#!/usr/local/bin/php 【Next-Zero】『EDIUS Pro 5.5 検証』
 
 


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〜 Thomson Canopus EDIUS Pro 5.5 検証 〜


(提出日:10/04/10)



■Thomson Canopus EDIUS Pro 5.5


 EDIUS Pro 5.5 は、2010年現在のノンリニア編集環境に対応するためのアップデートだ。

 OSに Windows 7 が登場し、市場の新規PCは既に Windws 7一色となっている。
 既存PCにおいても、Windows XP や Windows Vistaからの乗り換えを検討するユーザも多く、EDIUS Pro の Windows 7への早期対応が望まれた。

 さらに、ユーザの撮影環境も変化しつつある。
 HDV から AVCHDへのフォーマットシフトは進んでおり、2009年に発売されたコンシューマ向けのビデオカメラに HDVフォーマットは存在しないようだ。

 また、プロシューマの環境も、テープからファイルベースに移行しつつある。
 特に、SONYが2010年1月に発売した AVCHDフォーマット採用の NXCAM の登場は、これからのプロシューマの制作環境を大きく変えていく予感を覚えさせる。


 このように、コンシューマからプロシューマの撮影フォーマットは、H.264をベースとする AVCHDが主流になりつつあり、ノンリニア編集環境に於いても AVCHDへの対応は必須となっている。

 しかしながら、H.264コーデックの再生は、ハイビジョンクラスともなってくるとハイスペックなPC環境でも骨の折れる処理となることは、諸兄も経験済みのことだろう。
 ましてや、編集素材として利用する場合、ノンリニア編集ソフト上での通常再生すらままならない。

 EDIUS Pro は、早期に――Version 4.5 より AVCHD素材を扱える様になっていたが、これはあくまでもタイムライン上に AVCHDを直接放り込む事が出来るだけであり、実用的な動作を行えるレベルの物ではなかった。
 ※『canopus EDIUS Pro version4.5/AVCHD対応』http://next-zero.com/HDV/EDIUSPro45-01/

 しかし、この2〜3年の間にPCの処理性能は向上し、またソフトウェアを最適化することにより、遂に念願の AVCHD リアルタイム編集が可能になった。

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■AVCHDのリアルタイム編集

 早速、EDIUS Pro 5.5 に AVCHDファイルを放り込み、リアルタイム編集性能をチェックしてみた。
 性能チェックに利用した素材は、SONY NXCAM“HXR-NX5J”で撮影したファイルを利用。
 24Mbps 1920x1080/60i のフルハイビジョン素材である。

 編集マシンのスペックは、
 ・OS:Microsoft Windows XP Professional SP3
 ・NLE:Thomson Canopus VELXUS 300/EDIUS Pro 5.5
 ・CPU:Intel Core i7 920(オーバークロック:3.07GHz)
 ・M/B:ASUS P6T Deluxe (Chipset:INTEL X58+ICH10R)
 ・メモリ:Corsair TR3X6G1600C9
     PC3-12800(DDR3-1600) 6GB(2GB x3/トリプルチャンネル)
 ・HDD:(System)HGST HDT722516DLA380 (160GB・7200rpm S-ATA II)
      (Video)WesternDigital WD6400AAKS (640GB・7200rpm・S-ATA II) x3 / RAID-5
 ・G/B:NVIDIA GeForce GTX 285
 ・S/B:on board
 ・電源:ANTEC Signature 850(Max:850W)


 さて、Thomson Canopusは公式には CPU Core i7 でのリアルタイム編集性能を「3ストリーム以上」と謳っている。
 今回検証するマシンも、Core i7 であるので、その性能が期待できる。

●AVCHD の5ストリーム再生

 まずは、ハードルの高いテストから検証してみる。
 AVCHDファイルを5つ用意し、1枚のベースとなる映像の上に4つの PinP(子画面)を順に表示させる。
 PinP画面は 10秒ごとに1画面が増える様に設定。
 つまり、1ストリーム再生から始まり、10秒毎に1ストリーム増え、40秒後に5ストリームの再生となる。

 以下が、テスト結果である。



 この結果の詳細を見てみる。
 CPU利用率は、
 ・1Stream:35%以下
 ・2Streams:40%前後
 ・3Streams:70%前後
 ・4Streams:90%前後
 ・5Streams:計測不可
 となった。
 5ストリーム目に入るや否や、再生はストップしてしまう。
 Core i7 920 での実用的なリアルタイム編集は4ストリームまでのようである。

●AVCHD の4ストリーム再生

 次に、4ストリーム時のリアルタイム再生を検証する。
 上記のテストで、4ストリーム目が再生されると、それまで満タンまで溜まっていた再生バッファが徐々に減少していくことが確認できたので、4ストリーム再生の場合のリアルタイム再生の限界を検証する。

 以下が、テスト結果である。



 4ストリーム再生であっても完走することは出来なかったが、4ストリーム目に入っても17秒間は再生可能であった。

●AVCHD 4ストリーム + HDV 1ストリーム再生

 さらに、フォーマット混合でのテストを行ってみた。
 AVCHDを4ストリーム並べ、5ストリーム目にネイティブ HDVクリップを配置する。
 この場合も、当然完走は出来ないのだが、HDVである5ストリーム目に入っても13秒間は再生可能であった。
 AVCHDのみでの4ストリーム再生が 17秒であったので、そこから4秒短くなっているだけであり、HDVフォーマットであればそれほど負荷が掛からないようである。

●AVCHD 3ストリーム + HDV 1ストリーム再生

 次は、AVCHDを3ストリームに HDVを1ストリーム並べてみる。
 AVCHDのみ3ストリームなら完走するので、そこにどれだけクリップが追加できるのかを調べてみた。
 結果は、完走。
 AVCHD 3ストリーム + HDV 1ストリーム再生なら、EDIUS Pro 5.5では実用的な編集利用が出来るようである。

●AVCHD 3ストリーム + HDV 2ストリーム再生

 さらにさらに、HDVを2ストリームにして、合計5ストリームでの再生テストを行ってみた。
 結果は、5ストリーム目に入って9秒で再生が停止してしまった。
 やはり、AVCHDとの組み合わせでは、AVCHD 3ストリーム + HDV 1ストリームが上限のようである。


 今回は、canopus HQ codecでの検証は行っていないが、HQ codecを利用した場合、AVCHD 3ストリーム + HQ codec 2ストリームぐらいは軽くリアルタイム編集できるのではないか?という感触を得た。

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■まとめ

 期待したとおり EDIUS Pro 5.5 は、AVCHDビデオカメラユーザにとっての福音となるノンリニア編集ソフトに仕上がっていた。
 今回のテスト結果は、マルチカム編集にも同様のことが言え、AVCHDを3ストリームまでであれば、快適なスイッチング編集が可能である。
 4ストリームの場合にはコマ落ちが起こり、5ストリームではやはり早々に再生不能になってしまう。
 マルチカム編集に於いても、AVCHD素材は3カメまでに抑え、あとは HDVか HQ codec を利用することをお奨めする。

 Core i7 920 は、クアッドコア(4コア)採用の CPUであるが、今回のテストから分かるように、EDIUS Pro 5.5 は 同社の AVCHD converterと同様、内部処理が CPUのコア数分に最適化されていると考えて良いだろう。
 欲を言うならば、FIRECODER Blu と連携するなどして CELLの処理支援も受けて5ストリームの快適サポートなども期待したいのだが、昨年の Inter BEE 2010 で Thomson Canopusのスタッフにそんな期待を投げ掛けてみたところ、今のところそういった使い方は考えていないようであった。
 また、Hyper-Threading機能による性能差はほぼ無い様であるから、さらなる処理性能の向上を求めるならば、6コアや8コアと言ったさらにハイパフォーマンスな CPUを搭載する必要がありそうだ。

 今回のレポートでのPC画面の撮影は HXR-NX5J で行い、その収録ファイルを EDIUS Pro 5.5へ放り込んで、今回のテスト結果動画を作っている。
 AVCHDファイルを2ストリーム + 静止画タイトル 1ストリームで、AVCHDファイルの一つには、3D PinP を施しているが、問題なく編集作業ができた。
 最早、日常的な編集では、AVCHD や HDV、HQ codec などといったファイルフォーマットの差を感じることは無くなるだろう。

 我が家では HXR-NX5J の導入により、ますます AVCHDでの収録が増えていく事が予想される。
 フォーマットに囚われることなく思うままのビデオカメラで収録し、それをPCにコピーして EDIUS Pro に素材として持ち込み、そして Blu-ray で残す……というスタイルが極々当たり前のことになりそうだ。


   



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