は動き出したばかりであり、また何れもシングルコアプロセッサに比して価格が高い。
 上記であれば、Pentium EE や Opteronは10万円を超えており(2005年8月現在)、とても手が出せない。
 そこで、現実な選択肢としては Intelの Pentium D か AMD の Athlon 64 X2 かで迷っていくこととなる。

 詳細な性能比や、製品ラインナップは他のサイトや各種雑誌に詳しいと思われるので、ここでは触れないが、いずれの記事を読んでも、Pentium D はエンコード能力は長けるが、それと価格以外には全く魅力がないという記事が多い。
 対して、Athlon 64 X2 は価格が高いが、トータルではいずれの処理演算においても異様に速い結果を残す……となっている。

 結局、2週間のうちで、日和見のごとくIntel派になったりAMD派になったりして、自分の中でなかなか決定が出せなかった。
 しかし、次第に Pentium D が対AMD対策としての間に合わせの技術でしかないことや、消費電力や発熱が異常に大きいことが、自分の中で大きな痼りとして残ってき、一方で価格面を除けば、圧勝ともいえる性能(ベンチマーク)と消費電力と発熱の小ささを誇る Athlon 64 X2 に軍配が上がることになった。

 

 採用する CPU が AMD Athlon 64 X2 と決まれば、あとはそのラインナップの中でどれを選ぶかであるが、予算、価格性能比と所有欲求を満たす水準から Athlon 64 X2 4200+ を選択することになった。
 最上位となる Athlon 64 X2 4800+ は価格的にかなり無理があったため当初から除外しており、また 4200+ と比べて 二次キャッシュの容量が違うだけの 4400+ とはベンチマークテストで1%以下の性能差でありながら10%以上の価格差があることから、友人の松ケン氏の助言と併せて、コストパフォーマンスが高い 4200+ を搭載することに決定した。


購入した Athlon 64 X2 4200+

 導入するCPUが決定し、後はそれに併せて M/B・メモリ・G/Bなどを選択していけばいい。
 幸い導入の時期に合わせたかのように、東京・秋葉原へ大阪より出向ける機会があったため、それを利用して各種パーツの購入を行った。
 また、電源の更新や発熱対策もこの機会に行うために、空冷系のパーツも選定している。


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 結局、秋葉原と梅田地区で購入したパーツおよび、旧マシンから引き継いだパーツによる、第四世代型SEREN の構成は以下の通りである。

 ・CPU:AMD Athlon 64 X2 4200+
 ・M/B:ASUS A8N-E (Chipset:NVIDIA nForce 4 Ultra)
 ・メモリ:PC3200(DDR400) 1GB x2 (デュアルチャンネル)
 ・HDD:(System)Seagate ST340016A (40GB・7200rpm・Ultra-ATA 100)
      (Video)Seagate ST3250823AS (250GB・7200rpm・S-ATA) x2 / RAID-0
 ・G/B:玄人志向 RDX700-E256H
 ・S/B:Creative Sound Blaster Live!

 ざっと見てわかるように、今回のマシンはデュアル三昧である。
 CPUがデュアルコアプロセッサ、メモリがデュアルチャンネル、HDD が RAID-0 、そしてディスプレイがデュアルモニタとなっている。
 ついでだから SLI機能 のついた A8N-SLI Deluxe あたりを買って、G/Bまでもデュアルにしてしまおうか……という冗談も考えたが、流石にSLIの需要は自分の中にはなくて、SLI に関しては今回は見送った。


SEREN4 中身

 また、電源には最大580W出力の静音電源(XIAi-SF-530T14)を新たに導入、CPUファン(GIGABYTE 3D Rocket-Pro)も別途用意し、更に静音タイプの8cm角ケースファンも2つ準備して、廃熱とそのためのエアーフローを考えながら配置した。
 特に今回のマシンでは、RAIDを行うHDD部分に冷却ファンを備え、前吸後排の気流を作って内部に熱が籠もらない様に配慮している。
 GIGABYTE 3D Rocket-Pro は、ファンスピードコントロールモジュールというファン回転速度を調整するツマミがついており、それを使ってCPUファンを最大回転まで行うと、流石にファンモータの唸りが聞こえてくるが、3500rpm程度の回転であれば、それほどノイズは気にならない。


SEREN4 CPUファン周り

 冷却性能などは次頁以降に譲るとして、まずはこの構成でセットアップを無事に完了させることができた。



 
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